阿波野 藍子

小説を書くのが好きです。若くないから若い人には受けないと思います。不倫小説が多く、最後…

阿波野 藍子

小説を書くのが好きです。若くないから若い人には受けないと思います。不倫小説が多く、最後には憂き目を見てしまうというパターンが多いです。

記事一覧

間もなく86歳老人日記

2023年12月11日(月)  「海の波」のビデオを撮りに行った。家から歩いて十分ほどの、湘南の海「虹ケ浜」に。今日の波は穏やかだった。空は曇り空であったが、暖…

阿波野 藍子
5か月前
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ロイヤル コペンハーゲンと北欧デザインの煌めき展

先日、横須賀美術館に、ロイヤル コペンハーゲン の展覧会に行ってきました。コンパクトな展覧会ながら、とても落ち着いていい雰囲気でした。展覧会の中で、これは写真を…

阿波野 藍子
6か月前
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人の手を借りない

85歳になって、考えることは、単純です。身の回りのことが、人の手を借りずにやれるように、頑張ろうということなんです。 たとえば、まだ一人でお風呂に入れる。髪も洗え…

阿波野 藍子
10か月前
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ネアンデルタール人とホモサピエンス

ネアンデルタール人が絶滅した理由と、我らが祖先ホモサピエンスが獲得した、子孫が続いていくための肉体の違いを読み、そんなものなのかと、分からないところもあるが納得…

阿波野 藍子
11か月前
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白髪隠しの帽子

おはよう!今日も元気でいこう! 私は85歳のおばあちゃん 今日から、自分のことをキラキラ婆さんと呼ぶことにしよう。 あのさ、あさって22日は、高校時代の同窓会が神田…

天井にいた蜘蛛がうまく捕獲できた便利グッズ

さてさて皆さん、婆さん(私)の小学生時代というと、戦後ということになるんだわ。 日本が戦争に負けてね、全てがごった返しというような状況だった。 市場のお惣菜屋な…

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藤沢市立南市民図書館にある「王様のテーブルと椅子」

藤沢市の南図書館に行くたびに、風変わりなアンティークのソファーセットがあるのを不思議に思っていました。 そうしたらなんとそれは、大島渚の奥様の小山明子さんが、大…

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愛のコリーダのシナリオを読んで

コリーダって闘牛という意味なんだって。 阿部定の事件が起こったのは1936年のことだって。 私が1938年生まれだから、私が生まれる2年前の事件なんだ。 だから明治30年生ま…

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鎌倉大仏はやはり美男だった

おととい(2023・2・21)、鎌倉の大仏さんを見てきました。 見て来るなんて言い方、不遜? だってお釈迦様だから、信仰しなければね。 「おととい、鎌倉の大仏さんを拝…

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ノストラダムスの予言

   「ノストラダムスの予言」 1999年7月、夏休みの前日、後ろの席の智 子が、真理子の背中をつついた。真理子は、 英語の加藤先生が板書しているのを見計ら って、振り…

オスカー・ワイルド作「サロメ」と原田マハ作「サロメ」の感想文

年末『サロメ』にはまってしまった。 以前よく絵の展覧会に行っていた時、宗教画みたいなものを訳も分からず見たものだ。 聖書のことなど何も知らず、知ろうともせず、『サ…

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最近祈ることが多くなった。

最近祈ることが多くなった。 若いころは、今から思えば傲慢だったのか、祈ることをしなかった。 最近になってようやく、祈るということは、人の力でどうすることもできなく…

秘められた青春- 昭和の娘 芙蓉と葵 -

(1)  芙蓉は庭の水仙を切って紙にくるみ、ピンクのリボンをかけて、杉野先生のマンションを訪れた。  マンションに杉野先生…

平野啓一郎著『富士山』について

どんな経緯からだったかは忘れたが、私は平野啓一郎のメールレターを受信し始めた。 ついこの間届いたメールレターに、月刊誌『新潮』(新年号)に、『富士山』という小説…

カンナの恋 前編 (決定版)

 カンナは神戸空港のカフェのカウンターに頬杖ついて、海に沈む太陽を眺めていた。沈みゆく太陽の彼方に、黄泉の国があるとは考えられないが、赤い太陽のすぐ後ろに永遠の…

満腹料理・大人も子供も大満足の「ホッペルポッペル」

 加奈子は小川のほとりに座っていた。クリーム色のサテンのブラウスに、赤と黒の格子縞のフレアースカート、それに、白いソックスとベージュ色のスニーカーを履いていた。…

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間もなく86歳老人日記

間もなく86歳老人日記

2023年12月11日(月)
 「海の波」のビデオを撮りに行った。家から歩いて十分ほどの、湘南の海「虹ケ浜」に。今日の波は穏やかだった。空は曇り空であったが、暖かい。人影は、いつものことながら、まばらである。
 遠くの方で、波打ち際で釣り糸を垂れている人がいる。こんな波打ち際まで、魚が来るのかと、いぶかしく思っていた。
 ところが、しばらくして、私の目の前で、大きな魚が飛び上がったのである。波打ち

