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人間の本質を見つめる「犯罪」

<文学(85歩目)>
刑事専門弁護士の目から見た「犯罪」の数々から、人間の本質を見つめる。

犯罪
フェルディナント・フォン・シーラッハ (著), 酒寄 進一 (翻訳)
東京創元社

「85歩目」はドイツの短篇の名手の作品。刑事専門弁護士としての経歴がとても生きている。

フェルディナント・フォン・シーラッハさんの作品でいちばん売れた作品とのこと。

どの作品もとても短いが、それぞれ味わいが濃い。人間がちょっとしたきっかけで転落してしまう生きものであることが丁寧に描かれている。
「タナタ氏の茶盌」「ハリネズミ」「幸運」「エチオピアの男」が特に良かった。

「タナタ氏の茶盌」
暗黒度が極めて高い作品。ブラックな人々には躊躇が無い。黒い世界に生きる時は、不必要に舐めるとすぐ死ぬことがわかる。(笑)
ただし、文章が研ぎ澄まされていて、一気に読めるが読後感はいい。

「ハリネズミ」
犯罪者ファミリーのお話し。その中で、「頭」で生きていく主人公が素晴らしい。これも読後感がいい。

「幸運」
支え合い、愛し合う男女。とても切なく趣に感じ入った。読後感がいい。

「エチオピアの男」
一番、心に残った作品。幸せって、一度犯罪者とされても大切な家族に支えられてつかめる。フィクションかもしれないが、映画化されてもおかしくない作品。
とても「愛(love)」に溢れて、読後感が素晴らしい。

短篇ながら、作品が研ぎ澄まされたものばかり。
とても素晴らしいと感じました。

人間の本質(「愛(love)」「バランスの失調」)を強く訴えるもの多い。とてもおススメです。

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