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アメージング旅行記

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「アメージング」がどの程度の強調表現かは分かりません。それでもアメージングな旅行記を書いてみた(つもり)。
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ローカルバス2回乗り継ぎ8時間耐久戦

ローカルバス2回乗り継ぎ8時間耐久戦

現地人の乗車率がほぼ100%のスリランカのローカルバスは、意外にも心地良い場所だった。その心地良さを引き出しているのは何かといえば、それは窓からビュービューと吹き込んでくるセイロン島の湿った風とあたたかな人の笑顔であった。

僕がこの国を愛してやまない理由は人がとてつもなくあたたかいことだろう。

どこを歩いても、どのバスに乗っても、人々は僕の方へ可愛らしい笑顔を見せるのである。それは、外人という

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やっぱりええ街、ルアンパバーン

やっぱりええ街、ルアンパバーン

相変わらず騒音に悩まされる最悪な朝を迎えたが、今日ばかりは気持ちが違う。なぜならそれは、思い切って違う宿に泊まると決心したからだ。

再びこの最低最悪の宿に戻らなくてはならないという心配はないから、寝不足で迎えた朝もなんだかスッキリとしている。

本当はまだこの宿に3泊はできる、というか3泊分のお金を既に払ってしまっているのだが、これ以上このホテルに居座ればルアンパバーンを——あるいはラオス自体を

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睡眠リベンジ(ラオス、ルアンパバーン)

睡眠リベンジ(ラオス、ルアンパバーン)

ルアンパバーンの街を散策したことについては後日記述することとして、その日の夜はバイクの騒音で殆ど眠りにつくことができなかった。

ルアンパバーンに着いたのが夕方とはいえ、すこぶる歩いたからその日は疲れた。だが、バイクがホテルの前をひっきりなしに通るから、交感神経が刺激されて重い瞼が開くのである。

日付が変わった頃、さすがに交通量は減ると思ったがこの街は眠ることを知らない。確かにバイクの交通量はま

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うるさいを通り越してうるせえ街(ラオス、ルアンパバーン)

うるさいを通り越してうるせえ街(ラオス、ルアンパバーン)

ラオスと聞いて、何を思い浮かべるか。それは人それぞれであろう。

僕がラオスへ訪れてみたいと思ったのはここ数年のことで、それまでこの国のことをまるっきり知らなかった。

そもそもラオスという国自体に興味を持っている人は日本にどれほどいるのだろうか。興味を持つか持たない以前に、ラオスはどこにある国なのか。いや、ラオスが国ということすら知らない人だって少なくないのではないか。

ということは、ラオスの

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ヤバい喫茶店

ヤバい喫茶店

国内旅行よりも海外旅行の方が好きだ。理由は刺激的だから。まあそれは国によるか。とはいえ、国内旅行であっても刺激がない訳ではないし、僕が去年訪れた岐阜の飛騨古川のとあるカフェはこじんまりとしているのに超絶刺激的な場所であった。



僕たちが岐阜に訪れたのは春を待ち侘びる最中で、まだみぞれが降るような2月のこと。学部時代、バイト先で仲良くなった男友達二人との一泊二日の旅だった。この旅一番の目玉が白

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なにゆえヒッカドゥワ!?

なにゆえヒッカドゥワ!?

スリランカのシーギリヤは石見荘という日本人の経営する宿にチェックインしたとき、シンハラ人のおじさん従業員に「明日はどこに行くんだ」と聞かれた。

スリランカ4日目はヒッカドゥワという海辺の街で過ごす予定であった。僕がヒッカドゥワと答えると、おじさんは目を丸くして「ヒッカドゥワ!?」と聞き返してきた。「イエス」と答えると彼は「ヒッカドゥワイズソーファー」と苦笑いしながら続けた。

確かに地図で見ると

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福州どこやねん

福州どこやねん

不本意で訪れた中国であるが、こんな機会でなければ一生足を踏み入れることはなかったであろう福州市の街歩きを決行することにした。

起床後、洗顔をしてホテルの朝食会場へ向かう。格安トランジットホテルの無料朝食はバイキング形式だったが、どれも味は微妙だった。これでもかと油をふんだんに使った焼きそばみたいなものと、全く味がしないお粥、特に記憶に残らない野菜炒め。