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ロイヤル コペンハーゲンと北欧デザインの煌めき展

ロイヤル コペンハーゲンと北欧デザインの煌めき展

先日、横須賀美術館に、ロイヤル コペンハーゲン の展覧会に行ってきました。コンパクトな展覧会ながら、とても落ち着いていい雰囲気でした。展覧会の中で、これは写真を写していいよと出ていた場所が上の写真の所です。

同時に、谷内六郎展もやっていました。週刊新潮の表紙を飾った,我々の世代には懐かしい絵です。

谷内六郎とロイヤルコペンハーゲンは、コラボしていて、週刊新潮の表紙の絵が、ロイヤルコペンハーゲン

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人の手を借りない

人の手を借りない

85歳になって、考えることは、単純です。身の回りのことが、人の手を借りずにやれるように、頑張ろうということなんです。
たとえば、まだ一人でお風呂に入れる。髪も洗える。
こんなことでも、ありがたいなと思うのです。
一人でパンツがはける、着替えもできる、ありがたいなと思うのです。
左膝がやられて、歩くのはのろい。途中で、ベンチがあれば、ちょっと休んでから帰れるのにな、と、ベンチのない道を恨めしく思う。

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ネアンデルタール人とホモサピエンス

ネアンデルタール人が絶滅した理由と、我らが祖先ホモサピエンスが獲得した、子孫が続いていくための肉体の違いを読み、そんなものなのかと、分からないところもあるが納得できた。だが、現代人の男子の精子の数の減少、などを読んでいると、折角良い資質をホモサピエンスは獲得したにも関わらず、別の理由、精子の数の減少ということで、ホモサピエンスは、ネアンデルタール人と同じく、20万年か30万年先に絶滅するかもと、考

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白髪隠しの帽子

白髪隠しの帽子

おはよう!今日も元気でいこう!
私は85歳のおばあちゃん

今日から、自分のことをキラキラ婆さんと呼ぶことにしよう。

あのさ、あさって22日は、高校時代の同窓会が神田であるのさ。

それでさ、キラキラ婆さんの悩みが発生したのよ。

それは、白髪。

キラキラ婆さんさ、もう白髪染めやめようと決心したの。

だってさ、染めたら頭痒いもん!

真っ白にしたいのよ。

2年ぐらい黒白マダラを辛抱してさ。

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天井にいた蜘蛛がうまく捕獲できた便利グッズ

天井にいた蜘蛛がうまく捕獲できた便利グッズ

さてさて皆さん、婆さん(私)の小学生時代というと、戦後ということになるんだわ。

日本が戦争に負けてね、全てがごった返しというような状況だった。

市場のお惣菜屋なんか、ハエがいっぱい旋回していてね。天井からハエ取り紙が何本もぶら下がっていて、そこにハエがいっぱいくっついて、モガモガ動いていたりしたんだわ。そんな環境で育ったから、虫は平気さ。ゴキブリも平気さ。蜘蛛(くも)もね。

ところがだよ、オ

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藤沢市立南市民図書館にある「王様のテーブルと椅子」

藤沢市立南市民図書館にある「王様のテーブルと椅子」

藤沢市の南図書館に行くたびに、風変わりなアンティークのソファーセットがあるのを不思議に思っていました。

そうしたらなんとそれは、大島渚の奥様の小山明子さんが、大島渚が使っていたものを寄付してくださったものなのでした。

大島渚は藤沢市に住んでいたんですって。

テーブルの由来の説明文の一部を引用いたします。

「映画における自由で前衛的な作風の一方で、日常では礼節を重んじ、藤沢でのご自宅の生活を

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愛のコリーダのシナリオを読んで

愛のコリーダのシナリオを読んで

コリーダって闘牛という意味なんだって。
阿部定の事件が起こったのは1936年のことだって。
私が1938年生まれだから、私が生まれる2年前の事件なんだ。
だから明治30年生まれの祖母などは、歴史上の事件でなく同時代の事件として口に出していたんだわ。私にとってはもう歴史上の事件という感覚です。

ところで映画のシナリオですから、性の営みの描写あり、セリフありですが、読み進んで行って、その営みが昇華

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鎌倉大仏はやはり美男だった

鎌倉大仏はやはり美男だった

おととい(2023・2・21)、鎌倉の大仏さんを見てきました。

見て来るなんて言い方、不遜?

