さえら

ユニバーサルデザインと、ジェロントロジー(高齢社会学)について、発言しています。 ht…

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ユニバーサルデザインと、ジェロントロジー(高齢社会学)について、発言しています。 https://www.facebook.com/csekine

マガジン

  • 2024CSUNカンファレンス報告

    2024年のCSUNは、AIを使った支援技術がさまざまな分野で目立ってきた。またEU全体がUSを追って、デジタルアクセシビリティを前提とする社会へ向かっている。SDGsの「誰も取り残さない」方向で、世界は激動している。そしてユニバーサルデザインやアクセシビリティを、当たり前とする社会になりつつある。そのことを、日本の読者にも知ってほしい。

  • CSUNカンファレンス2023レポート

    2023年3月にロサンゼルスで開催されたCSUNカンファレンスの記録である。この会議に参加している、米国政府や各企業がどんな思いでアクセシビリティやUDを進めようとしているのか、膨大な数の当事者たちが自ら道を開こうとしているか、少しでも感じて頂きたいと思う。写真は会場の風景で、盲導犬、電動車いす、手話で会話する人が映っている。

  • 東北の旅<2022年8月>福島宮城岩手

    これは、8月5日から8日まで、福島・宮城・岩手の東北3県の被災地などを、主に自治体職員からなるネットワーク組織である「もやい九州」のみなさんと、回った記録である。私はこのもやい九州のメーリングリストではほとんどROMで、たまに書き込み、稀にオンライン飲み会参加、というレベルである。毎年、この東北の被災地ツアーを行っていることは知っていたのだが、これまでは予定が合わず行けなかった。今年は奇跡的に日程が合ったので、やっと参加することができたのだ。ハードな日程ではあったが、団長?吉村さんのお人柄と、そこに集まる自治体のみなさんのおかげで、本当に濃い内容であった。私はいつもみなさんの足をひっぱるばかりで申し訳なかったのだが、いろいろ考えることも多かった。「桃が、ウニが、美味しい!」「このお祭り素敵!」「さんてつ最高!」などなど、あまりマジメなものではないのだが、ぜひ読んでみてほしい。

  • CSUNカンファレンス2022レポート

    CSUNカンファレンス2022の記事です。日本では絶対にお目にかかれないような、障害者支援技術の数々、各国政府やGAFAを始めとする企業のユニバーサルデザインやアクセシビリティへの取組、そして会場の障害者たちのかっこよさ。ほんのわずかでも、この雰囲気を味わって頂けたら、そして日本で何ができるか、考えて頂けるきっかけになれば嬉しいです。

記事一覧

今年のCSUNで出会った補助犬たち

今年のCSUNも、本当にたくさんの補助犬に出会った。キーノートのHabenさんもすてきな盲導犬を連れていたし、展示会会場では実に多くの犬種、大きさ、タイプの異なる補助犬…

さえら
5日前
2

展示会場は楽しすぎ!周り切れない!

展示会場は、毎年多くの新規参入企業がやってきていて、とても盛況である。毎日2時間くらい滞在しているつもりなのだが、それでも全然回り切れない。今年も新しい企業がた…

さえら
5日前
4

MCAGを作ろうという動き

このところ、私はWebアクセシビリティ系のセッションにあまり行かなくなっている。認知や記憶に関するものはあるが、それ以外の新しい発表がとても少なくなっているからで…

さえら
5日前
2

マップナビゲーションは花盛り

①GoodMaps昨年から多くの企業が、マップのアクセシビリティや歩行ナビゲーションについてセッションや展示を行っていたが、今年もこの分野は花盛りだった。 (上の写真は、…

さえら
6日前
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各社の取り組み(その3 TPGi)

TPGiは、USのアクセシビリティリーダーであるMike Paciello氏が2002年に創立した米国の企業である。そもそも、TPGという名前はThe Paciello Groupの頭文字なのだ。まだ世の…

さえら
6日前

各社の取り組み(その2 Amazon)

①Kindle今年もMazonは、展示、セッション共に元気だった。 最初に行ったのはKindleのアクセシビリティに関するセッションだ。視覚障害者に対するアクセシビリティはすでに…

さえら
6日前
3

各社の取り組み(その1 SONY)

今回、やはり元気だったのはSONYである。セッションもたくさんあったし、展示ブースはいつも人で溢れていた。US SONYのアクセシビリティリーダーであるMike Najetは、もは…

さえら
6日前
4

EUとUS政府のアクセシビリティ政策

EUの動き(EAAとAccessibleEU)19日の10時20分は、米国508条の状況を説明するセッションと、EUアクセシビリティ法の推進に関するセッションが、同時刻の開催だった。同じよ…

さえら
7日前
1

3月18日CSUN始まる キックオフとキーノートスピーチ

17日夜のキックオフパーティCSUN開始前夜は、いつも通りのキックオフパーティだった。ワイン一杯と軽いおつまみ。なつかしい人に会える。HarryもSandyもMikeもいる。いつも…

さえら
7日前
4

第39回CSUNカンファレンス2024報告

はじめに2024年3月18日から24日まで、ロサンゼルス アナハイムで、CSUN支援技術カンファレンスが開催された。CSUN(California State of Northridge カリフォルニア州立…

