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#22 インド映画についての愛を語る

 先日の「#21 インドについての愛を語る」の続編。

 最近一緒に飲むたびに、あまりにもスケさんがNetflixいいよーいいよーとまるで呪いの如く囁くものだから、ついついわたしも「えーフリックスしちゃうよー」と返事をして、いつの間にかNetflixに加入してしまっていた。しみじみ適当な受け答えはするもんじゃないと思う今日この頃。

 最初「フリックス」という言葉だけを聞いたときに、もしや「フリークス」(偏愛的なマニアあるいは変人のことを指す)のことかと思ったのだが、flick(映画)の方だったらしい。なんだ、ややこしい。でもふと思ったけれど、よもやfreaks自体が差別的表現になってしまうんかな。言葉の使い方って難しい。

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 とりあえず入会したし、観ないのも勿体無いので、早速面白そうなコンテンツがないかザッピングしていたところ、行き当たったのが「ライース」である。インド映画で、1980年代の禁酒法によりお酒の提供が禁止されていた背景がベースとなっているものである。なんだか、割と久しぶりにインド映画を見た気がする。(緊急事態宣言はよく観ていたのだが、何せ鑑賞時間が長いもんだからここ最近は少し敬遠していたのである)

 ボリウッドでは知る人ぞ知る三大カーン(シャー・ルク・カーンアーミル・カーンサルマン・カーン)のうちの一人である。「カーン」と聞くとなかなかイメージしづらいところではあるが、もともとチンギス・ハンに由来する苗字で、イスラム教徒に同じ名前を持っている人が多い。まあそうした雑学は傍に置いておいて。

 わたし自身、インド映画にどハマりしたのはここ数年のことなのであるが、映画好きであるならば割と有名な「きっと、うまくいく」以外にも面白い映画は山ほどある。インド映画と聞くと、どうしてもダンスをしているイメージが強いのだが、全くそうであることは異論なくとも、ストーリーも実にしっかりしているのである。

 そもそもインド自体が、多民族国家で特にイスラム教徒とヒンドゥー教徒の間には今も埋め難い断絶がある。かつて3回にわたって、独立戦争が巻き起こり、当時は冷戦の状況とも相まって国内は混乱していた。

 今では少しずつ状況としては改善しつつあるものの、ことあるごとに異なる宗教間の諍いは取り上げられる。この異なる2つの宗教の違いということに関しても実に根が深いので、よく映画作品の中でも一つのテーマとして取り上げられる。今回鑑賞した「ライース」も同様だ。そうした歴史的背景も知っておくと、よりインド映画が提示するテーマも深くなる。

※ちなみに、宗教について取り上げた映画は、「ライース」の他にもたくさんあります。もう一方の宗教に属する人物と関わることは、インドの人にとってなかなかにナイーブな問題なのです。個人的には、「バジュランギおじさんと、小さな迷子」は迷わずにまず観てほしい。

■ 異なる宗教について取り上げた映画

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 さて改めて今回鑑賞した「ライース」の話に戻ると、まあ長い上映時間は傍に置いておいたとしても、飽きることなく観ることができた映画だった。インドの映画は、アメリカのハリウッドに対してボリウッドという名前で広く知られている。

 緊急事態宣言時には、インド映画を鑑賞しながら踊ることによってカロリーを消費できたわけだが、それに加えてわたしの価値観の捉え方を広げることにも寄与した。

 改めて「ライース」を鑑賞したことに触れると、いかに人の行動や思考が浅ましいということがよくわかるのである。主人公であるライースの頭の回転の速さといったら。王道でありながらも、新しい。アクションシーンも、観ていてスカッとするわけだ。Netflixに入会している人は、是非とも騙されたと思って見ていただきたい。

 他にもおすすめを挙げるのであれば筆頭は「ガリーボーイ」。もともとあまり裕福とは言えない家庭に生まれた青年が、ラップを通してのし上がる話である。おまけに実際にあった話なので、なかなかにリアリティがある。

 それと「きっと、うまくいくさ」でなんとなくインド映画面白かったなーという印象を持ったそこの貴方。是非とも主演であるアーミル・カーンが同じく出演している『ダンガル』、『PK』、『ラガーン』を観ていただきたい。ダンガルはいわゆるスポ根映画という感じだが、『PK』はかなり奇抜な設定ながらも民族の違いについて考えさせられるし、『ラガーン』についても当時のイギリスとの関係性がわかって歴史好きな人にはおすすめである。

■ アーミル・カーン出演作品おすすめ

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 とまあ、何かそこから愛を見出すというよりもわたしのインド映画に対する偏愛をつらつらと書き連ねる形になってしまった。あと最後に付け加えたいのが、毎年インディアンムービーウィークである。本記事をご覧いただいて少しでも興味を持っていただいた方は、是非とも実際に劇場に足を伸ばして臨場感あふれる空間の中でインド映画を楽しんでいただきたい。たぶん、今年も開催されるはず。

 さもわたしが発見したように書いているが、元はと言えばインド愛の先駆者であるのりまきさんの記事においてわたしも知った次第である。というわけで、にわかインド映画フリークスを名乗るのであれば、今からでも遅くはないです。(さあ、ぜひこのゴールデンウィークを通してボリウッド狂に仲間入りしましょう!笑)

 なお、昨年は時間が合わずわたしが鑑賞できたのは『マジック』だけだったが、これまた深刻な医療問題に触れており、見終わった後に思わずため息をつくほどの非常に考えさせられる映画だった。


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