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メンタルが強い人と弱い人の差

こんにちは!

こしあんです。

仕事で”クヨクヨする自分に嫌気”がさしたり、誰かの”何気ない一言がずっと心に突き刺さっている”ことってありますよね。
なかなか気持ちが切り替えられず、家に帰っても心配で頭の中がいっぱいになってしまうこともあります。

でも、世の中には「一晩寝たら嫌なことは忘れてしまう」といった剛毅な人もいれば、どんな不利な状況でもヒーローのように立ち向かう人たちもいます。

すごく羨ましい。笑

”苦難を乗り越えていく行く力”というものはとてもカッコよく見えます。
また、親であれば子どもにも「困難に立ち向かう力を持ってほしい!」と考えたりします。

でも、この「力」は誰でも持っているものなのか?

みんながみんな同じように乗り越えられるのか。

そして、この「力」の強さはどうやって決まるのか。
と疑問に思うこともあります。


最近ではさまざまな研究が進み「この力は遺伝子が関係しているのではないか?」と考えられています。
今回は、このような負の要素をはね返す「レジリエンス」と呼ばれる力のお話です。


【レジリエンスってなに?】

心理学、精神医学の分野ではレジリエンスは逆境への抵抗力やそこからの回復力のことを言ったりします。
逆境を跳ね除け、そこから立ち上がる力だと考えればいいかもしれません。

虐待やネグレクトを受けてきた人たちの中には依存症や自傷行為、反社会的行為、抑うつ、不安などを大人になっても抱えていることが多いと言われています。

でも、全員がそうなるわけではありませんよね。

その中でも10~25%の人たちは通常の健全な人生を歩むと言われています。

この差は一体なんなのか?


このレジリエンスには複雑にいろんなものが絡み合っていますが、遺伝要素があることが判明しています。
つまり、遺伝によって初めから強さがある程度決まっているというわけです。
そして、その遺伝子の一つが脳由来神経栄養因子(BDNF)と呼ばれるものになります。

聞きなれない言葉ですが、このBDNFの役割は既存のニューロンの生存を助け、新しいニューロンの成長を促し、ニューロン同士の結合を増やすという、極めて有効な化学物質を産生します。

つまり、ニューロンが活動しやすい基盤作りをするわけです。


【BDNFと不安】

このBDNFは学習するときにニューロンの結合を促します。
たとえば、頑張って英単語を覚えようとしたとき、ニューロン間の活動が起こり、繰り返すことでそれが強化され、信号が伝達されやすくなります。
そして、それを繰り返すことで記憶が定着していきます。
これは筋力トレーニングを想像すればいいと思います。
正しいトレーニングをしていけばどんどん強くなります。

また、BDNFはこの時、ニューロンが結合するのを助けます
人の脳はこうやって学習回路が出来上がっていきます。

では、このBDNFが上手く機能しないとどうなるのか?

マウスを使った実験ですが、BDNFがニューロンの結合を促進するのを妨げる遺伝子の変異を調べたものがります。

この遺伝子変異をもつマウスを不安を引き起こす状況に置き、抗うつ剤プロザックを投与したところ、得られるはずの安堵感が認められなかったと言います。

※プロザックはうつ病における気分の落ち込みや不安感を和らげ、精神状態を安定させる薬です。

でも、プロザックは同じ状況に置かれた正常なマウスには十分に効果があることがわかりました。
研究者たちはこの結果から、BDNFが不安を駆逐するのに欠かせない因子であることを示唆していると言います。

この学習や記憶、そして感情の制御などに関わりの深い場所に「海馬」という部位があります。
慢性的なストレスを受けると、この海馬がダメージを受けニューロンを殺し、新しいニューロンの発生を妨げます。
酷くなるとストレスが当たり前となり、その感覚が怖れや、不安へと変わっていきます。
考える能力が下がり「どうしていいのかわからない、、、」という気持ちだけが先行して何をやるにしても怖くなったりします。
これが続くと正しい判断をすることができなくなるばかりでなく、不安だけが大きくなっていきます。


そして、このようなストレスを受けたとき、”個人的な差”が出る要因の一つがBDNFです。
たとえ同じような境遇の人であってもBDNFの大量の産生を指示する遺伝子を持つ人は、海馬が大半の人よりも大きいそうです。
そのため海馬が小さい人よりもストレスに強いと考えられています。