さえら
7日前
4

番外編その2 エアとエアポートのUD

1, ZipAirに乗ってみた 今回、初めて国際線のLCCであるZipAirに乗ってみた。Webサイトでの予約は、わかりやすい。一度オーダーの途中で止まってしまい、取り直したら金…

さえら
1年前
6

番外編その1 CSUN会議の食事事情

1,事前予約のサンドイッチ 今回、ご飯系の写真はあまりない。初日のサンドイッチとビール一杯で一人約5000円弱!という価格に驚愕したので、あまり出歩かなかったせいだ…

さえら
1年前
6

会場でみつけたユニバーサルデザイン

1、会場の情報保障 いつものことながら、会場の情報保障は万全である。大きな会場では手話通訳や字幕が同時並行で最初からついている。遠くからも見えるよう、手話や字幕…

さえら
1年前
1

展示会場は今年もわくわくワンダーランド

展示会場は、いつものことながら、白杖、補助犬、車いすのユーザーで一杯である。手話や触手話で会話している人も見かける。上の写真は視覚障害の方向けの展示ブースだが、…

さえら
1年前
1

デジタルアクセシビリティ(電子書籍・図書館・情報キオスク・放送メディアなど)

CSUNの中では、デジタルアクセシビリティという言葉は、もはや一般用語になった感がある。ハードもソフトもコンテンツも、Webもモバイルもサービスも、家電もオフィス機器…

さえら
1年前
4

大学におけるアクセシビリティやUD研修の取組

大学からの報告もいろいろあった。学内のアクセシビリティをどうやって進めているかといった話から、授業をアクセシブルにするためのUDL(Universal Design for Learning)…

さえら
1年前
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今年のCSUNで出会った補助犬たち

今年のCSUNで出会った補助犬たち

今年のCSUNも、本当にたくさんの補助犬に出会った。キーノートのHabenさんもすてきな盲導犬を連れていたし、展示会会場では実に多くの犬種、大きさ、タイプの異なる補助犬に出会えた。セッションの会場では、飼い主の足もとに静かに座り、じーっと大きな瞳で飼い主を見つめている子もいれば、すっかり安心しているのか、ぐっすり眠っていて会場の笑いなどに全く動じない豪傑もいる。

今年も白い大きなプードルの介助犬

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展示会場は楽しすぎ!周り切れない!

展示会場は楽しすぎ!周り切れない!

展示会場は、毎年多くの新規参入企業がやってきていて、とても盛況である。毎日2時間くらい滞在しているつもりなのだが、それでも全然回り切れない。今年も新しい企業がたくさん参加していて面白かった。UK、イスラエル、北欧、カナダなどからも出展しているようだ。韓国の企業が大挙して押し寄せている。アクセシビリティや支援技術で起業することは、トレンドになっているんだろうか?最初からグローバル企業として欧米市場を

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MCAGを作ろうという動き

MCAGを作ろうという動き

このところ、私はWebアクセシビリティ系のセッションにあまり行かなくなっている。認知や記憶に関するものはあるが、それ以外の新しい発表がとても少なくなっているからでもある。W3C(WWW Consortium)の中のWAI(Web Accessibility Initiative)チームで、昔は常連だったJudy Brewerももう来ていないし、好きだったShadiはAmazonに移っている。だが今

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マップナビゲーションは花盛り

マップナビゲーションは花盛り

①GoodMaps昨年から多くの企業が、マップのアクセシビリティや歩行ナビゲーションについてセッションや展示を行っていたが、今年もこの分野は花盛りだった。
(上の写真は、Glide と白杖と盲導犬とベビーカーが写っている。なんてUDなんだ!)
最初に行ったのは、GoodMapsの「The Future of Inclusive Digital Indoor Maps and Navigation」

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各社の取り組み(その3 TPGi)

各社の取り組み(その3 TPGi)

TPGiは、USのアクセシビリティリーダーであるMike Paciello氏が2002年に創立した米国の企業である。そもそも、TPGという名前はThe Paciello Groupの頭文字なのだ。まだ世の中にWebアクセシビリティという言葉が知られていなかった頃から、地道に活動してきた人である。508条やWCAGが世界に知られるようになったのは、彼の貢献によるところが大きい。名前にinteract

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各社の取り組み(その2 Amazon)

各社の取り組み(その2 Amazon)

①Kindle今年もMazonは、展示、セッション共に元気だった。
最初に行ったのはKindleのアクセシビリティに関するセッションだ。視覚障害者に対するアクセシビリティはすでに長年、前提として語られてきているが、今年は「Reading Disability」への対応として、読字障害に焦点を当てていた。

それもこれまでのようにDyslexia(学習障害)だけではなく、ASD(自閉症スペクトラム)

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各社の取り組み(その1 SONY)

各社の取り組み(その1 SONY)

今回、やはり元気だったのはSONYである。セッションもたくさんあったし、展示ブースはいつも人で溢れていた。US SONYのアクセシビリティリーダーであるMike Najetは、もはやCSUNの常連である。彼のセッションには多くの観客が集まった。今年は’Delivering innovation for an accessible future’という題名であった。直訳すれば「アクセシブルな未来のた

