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すでにそこにある無限の可能性を観て相手と向き合う "小学校教諭 西本きよらさん”

大学時代、カンボジアでの留学中に美術教育に携わった経験や学びを生かして、現在は小学校教諭として活躍されている"西本きよらさん"からお話を伺いました。

西本きよらさんプロフィール
出身地:福岡県
活動地域:福岡県
経歴:太宰府高等学校芸術科美術部油彩専攻卒業、平成22年度福岡県青少年アンビシャスの翼キングズウッドコース班長(イギリスのワイト島での国際交流キャンプ)、リーダー養成塾9期生、福岡教育大学教育学部初等教育教員養成課程美術専攻卒業。福岡県カンボジア王国名誉領事館の遊学生としてカンボジアへ行った後、官民協働事業トビタテ!留学JAPAN2期生としてカンボジアへ留学
現在の職業:小学校教員

生活と関わりのある学びをしつつその中に図工や美術というものを見つけていきたい

記者:西本さんは、学生時代にカンボジアに留学をされ、現地で美術教育に携わった経歴をお持ちですが、なぜ現在は日本の小学校教諭になられているのですか?

西本きよらさん(以下、西本):カンボジアで、私はもっと教育現場に深く携わりたかったのですが、学生という立場で経験も無いため、ちゃんと授業を任せてもらうことができなかったんです。それがとても悔しくて、しっかりと教員としての経験を積んだ上で、再挑戦したいと思ったからです。

記者:そうだったのですね。でも、教員の中でも小学校の教員を選択されたのはなぜだったのですか?

西本:それは、カンボジアに留学していた時に経験した、2ヶ月ほどの孤児院での共同生活がきっかけです。そこで子どもたちと図工の授業以外の生活の時間を共にする中で、私にとっての発見がありました。

孤児院での生活は、朝起きたらまず掃除、それから20~30人分のご飯を子供達と炊き、畑を耕しに行き、食材を買いに行き、勉強をして、遊んで、寝るみないな生活だったんです。
その生活を送る中で、子ども達が生活を豊かにする工夫をしてくるんですよね。お花のブーケを作ってきてくれたり、食卓が可愛くなるように飾り付けてみたり。そんな子どもたちの姿から、自分自身が美術を好きになった原点を思い出しました。家族や友だちを喜ばせたいとか作ったら楽しそうとかただただ描いてみたいとか、生活の中で出てきたそういった思いから色んなものを作ったり描いたりしてきたんだと気付かされました。それで、国語、算数、音楽、体育と、生活と関わるのある学びの中で図工や美術というのを見つけていきたいと思いました。

「できた!楽しい!もっと!」をいろいろな人とつくりたい

記者:そんな西本さんが思い描くこれからの夢・ビジョンを教えてください。

西本:「できた!楽しい!もっと!」を色々な人とつくりたいです。特に、自分に自信がない人とか困っている人とかと一緒に「楽しい!」を作っていけたら私もわくわくします。
あと、子どもとは一生関わっていきたいです。子どもたちは、とにかく楽しい!もっと楽しくするにはどうしよう!できた!次は....ってします。常にこれです。そうして、どんどん遊びの中で学んでいっているんです。生きているのが楽しい!って感じで全力で遊んだり学んだりする、そんな楽しさをもっといろんな人と共有したいと思っています。

『できない』を『できた!!』に導く指導技術を磨いている

記者:その夢・ビジョンに向けて、どんな指針をもって活動をされているのでしょうか?