朝からこんなものを食べている中国人たちの

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言語の壁高きチャイナ(入国編)

言語の壁高きチャイナ(入国編)

中国語は你好、謝謝しか知らない。あ、ウォーアイニー(=愛してる)も分かる。でも本当にそれだけである。

↑前回(別に読まなくても楽しめますが読んだ方がもっと楽しめます。知らんけど)。



中華人民共和国は福州、福州長楽国際空港に到着したのは日が沈んだ19時過ぎを回った頃だった。

至る所に漢字。そこに平仮名も片仮名もない。全てが漢字で表されていることが中国に来たことを実感させる。

とはいえ英

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文句ばかりの成田空港泊

文句ばかりの成田空港泊

羽田空港の国際線ターミナルで2回だけ夜明けを待ったことがある。小田原に住んでいると、終電は23時くらいで22時以降に到着する便では到底間に合わないのだ。

いやギリギリ間に合うのかもしれないが、エアアジアという遅延が当たり前の22時着というのは23時着を表す。よって空港泊が確定となるのだ。

なら空港ではなくてちゃんとホテルを取りなよと言われそうだが、一泊3,000円もあれば朝食付きで満足できてし

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搭乗拒否のクリスマスイブ

搭乗拒否のクリスマスイブ

クリスマスイブ、ベトナム行きのフライトで僕は一人成田空港にいた。異変に気づいたのは東京駅から出ている成田空港行きのシャトルバスの中だった。

ベトナム航空からの航空券に関するメールは一通だけで、そこに書かれた予約番号をホームページに打ち込むも永遠とエラー画面は変わりやしない。

おかしい。そもそも「予約完了」のメールだけという時点でおかしい。eTicketや航空券番号はどこを探してもないのだ。

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何回か死にかけたけどまた行きたいあの場所

何回か死にかけたけどまた行きたいあの場所

死にかけるというのは実際のところ死んでいないのだから、その程度というものがあると思う。それに、「死」とは生物的死と社会的死の2種類が存在するものだ。心臓が一時は止まったけれど再び動き出すという限りなく死に近い生物的死にかけがあれば、飲み会であやうく吐瀉物を撒き散らしそうになるという社会的死にかけも存在するだろう。

では、僕がスリランカの滞在中に何度か死にかけた経験というのはどこに分類されるのか。

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いざシギリヤ

いざシギリヤ

雨季なのに太陽がキャンディの街を照らした朝。この愛くるしい街に別れを告げ、僕はシーギリヤを目指した。

ホテルからキャンディのバスターミナルまではアプリでトゥクトゥクを呼んだ。トゥクトゥクドライバーにこれからどこへ行くのかを尋ねられ、正直にシーギリヤと言った後はバスではなくトゥクトゥクで行くのがベターだとかなんとか言われて面倒くさかった。ベターでもなんでもなく単純に彼の営業である。

試しにいくら

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ジャパニーズガールフレンドと交際するスリランカ人と、独り身の僕

ジャパニーズガールフレンドと交際するスリランカ人と、独り身の僕

商売というのは「一工夫」がいかにも大事なものであるというのは古今東西共通することみたいで、ここスリランカでも工夫された口説き文句を数多に体感してきた。

安さを売りに出す人、執拗なまでに質をアピールする人、日本について知っていることをベラベラと話し始める人(大抵の場合トウキョウ!オオサカ!アリガトウゴザイマス!と言っている)……

が、それとは一線を画すような忘れられないキャッチの一言があった。

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そのほほえみに恋をした

そのほほえみに恋をした

「知らない人にはついていかない」
誰もが幼き頃から耳にしていた言葉である。

大人になってしまえば知らない人について行く機会がそもそもなくなってしまうから、こんな言葉は意識することなく生活ができる。

だが、異国においては知らない人から声をかけられることがやたらと多い。無論、旅する国によって異なるのだろうが、スリランカに関していえば、もうそれはそれはモテモテである。

「このグットなTシャツが絶対

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