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EUとUS政府のアクセシビリティ政策

EUとUS政府のアクセシビリティ政策

EUの動き(EAAとAccessibleEU)19日の10時20分は、米国508条の状況を説明するセッションと、EUアクセシビリティ法の推進に関するセッションが、同時刻の開催だった。同じような関心を持つ参加者を分散させる狙いなのだろう。特に初日はどの部屋も満杯だからだ。
私はEUの方に参加した。話者はこの数年必ず報告してくれているオーストリアのKlaus Hoecknerである。彼はAccessi

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3月18日CSUN始まる キックオフとキーノートスピーチ

3月18日CSUN始まる キックオフとキーノートスピーチ

17日夜のキックオフパーティCSUN開始前夜は、いつも通りのキックオフパーティだった。ワイン一杯と軽いおつまみ。なつかしい人に会える。HarryもSandyもMikeもいる。いつもの顔ぶれにも会えるが、知らない人の方が圧倒的に多い。ま、毎年5000人が参加しているのだから、どんどん新顔が出てくるのが当たり前なのだ。むしろ、新しい企業、行政、大学、研究機関が増え、それも欧米だけでなく、アジア、オセア

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第39回CSUNカンファレンス2024報告

第39回CSUNカンファレンス2024報告

はじめに2024年3月18日から24日まで、ロサンゼルス アナハイムで、CSUN支援技術カンファレンスが開催された。CSUN(California State of Northridge カリフォルニア州立大学ノースリッジ校:シーサンと呼ばれる)のCOD(Center of Disability)が主宰する支援技術(Assistive Technology)、UD(Universal Design

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番外編その2 エアとエアポートのUD

番外編その2 エアとエアポートのUD

1, ZipAirに乗ってみた

今回、初めて国際線のLCCであるZipAirに乗ってみた。Webサイトでの予約は、わかりやすい。一度オーダーの途中で止まってしまい、取り直したら金額が変わってしまうというトラブルがあったが、メールでの問い合わせが迅速かつクリアで、すぐに対処してもらえた。事前チェックインも使いやすく、Webで大半の手続きができてしまうので、結果として空港の窓口での受付がかなりスムー

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番外編その1 CSUN会議の食事事情

番外編その1 CSUN会議の食事事情

1,事前予約のサンドイッチ

今回、ご飯系の写真はあまりない。初日のサンドイッチとビール一杯で一人約5000円弱!という価格に驚愕したので、あまり出歩かなかったせいだ。
セッション期間中は、私はほぼ毎日、ランチにサンドイッチを事前予約しておく。特にセッションの初日は、ホテル内も近隣のレストランも長蛇の列になる。会場ホテルに宿を取ることのメリットは、これが一番大きい気がする。サンドイッチのボックスを

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会場でみつけたユニバーサルデザイン

会場でみつけたユニバーサルデザイン

1、会場の情報保障

いつものことながら、会場の情報保障は万全である。大きな会場では手話通訳や字幕が同時並行で最初からついている。遠くからも見えるよう、手話や字幕はスクリーンでも流れる。上記はLEGOのセッション風景である。また少人数のセッションでも、事前に依頼すれば、手話通訳者やキャプション(リアルタイム字幕)がつく。盲ろうの人は、触手話も依頼できる。
キャプションは、どうやら事前申請がなくても

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展示会場は今年もわくわくワンダーランド

展示会場は今年もわくわくワンダーランド

展示会場は、いつものことながら、白杖、補助犬、車いすのユーザーで一杯である。手話や触手話で会話している人も見かける。上の写真は視覚障害の方向けの展示ブースだが、電動車いすのお客さんが来ている。またこのマガジンの表紙になっているアマゾンのブースにも、視覚・聴覚・肢体不自由と、たくさんのお客様が来ていた。聴覚や発達、精神など見えにくい障害の方も多数参加していることを考えると、ここでは障害のない人の方が

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デジタルアクセシビリティ(電子書籍・図書館・情報キオスク・放送メディアなど)

デジタルアクセシビリティ(電子書籍・図書館・情報キオスク・放送メディアなど)

CSUNの中では、デジタルアクセシビリティという言葉は、もはや一般用語になった感がある。ハードもソフトもコンテンツも、Webもモバイルもサービスも、家電もオフィス機器も電子書籍もATMも、テレビも映画もミュージアムも、みんなこの言葉で説明される。きっと数年経てば、車も家もオフィスも学校も、このジャンルの一つとして語られるようになるのかもしれない。今回、EPUBを含む電子書籍のアクセシビリティ、デジ

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大学におけるアクセシビリティやUD研修の取組

大学におけるアクセシビリティやUD研修の取組

大学からの報告もいろいろあった。学内のアクセシビリティをどうやって進めているかといった話から、授業をアクセシブルにするためのUDL(Universal Design for Learning)に関する話も多かった。フィンランドの企業が大学卒業生に対して聞いた結果も面白い。また、もはや定番になってしまった感のある「TeachAccess」チームからも、企業や大学のアクセシビリティ研修についての状況報

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