でも、「海馬とBDNFにどんな関係があるのか?」と思いますよね。

先ほども言ったように、海馬は感情の制御や学習・記憶を担う部位だと考えられています。

そのため、まだ研究中ですが「海馬が大きいために創造力や新たな記憶を容易に蓄える能力、思考に新たな枠組みを設ける能力、人生の捉え方や歩み方の柔軟性に長けているのではないのか」と研究者たちは考えていて、そのためにレジリエンス力が高いと予想しています。

「この遺伝子が無いとストレスに弱いままなのか?」と思ったり、「これがないから私はストレスに弱いのか」と考えて不安になるかもしれません。

でも安心してください。

このBDNF遺伝子多型のあるなしですべてが決まるわけではありません。
遺伝コードとは、決して行動を引き起こす唯一の因子ではないと言います。

研究者たちもレジリエンスについてのメタ分析によれば、結論を出すにはもっとデータが必要だと言っています。

そもそも人の精神力って数値化するのが難しいですよね。笑
「ここまで耐えることができればあなたはストレスの強い人」といった線引きはとてもあやふやです。
肉体的、精神的なストレスの強さも人それぞれだと思います。
それを「強い」、「弱い」という言葉で一括りにするのは無理があるのかもしれません。

それに、どんなに強靭的な精神力を持っている人だって、慢性的なストレスを受け続ければ体に異常をきたし、精神を病んでしまいます。

ケンブリッジ大学の科学者アン=ローラ・ファン・ハルメレン博士によると「レジリエンスは持っているとか持っていないとかいう、固定されたものではありません」と言います。

「レジリエンスは動的です。それは、回復力という機能であり、多くの相関因子によって促進されます。つまり、遺伝的素因のおかげで、感情制御のスキルは高くなり、今度はそのおかげで人間関係の問題にうまく対処でき、更にそのおかげで周りからよく思われ、そのおかげで皆から親交を求められ、そのおかげでストレスは減る。すべての要因は互いに重要で、影響を与えあっています」
※「運命」と「選択」の科学より引用


【レジリエンスを高める方法】

たとえこの瞬間にレジリエンスが低かったとしても、支えてくれる家族や友人らによって自己肯定感や自己効力感を育み、前に進める人たちはいます。でも、逆境と言われる環境では周りの助けを借りることは難しいかもしれません。

自分でできることと言えば、本を読んだり、運動したりすることです。

創造力や思考の枠組みを増やしたりするのであれば、本を読むことでその力を手に入れることも可能です。
また、今まで体験したことのないことをするのも良いかもしれません。
そして、本から得た知識や考え方を脳の細胞に記憶させるには、運動によってBDNFを増やせば効果的です。

運動の効果については下の記事に書いてあるのでそちらを読んでみてください。

長い間ストレスを受けたせいで、学習意欲が低下し身体を動かすことが億劫だと感じる人もいるかもしれません。
その場合は一人で何とかしようと考えず、病院に行くのが一番です。

そこまではないけど「不安になることが多い」という人は、運動やいろんな考え方、文化に触れることで今の状況を客観的に見ることができます。
軽いストレスや不安であれば運動するのも一つの手だと思います。
人生はあれこれ考えても上手くいかないこともあれば、上手くいくときもあります。笑

ストレスが多い人は知識を得たり運動する習慣を作ってみてくださいね。


最後に

私たちはつい個人が持っているレジリエンスというものに注目してしまいますが、「集団レベルでどれだけレジリエンスを守れるのか」という所をこれから考えていかなければならないような気がします。

もしあなたが社交不安や衝動性を誘発し、感情の制御が難しい遺伝子を持っているとしたら今の日本は生きづらく感じないでしょうか。

私自身「メンタルが弱い」という一言で片づけられる社会の仕組みはとても生きづらいと感じます。

”もう少し寛容な世界”であってほしいものですね。



今回はここまで

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それではまた次回お会いしましょう。

※この記事は主に私のアウトプットを目的に書いているものです。
参考にした資料(主に読んだ本)をもとに考察したもので、私の主観が多分に含まれています。
そのため、参考にした論文とは結論が異なる場合があります。
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