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中小企業の経営者に知ってほしい賃金制度の作り方#1

従業員の賃金決定に悩んでいらっしゃいませんか?従業員の賃金の決定は、経営者にしかできないことの1つではないかと思います。

私は、これまで150件以上の人事制度の構築や運用支援に携わりました。この経験を通じて、多くの経営者が「賃金」についてお悩みであると知りました。
「日本のドラッカー」と呼ばれた一倉 定 氏は、”労務管理の基本は賃金”とまでおっしゃいました。同氏はラッカー・プランという賃金論を紹介しています。そして、”会社と従業員の相互信頼”が重要であることを解説しています。今回は一倉 定氏の紹介やラッカー・プランの解説ではありませんので、詳しくは書きませんが、そのうちこの件も取り上げたいと思います。とにかく、賃金は会社を経営するうえで核となる1つの要素であるからこそ、経営者の悩みの種になるのでしょう。

さて、この「賃金」に関する悩みについて、”従業員が納得するような賃金を”という言葉をよく目にします。私は、この言葉を見るたびに疑問に思うのです。また、この言葉が独り歩きして経営者を悩ませていないか?と思ってならないのです。

私も会社ではマネージャーという立場にありますが、給与が現在の立場に見合っているかというと「うーん…」となってしまいます(笑)
欲をかけば、もっともらえないものかと思うものではないでしょうか。従業員が納得するような賃金を100%実現することは、なんとも難しいことです。100人従業員がいたら100通りの賃金を作るわけにはいかないでしょう。(※ ただ、従業員がなっとくできるような賃金を目指したいという思いは尊いと思っています。)

ここで、賃金の決定や賃金制度の見直しで大切なスタンスとしては以下の2つではないかと、私は考えています。

■ 社長が納得して、その賃金を従業員へ支払えているか?
■ 従業員に説明することができる賃金となっているか?

社長が納得して、その賃金を従業員へ支払えているか?」というのは、社長の考えが賃金制度に反映されているのかということであり、「従業員に説明することができる賃金となっている」と言えるのではないでしょうか。これならば、実現することは可能です。

「すべての従業員が納得」とまではいかないものの、従業員が理解することができる仕組みにはなります。この”理解”できるということがポイントです。理解できれば、”従業員の中に社長の考えに共感する方も増えてくる”でしょう。結果として、従業員が納得する賃金制度になるのではないでしょうか。

社長の思いを賃金制度に反映させ、説明できるようにしましょう。」ということなのですが、それはどのような視点で考えればいいのでしょうか。これは以下の7つの視点が参考になると思われます。

① 年齢や家庭環境(家族構成)
② 勤続年数
③ 経験年数
④ 外部の賃金相場
⑤ 役割や責任の大きさ
⑥ 職務難易度やその内容
⑦ 仕事の成果や結果

これら7つの視点について、ポリシーを考えてみてください。例えば、「役職にない一般の従業員については、経年による職務能力(=勤続年数)によって、違いがあるため定期昇給をさせるような基本給とする」というように考えることができます。このような視点を従業員を階層や職種に整理して考えてみると、どのような仕組みにしたいかということが見えてきます。
賃金に適切な格差がある方が従業員のモチベーションやエンゲージメントに好影響があったとする調査結果もあります。この格差をどのようにつけるのか?という判断は、経営者だけができることです。格差は何を経営者として従業員へ求めているのかというメッセージの現れです。

ただ、賃金制度を作るにあたっては、これ以外にも考えることは数多くあります。次回は”水準”にフォーカスして、賃金を考えたいと思います。


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