西本:一人一人に向き合って、理解して、どこまで可能性を引き出せるのかに注力しています。私と関わる子どもたちが、楽しいって思えないと嫌なんです。どうやったら楽しいって思えるかな?っていうことはいつも考えています
私自身、「自分できない、ダメだ。」ってなっている時はすごく落ち込むし、でもそれができた時の喜びも同時に知っているので、やはり「できた!楽しい!」って思ってくれるように、「できない」を「できた!」に導く指導技術を磨いていきたいと思っています。やりたいと言ってやってみて、「できた!」って言った時の顔はたまらないですね(笑)

また、留学中にインターンをさせていただいたNPOの方から、先日良いお話をいただきました。そのNPOはカンボジアの文科省や芸術省と日本の文科省と美術の新しいカリキュラムを作っていて、日本にいる教員など美術や図工に携わっている人に指導案を書いてもらっています。その中のいくつかを私に書いてもらえないかという依頼を頂くことができたんです。
今後10年間使われるカリキュラムなので、送った指導案が向こうで審査される過程はありますが、とても嬉しいお話でもあります。今は留学中に考えたものをさらに改善していくところに携わって、カンボジアの子どもたちにもっと自分の表現ができる場をつくっていきたいです。

記者:表現することを通して一人ひとりが自分の可能性に気づけるような指導案になっていきそうで、楽しみですね。

自分自身の関わりによって、できないと思っている人ができるようになることってこんなに嬉しいんだと気づいた

記者:西本さんが、『「できた!楽しい!もっと!」をいろいろな人とつくりたい。』という夢をもったきっかけは何ですか?

西本:そそもそも教育に興味を持ち始めたのが、高校3年生の時ですね。私は芸術課に通っていたのですが、周りの友達は、勉強があまり好きじゃない子が多かったんです。でも私はどうやったら勉強が楽しくできるかを考えるのが好きで、友達に教えていたんです。例えば、みんなは漫画のセリフを覚えて話すのがすごく得意だったので、古典文法を使って漫画をかいて、それをコピーしてあげたら、「赤点じゃなくなったよ!」って嬉しそうな顔で言ってくれてすごく嬉しかったんです。その時、自分自身の関わりによって、できないと思っている人が、できるようになるってこんなに嬉しいんだと気づきました。それで教えるって面白いと思い、教育に興味を持ちました。

そして大学生になり、留学中に、フリースクールや孤児院、ストリートチルドレンの子がいる側など様々な所で絵を描いていました。話を聴くと、それぞれ苦しみを抱えていることがわかるのですが、絵を描かせたら、ものすごく集中して描くんです。その時に、自分は絵を描けるんだってことに気づけること、自分はこんな表現をする人ですよって表現をみせられることによって、自信をもつことができるんだと、改めて感じさせられました。だからこそ、誰かに自分を認めてもらえて、表現できる場所をつくっていきたいと思いました。

子どもが学校で色んな学びや表現の方法を知り、活用し、自分のことを好きになってくれたら一番幸せ

記者:最後に、これからの時代に向けて、どんな美しい時代をつくっていきたいと思われますか?

西本:自分の思いとか考えを表現できる場がもっと増える時代になっていったらいいなと思います。やってみよっかな!を形にしてみると、それが人の目に触れることで、結果1つのコミュニケーションになっています。それは、既に簡単にできていますよね。SNSでも、インターネット上でも表現し共有して反応が返ってくるのも早いです。海外とも簡単に共有できますし。
でも、学級或いは学校という社会の中でうまく表現できない、自己有用感を感じていない、自尊感情をもてない子どもが結構います。子どもが学校で色んな学びや表現の方法を知り、活用し、自分のことを好きになってくれたら一番幸せです。だから、社会を変えるというよりは、まずは、子ども一人一人が楽しく生きる力を身につけることができるように、私自身が教師のプロフェッショナルになりたいと思います。

記者:学級や学校が、安心して表現できる場になっていくだけで、子ども達が自然と生き生きとしていきそうです。西本さんのような先生がいてくれたら本当に希望ですね。
本日は貴重なお話、ありがとうございました。

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西本きよらさんについての詳細情報についてはこちら

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■編集後記
インタビューを担当しました大野 & 平城です。今回はオンラインでのインタビューとなりましたが、画面の向こうからでも西本さんの情熱とエネルギーがしっかりと届きました。
「美術が無いから美術をいれる」、「できないからできるようにする」のではなくて、元からそこに有ることを認識できるからこそ、どんな相手の可能性も引き出すことができる西本さんがいらっしゃるのだと、深く感銘を受けました。今後のご活躍を期待しております。

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この記事はリライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。


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