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アメリカン・ポップカルチャーに踊らされる

 昔からコカ・コーラやマクドナルドといった、いわゆるアメリカの資本主義のシンボル的なモノ達が好きだった。

 青春時代(あの頃は若かった)、ポスターを集めるのにいっときハマって、アンティークショップに行っては目ぼしいものがないかどうか漁っていた。学生時代、ニューヨークにあるMOMAへ立ち寄った時、かの有名なキャンベル缶がいくつも描かれたアンディ・ウォーホルの作品を見ていたく感動した記憶がある。 

 感覚的には、きっと古き良きものを愛でる感覚と通ずるものがある気がする。昭和レトロなものに、なぜかとても惹かれる。アメリカン・ポップカルチャーに魅力を感じるのも同じ理由な気がする。

 先日、今更ながら初めてクエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』を観賞した。この映画にも、そうしたアメリカのポップでカラフルなカルチャーが存分に散りばめられていた。映画の映像の質感といい、見終わった時になかなか悪くないと感じてしまった。

■ あらすじ

1930~40年代のアメリカで流行した大衆向け雑誌の犯罪小説(=パルプ・フィクション)をモチーフに、3つのエピソードが交錯する斬新なスタイルで描いたクライムドラマ。

 本作品では、全部で3つの物語が並行して展開されている。

1.ギャングのヴィンセントとジュールスの話。
2.ヴィンセントと、そのボスの妻・ミアが一夜を一緒に過ごす話。
3.ブッチが八百長を引き受けて試合に臨む話。

 時間的な流れが異なる形で物語が展開されており、当時としては非常に珍しい手法だったようだ。どこか伊坂幸太郎さんの初期の作品を彷彿とさせる部分はあるけれど、個人的には伊坂さんの方がよりさまざまなレトリックなどが用いられていて手が混んでいる気がした。まあ、それはさておき。

■ 個人的に一番好きなところ

映画1

 わたし自身が一番好きな場面は、ミアとヴィンセントがアメリカンダイナーで一緒に踊る場面。当時流行りのポップ・ミュージックに合わせて踊る二人の姿が、アメリカの古き良き時代を思い起こさせるような形になっていて、思わず見惚れてしまった。

 そしてアメリカンダイナーでは、これまた美味しそうにミアがハンバーガーを食べる。そのシーンを見ると、ついついマクドナルドのハンバーガーを食べたくなってしまう。

 公開がもともと1994年だから、その頃からもうすでにちょうど4半世紀くらい経ってしまっていることになる。場面を時間的にずらして展開するという手法は、今ではだいぶ新鮮味がなくなってしまったかもしれないけれど、それでも名作は名作と呼ばれるだけの、人の心を引き寄せる何かがある気がする。

映画2

 『パルプ・フィクション』の中で見たその展開の早さに加えて、どこか登場人物のコミカルな動き、そして彼らが発する言葉の一つ一つ。一見意味のない所作や言葉の一つ一つに思えても、思わず引き込まれてしまう。Uma Thurman演じるミアが、

"Trying to forget anything as intriguing as this would be an exercise in futility…Besides, isn't it more exciting when you don't have permission?”
(好奇心を刺激して忘れろなんてひどい。…それに約束しない方がスリルでしょ?)

というセリフを吐く場面があって、なんてクールに男心をくすぐる発言をできる人なんだろうと、思わず画面を見入ってしまった。

 どこかミステリアスで危険な匂いのする女の人からスリルっていう言葉を聞くとなんだかドキリとしてしまう。全く関係ないけれど、『名探偵コナン』に出てくる黒の組織から逃げ出した灰原哀からも同じような匂いを感じる。

 とにかく目まぐるしく場面が変わって、見飽きない作品だった。ちょっとバイオレンスな内容含んでいるので見る時にはご注意を。

 同じようなアメリカン・ポップカルチャーを感じられる作品としては、公開された年月はだいぶ違うけれど『アメリカン・グラフティー』も割と好き。隣に住んでいた子が、ローラーブレードで颯爽と駆ける姿を見て猛烈に憧れたっけ。

 ちなみに、コカ・コーラは瓶で飲みたい派。手で開けるのではなくて、栓抜きでひと手間かけて開けて豪快に飲むのが真のコーラの飲み方だと思う。



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