センボンタスクの読書日記

支持しているもの好きなもの #広島カープ #れいわ新選組 #山本太郎 #井上陽水 #内…

センボンタスクの読書日記

支持しているもの好きなもの #広島カープ #れいわ新選組 #山本太郎 #井上陽水 #内村光良 #羽生善治 #辺見庸 #遠藤周作 #北の国から #ザ・プラクティス (敬称略) https://twitter.com/6RwgeoaloAkmHiw

最近の記事

私にとって神とは 遠藤周作:著

遠藤周作さんにとって神とは何なのか、その答えは神とは働きである。こんなにも神を分かりやすく表現した例はないのではないか。とても腑に落ちた。人間誰しも神の導きによりとしか表現できない状況に遭遇したことがあるだろう。その瞬間、確かに神は存在したと言えるのかもしれない。

    • 稀に見る厚顔無恥な対談 「派閥とカネ」 本音で語る 文藝春秋24年3月号

      人間はどこまで罪に不感になれるのか。最近の政治家を見ているとそう思わざる得ない。そんな政治家の筆頭が萩生田光一氏(2728)なのかもしれない。開き直りという言葉があるが、開き直ってくれるくらいの方がまだ救いがある。彼は開き直る必要すらない。なぜなら、彼にはそもそも何ら恥じるところがないのである。これには恐れ入った。 悪党に悪事の自覚なし。政治は金がかかるのだから、いくらネコババしても足りないようだ。一体何にお金がかかるのか?例えばこうである。 政治には金がかかる。その中身

      • 東京都同情塔 九段理江:著

        新聞の受賞を伝える『チャットGPT駆使「5%くらい文章そのまま」』という記事に対して、私は と呟いたが、こちらの発言はお詫びして撤回しなければならない。近年の若手作家の中では言葉への執着は群を抜いている。日々、言葉と向き合っている事が作品から垣間見えた。読みもせずに決めつけで発言してしまった事を深く反省した。独特な世界観にかなり引き込まれた。特に、ザハ案の新国立競技場が実現している世界という設定がゾクっとした。この国の異常さの一端はよく考えればこんなところにも現れていたので

        • 映画 ゴールデンカムイ 久保茂昭:監督

          何の予備知識もなく見に行って、物語の中盤あたりで気がついた。あ、これ絶対シリーズものだと。後から知ったが、コミック3巻分の内容だったらしい。シーズン5くらい軽く行きそうなイメージだった。エンタメとして十分面白かった。 ただ、2月3連休明けにふらっと映画を観に行こうとして、シネコンくらいしかない地方都市では他に観たいと思う映画がないというのは何とも物足りない。あるのはアニメかマンガ原作か、アイドルファンの為に作られた甘ったるい映画ばかり。テレビの世界では原作者が作品への傲慢な

        私にとって神とは 遠藤周作:著

          遠き落日 渡辺淳一:著

          本書を読もうと思ったきっかけはNHKの「フランケンシュタインの誘惑 科学史 闇の事件簿」を見た事にある。紙幣の肖像にもなり、立志伝中の人物として有名な野口英世の業績とされるものの殆どが間違いであり、最後は効きもしない自分が開発した黄熱病のワクチンを接種しアフリカに行き、黄熱病に罹って死んだという。終始否定的文脈で野口英世が扱われるこの番組に何も知らなかった私は驚愕し、逆に野口英世という人に興味が湧いた。 野口英世とはいかなる人物であったか、作者後書きが端的に表している。

          遠き落日 渡辺淳一:著

          月 石井裕也:監督

          実は、この映画の原作を私は途中で挫折してしまった。だからこそ、この小説を原作にした映画が公開されると知って見てみたいと思った。見終わった率直な感想は、原作を最後まで読んでない人間が言っても何の説得力もないが、本作は原作の解釈が間違っているのではないかと感じた。本作は最も描かれなければならないものが、すっぽりと抜け落ちているような気がする。やまゆり園の事件をモチーフにしたフィクションとして見ても決定的に欠けているものがある。それは、もの言えぬ障がい者であっても、確かに人として存

          「山上徹也」とは何者だっのか 鈴木エイト:著

          鈴木エイト氏は、もちろん殺人を肯定している訳ではないが、山上氏にかなりシンパシーを感じていることがわかる。鈴木エイト氏にとっては山上の犯行は、感情的な短絡的な無計画なものではあってはならず、何年もかけて計画し、その影響を十二分に予測したものでなくてはならないのだ。方法論は全く逆であり、彼を肯定することは、自身の否定にも繋がるリスクがありながら、それでも感情移入せざるを得ない存在なのである。同じような憤りを感じ、世の中を変えようともがき苦しんだ同志でなければならないのだ。 これ

          「山上徹也」とは何者だっのか 鈴木エイト:著

          福田村事件 森達也:監督

          https://www.fukudamura1923.jp/ この映画は物語はフィクションである。ただ、100年前に日本人9名が集団リンチを受けて死亡したという事は確かである。本作ではなぜ集団リンチが起こったのかをかなり丁寧に描いている。もちろんこれは一つの仮説にすぎない訳だが、作品に登場する福田村が100年後の今の日本と大差ない事に驚愕する。もちろんこれは、製作陣の目を通した日本の姿だが、笑い飛ばすにはあまりにも類似点が多すぎる。だからこそ、作品を見ながらどうすればあの惨

