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CIVILSESSION 21:HOOK

開催日:2019年4月6日

CIVILSESSIONはクリエイティブチームCIVILTOKYOのメンバーが様々な分野の方と行うアートセッションです。決められたキーワードを元に、発表者たちが一週間で作品を制作します。キーワード発表から一週間後にそれぞれの作品のプレゼンを行い、参加者の投票でグランプリを決定します。

第21回目のキーワードは「HOOK」。
CIVILTOKYOの3名とゲスト参加者3名の計6名で行いました。

三上司(ファッションデザイナー)
・村田美樹(プロジェクトマネージャー)
渡辺健太郎(会社員/Podcaster)

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グランプリは渡辺健太郎に決定しました。

HOOKを自身の好きなヒップホップ用語である「フック=ラップのサビ」として解釈し、かつ自分の趣味であるランニングをアウトプットの方法にも活かした渡辺が見事グランプリを獲得しました。全長21kmものランニングによって「HOOK」の文字を地図上に完成させ、観客を沸かせました。

伊藤はキーワードのリサーチの過程でラグビーのポジション「フッカー」に行き当たり、未だ盛り上がりが少ないようにも感じるラグビーを、本人の熱のこもった実況解説と共に鑑賞するというパフォーマンスを発表。
杉浦は自身の家にもあるS字フックがシンプル/機能的な存在であり用途も明確であることから、「ものを特定の場所に引っ掛ける」以外の活用法を模索し提案。
三上は恋愛関係における出会いについての考察を説明した上で、最初の会話の「きっかけ」=「フック」と捉え、そのきっかけを生むために恋愛ステータスを示すキャラクター「フックン」を提案。
根子は自身が「女子高生カルチャー」「ギャル文化」「ヤンキー文化」などの独特さに引っかかり、惹かれると説明。それらの文化間で使われる言葉をネオンサインに見立てて映像作品を制作。
村田は、整理整頓するためのツール「フック」を、スケールを変えて見ると世の中を人間都合で綺麗に整理してしまう人類の都合の良さの象徴として捉え、そこに抗うための映像HxxKを製作しました。



①渡辺健太郎(会社員/Podcaster)/Physical Art “HOOK”

“HOOK”という言葉から思い浮かんだのはラップミュージック、ヒップホップ用語のHookでした。
Hook ・・・ラップにおけるサビの部分
Verse ・・・ラップにおける、AメロやBメロ好きなHookをもつ曲を集めてSpotifyのプレイリストをつくり、走りだしました。わたしはランナーでもあるのです。曲のBPMにあわせランニングのペースも変え、曲と街と一体化しました。そしてわたしは、全長21kmの Physical Art “HOOK” を完成させました。with “HOOK”フックとともに🎧

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②伊藤佑一郎(写真家)/超にわかファンによる一夜漬けラグビー実況

ラグビーにはフッカーというポジションがあります。主に背番号2番をつけた選手のことで、味方のスクラムを統率する役目のほか、スクラム横から入ったボールを足で書き出し、スクラム後ろで待ち受けている味方にボールを渡すことも仕事です。そこほかフィールドから出たボールを投げ入れるスローワーの役目を負うことも多く、ボールを扱う器用さも求められます。体を貼って相手にタックルすることももちろんですが、最近の新しいラグビーではパワープレイで相手に攻め込むことも求められるようです。守りにおいても攻めにおいても重要な役割があり、チームの勝敗に大きくかかわる重要な換えの効かないポジションです。日本代表のフッカーと言えば堀江翔太選手で、怪我もいとわない献身的なプレーが長く日本代表を支えています。
と色々とフッカーについて調べて行く中で、ラグビーがすっかり好きになってしまいました。そうなれば他の人にラグビーの面白さを伝えたいと思うのが、にわかファンの習性。ちょうど今年ラグビーW杯が開催されるのに、2020のオリンピックに比べてまだまだ盛り上がっていないのが現状。
ルールが難しいし、実況とか聞いてても専門用語とか全然わからないという人が多くて、なかなかハードルが高いところを、にわかだからこそ伝わる熱量で、ただただ一緒に見ているような専門用語一切なしの拙い実況でラグビーを伝える試みをしました。