だってお釈迦様だから、信仰しなければね。

「おととい、鎌倉の大仏さんを拝んで参りました」、とね。

与謝野晶子の短歌「鎌倉や 御仏なれど釈迦牟尼は 美男におわす 夏木立かな」

この歌のとおり、大仏様のお顔は本当に美しいと思いました。

私の写真より、実物の方がずっとずっと美しいのですよ。

ふくよ

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ノストラダムスの予言

ノストラダムスの予言

   「ノストラダムスの予言」
1999年7月、夏休みの前日、後ろの席の智
子が、真理子の背中をつついた。真理子は、
英語の加藤先生が板書しているのを見計ら
って、振り向いた。智子は白い紙切れを、
差し出した。真理子は素早く受け取った。
「ノストラダムスの予言の7月が終わろう
としているが、まだ安心はできない。もしも
30日まで何も起こらなかったら31日が危な
い。その日は裏山の洞窟にこもって一緒

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オスカー・ワイルド作「サロメ」と原田マハ作「サロメ」の感想文

オスカー・ワイルド作「サロメ」と原田マハ作「サロメ」の感想文

年末『サロメ』にはまってしまった。
以前よく絵の展覧会に行っていた時、宗教画みたいなものを訳も分からず見たものだ。
聖書のことなど何も知らず、知ろうともせず、『サロメ』って何なの気持ち悪いねって、見たくないもののうちに入れていた。

でも、頭の中にひっかっかていたのだろう。
図書館で書棚を見ていたら、原田マハ著『サロメ』という本が目に入った。
私は少しでも利口にならねばならないと思ってその本を借り

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最近祈ることが多くなった。

最近祈ることが多くなった。

最近祈ることが多くなった。
若いころは、今から思えば傲慢だったのか、祈ることをしなかった。
最近になってようやく、祈るということは、人の力でどうすることもできなくなくなった時、人は祈るよりほかに方法がなく祈るのだと思うようになった。

昔、大阪文学学校で知り合た親しい仲間5人のうちに、俳句の上手な方がいた。
その方を師匠として、5人で句会のまねごとをして楽しんでいたところ、師匠が胃癌になられた。

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秘められた青春- 昭和の娘 芙蓉と葵 -

秘められた青春- 昭和の娘 芙蓉と葵 -


(1)
 芙蓉は庭の水仙を切って紙にくるみ、ピンクのリボンをかけて、杉野先生のマンションを訪れた。
 マンションに杉野先生がいらっしゃるかどうかは、賭けのようなものだった。日曜日、先生は時々田舎の実家のほうに帰られる。芙蓉は胸をどきどきさせながらインターホーンを押した。
「おお、紺野か」という声が聞こえて、先生はガチャっ

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平野啓一郎著『富士山』について

平野啓一郎著『富士山』について

どんな経緯からだったかは忘れたが、私は平野啓一郎のメールレターを受信し始めた。

ついこの間届いたメールレターに、月刊誌『新潮』(新年号)に、『富士山』という小説を書いたので読んでくださいと書いてあった。

年末のある日、天気も良く温暖で風もなかった。こんな日に家にこもっているのはもったいないと思い、図書館に出かけて行って、小説『富士山』を読んできた。

筋はというと、アラフォーのキャリアウーマン

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カンナの恋 前編 (決定版)

カンナの恋 前編 (決定版)

 カンナは神戸空港のカフェのカウンターに頬杖ついて、海に沈む太陽を眺めていた。沈みゆく太陽の彼方に、黄泉の国があるとは考えられないが、赤い太陽のすぐ後ろに永遠の世界が広がっているような、そんな心地よさを味わいながら、うっとりと、夕日を眺めていた。   

 カンナは夫の骨壺を、空想の中で、海の水平線、沈みゆく太陽のかたわらに置いてみた。何の変哲もないつるつるとした光沢のある白い骨壺。太陽に比べた

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満腹料理・大人も子供も大満足の「ホッペルポッペル」

満腹料理・大人も子供も大満足の「ホッペルポッペル」

 加奈子は小川のほとりに座っていた。クリーム色のサテンのブラウスに、赤と黒の格子縞のフレアースカート、それに、白いソックスとベージュ色のスニーカーを履いていた。
 柔らかい日差しがもうすぐ春が来るのを告げていた。
 流れの早い小川の水はきらきらと光っていた。時折、枯れ葉が加奈子の目の前を過ぎていく。赤ん坊の手のひらのような小さな枯れ葉や、グローブのような大きな枯れ葉が、気持ちよさそうに水と一緒に滑

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