          福田村事件 森達也:監督

          君たちはどう生きるか 宮崎駿:監督

          あの内容で物語を途中で破綻させず、最後までもっていったというのは流石の一言。アニメーションも素晴らしい。ただ、殆どの人物の心情がよく分からなかった。もう少し踏み込んで言うと描かれていなかったように思う。監督の中にはあったのかもしれないが、それを感じ取るのは不可能だった。近年の宮崎作品全般に言えるが、登場人物に魅力が感じられない。世界観を表現する為のコマに成り下がっているような気がする。

          君たちはどう生きるか 宮崎駿:監督

          ハンチバック 市川沙央:著

          上手いなと思う。ただ、好きか嫌いかと言えばあまり好きではない。作者のインタビューでこの作品は最初から芥川賞を想定していたという話があったが、選考委員のコメントを読むとまんまんとその術中に嵌ったなという感じがした。かなり強かな印象を受けた。ただ、誰にでも取り上げられるテーマ・題材ではないだけに、そのインパクトを超えて物語へと昇華出来ていたのか?選者は、本来その視点から評価すべきではなかったのか。こんな事を言うと怒られそうだが、どうにも当事者性に気圧されてしまっているように思えて

          ハンチバック 市川沙央:著

          何が記者を殺すのか 斉加尚代:著

          本書はリベラルの為の闘いの教科書のような本である。実際に彼女の作ったドキュメンタリーは見た事がないので、映像作品への評価はできないが、書籍の方が過激な事を言っているのではと推察される箇所が複数あった。ほとんどの人が見ていないであろうテレビ放送は問題視され、書籍はほとんどスルーされてしまうというのは、活字派としては少し寂しいものがある。一例を紹介したい。 余談だが、田崎氏は目立つテレビだけでなく、こんなところでも仕事をこなしておられるのには頭がさがる。 冒頭にも書いたが、こ

          何が記者を殺すのか 斉加尚代:著

          世界23年8月号 安倍政治の決算

          一時期、ネット書店で世界8月号が買えない、圧力か?とちょっとした話題なったが、単に発行部数が少なくネット在庫が少なかっただけだろう。今の世の中、誰が世界を定期的に購入するというのか。多くの著者が書いている通り紙幅が少なく、深まってない記事が散見された。それを踏まえても、結局、安倍という人は長くやる事だけが目的の空っぽの男という結論になる。各氏が語る安倍氏のエピソードに碌なものはなく、何一つ国民の為になるものはない。いかに楽に長く権力を維持するか、それだけである。例を挙げればキ

          世界23年8月号 安倍政治の決算

          入り江の幻影 辺見庸:著

          今もこうして、辺見庸氏がことばを紡ぎ公表し続けていることは、考えて見たら私たちにとって幸運な事かもしれない。 先日亡くなった、大江健三郎氏は、最後の作品となった『晩年様式集』(2013年)以後のは公式には何も発表しなかったという、それと比べると、発言し続ける辺見庸氏のことばの貴重さがわかる。本作は鋭い同時代性はもちろん、老いへの言及が興味深い。老いる事は避けて通る事はできない。そこにどう抗うか?そう言う意味で本作で一番辺見庸氏らしく、好きなのは「1969」である。自死を選ぶ知

          入り江の幻影 辺見庸:著

          怪物 監督:是枝裕和

          是枝裕和×坂元裕二というだけで、見たいと思わせるものがある。 タイトルや事前の告知動画などから、本当の怪物とは誰なのか、善悪の根源を問うみたいな内容かと思ったが、実際にはそういう内容ではなかった。 例えるなら、本作は令和版「銀河鉄道の夜」と言えるかもしれない。本作で問われているのは、本当の幸いとは何なのかという問いのように感じた。最後、発車の合図だというのは、まさにオマージュそのものだった。

          政治はケンカだ! 明石市長の12年 泉房穂 鮫島浩:著

          一部の人の感覚では泉さんというのは暴言市長で止まっているのかなと思う。一方で泉市政を手放しで絶賛する人もおり、なんともアンバランスな感じだ。私は、手放しで称賛するという訳ではないが、それは結局のところどんな思想を持ち、何を成し遂げた人なのか、よく知らないということに尽きる。ただ、出直し市長選に勝利したという事実からも、多数の明石市民から支持されていたのは事実であろう。  そんな私が本書を読んで感じた事は、泉房穂氏の根源的な怒りである。鮫島さんが、泉氏と似ている政治家として古賀

          政治はケンカだ! 明石市長の12年 泉房穂 鮫島浩:著

          象は静かに座っている 監督: フー・ボー

          辺見庸さんが絶賛していたので興味があった。Amazonプライムにあったので視聴。かなり長く暗い。全編を通じて、どうしようもない不条理が支配しており、生きることへの諦めというか虚無感が漂っている。そこに描かれるのは希望の何もない世界。自分の境遇を何か他人のせいにでもしていないと、自分の存在さえ許容できない世界。ただ、結局は他者に責任を押し付けようとしてもそれが成立しないほど、人々は互いに無関心で、親子だろうが、兄弟であろうが、それは変わらない。この世界には何もない。ただスマホだ

          象は静かに座っている 監督: フー・ボー