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③杉浦草介(デザイナー)/現実的かどうかは置いといて

ものを引っ掛けて吊るすのに使われるS字フックは、その用途が割とはっきりしています。一例としてコミュニケーションツールなど、その形状や機能を活かして、それ以外での使い方があったりしないっすかね〜。

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三上司(ファッションデザイナー)/HOOKUN

恋愛関係における「出会い」について。同じ学校、同じ職場、幼馴染、友人の紹介、飲み会、婚活パーティー、お見合い、ナンパ、SNS、出会い系サイトやアプリ…偶然の出会いから意図的なものまで、現代においてその形は多種多様です。
それらは運命という言葉で片付けられることかもしれないし、場合によっては、もっと計算高いものなのかもしれません。
都合の良い偶然は簡単に転がっていない。「盛った」顔写真やプロフィール前提の「SNS」や「出会い系」は今っぽいけれど抵抗感があるし、出会いを目的とした会合に参加するのも面倒。「打算的」な何かが気持ちを萎えさせてしまうのです。
もっと自然に「出会う」方法として、例えば「妊娠マーク」や、車の「初心者マーク」のように恋愛における自分の意思や属性を示す記号があっても良いのではないかと思いました。
自分の恋愛ステータスを表示できるキャラクター(キーホルダー・ステッカーなどにアイテム展開可能)により、会話のきっかけ(フック)となる。そして実際に「フック」で繋がって、コミュニケーションが生まれる。
既存の所謂「出会い系」サービスにキャラクターという概念が無い中、アイコンとなるキャラクターを提案して、それが浸透することで、あたらしい出会いの形がデザインできるのではないかと考えました。
普段の自分が居るコミュニティーから飛び出して、街全体(ストリート)をフィールドに、可能性を広げてみること。それは新しい扉を開く最も手っ取り早い方法の一つだと思います。
オープンになったほうが、きっと世界は圧倒的に面白い。

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根子敬生(デザイナー)/GESEWA NEON

最近までそこまで意識していなかったんですが、私は結構前から女子高生に興味があったみたいです。
そう言うとちょっとヤバイ感じに聞こえるんですが、彼女たちの、学校という狭いセカイしか知らず、同級生とトモダチでいることがジンセイを生きる上でのただ一つの真理!!!というように見える姿勢や、そこから生まれてくるオリジナリティ溢れる文化に、私は強く惹かれてしまい、また、そこから派生して「ギャル文化」であったり、田舎の「ヤンキー文化」にも同様の香ばしさを感じているのです。リファレンスとして当日用意した「恋空」とか「小悪魔ageha」とか、あとカップル垢とかデコトラとか。
そこで、そんな彼女・彼たちの文言・台詞から、より平面的でかつ、彼女たちの文化的に厚みのある、私の耳に引っかかる言葉を抽出し、それをネオンサイン(←それぞれが個性的な主張をするけど、全体感としては平均的な質感を持つモチーフ)に見立てた映像にして再構成してみました。
低俗で大衆的なものって、薄っぺらくて深くて、人間らしさを感じて愛らしいよね!ハッピーー!大好き!!!

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村田美樹(プロダクトマネージャー)/H**K

フックって便利だけど、ちょっと状況を整理整頓しすぎる気がする。
なんというか、人間にとって綺麗な状態を作り出すためのツールだと感じる。
でも本当にそれでいいんだっけ。
人間がめんどくさがる『個性的な考え』がないものとして便利に使われるだけで果たして良いんだっけ。
UIUX、人間中心設計、サービスデザインなど人間による人間のための人間の生活しか良くならないこの世の中って、よくよく考えてみると怖くないか。
キラキラして何事もうまくいく世の中、違和感はないか。
日本は昔から『万物に神は宿る』といっていた。そもそも神って八百万もいたわけだし、だったら、人間を中心としたUIUXとかいってる場合じゃなくない。
フックだってアナーキー(無秩序)になりたい時だってある。
脱・人間中心設計しよう。

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