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ひとりごと

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銀座の純喫茶

銀座の純喫茶

何やらきな臭い話だった。聞くに「連帯保証人がどうの」とか「彼の弟の取り分が云々」という話。どこか酒焼けしているような、それでいて年にはやや不釣り合いにも感じる少し甲高い声の女性が、純喫茶のカウンターで滔々と隣の男性に話しかけている。男性は時折ぼそぼそと口を動かしているものの、それは人に聞かせるためというよりも自分自身に言い聞かせているようにも聞こえる語り口であった。

やがてひとしきり、話し終わっ

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ジャスパーモリソンとホワイトボード

ジャスパーモリソンとホワイトボード

最近、うまく眠ることができない。ちゃんとベッドに入るのだが、どうにもなかなか寝付けない。日中はほぼずっとPCの前にいるし、寝る直前もスマホを眺めているので、脳が興奮していて寝付けないのだろうとは思うのだが、だからといってその習慣を簡単にやめられたら誰も苦労はしない。人間は意思の弱い生き物であり、僕もご多分にもれず意思薄弱である。仕方がないので寝ることを諦めてベッドを抜け出し、PCの前に戻り、何か書

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忘れられた男

忘れられた男

その男は静かに息を引き取った。まるで娘の到着を待っていたかのようだった。独力で立ち上がれなくなった時期から、娘以外に関する記憶がほとんど朧げであったからかもしれない。彼女の呼びかけに目を見開いた後、ほどなくして旅立った。

娘は、ひとしきりの涙を流したのち、あらかじめ決めていた手筈通りに、実にテキパキと手続きを行った。その男の最期を見届けた医師は「今日はもう一人亡くなりそうだ。」と呟きながら慌ただ

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深夜のホットミルクに関する雑記

深夜のホットミルクに関する雑記

家に帰ってから、予定よりも少し長く仕事を続けたせいで、ベッドに入ったのは1時を廻っていた。週の頭から頑張りすぎるとろくなことがない。少しくさくさした気持ちが災いしたのか、どうにも眠れなかった。

仕方がないので眠るのを諦めて、のそのそとベットを出て冷蔵庫を開けると、牛乳があった。賞味期限は11月19日になっていて、正に日付が変わって19日になったところだと気がついたので、温めて飲むことにした。

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いつもより少し早く目が覚めた。彼女はまだすやすやと横で眠っている。朝が弱い人間にとって、何となく早起きしてしまうとちょっと特別な日になる。少しだけ丁寧に髪をセットして、行きがけにベッドに目を向ける。遠くから彼女の寝顔を確認した後、ドアをそっと閉め、僕はゆっくり階段を降りていった。

いびきの様な鈍い音を立てながら、電車はいつも通り動いている。あの男は夕食を食べて、それから嵐のように出て行った。電車に揺られているうちにそんなことを思い出した。

地下鉄の駅をゆっくりと歩いていると、じんわりとした身体の重さが、とても曖昧に感じられる。少しだけ、疲労が侵食する実感が湧いてきたけれど、それもきっと眠ったらまた忘れてしまうのだろう。