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<期間限定公開>起業のための経営学

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有料記事です。主に事業領域と組織領域の経営学の理論を扱い、「起業」から「企業」に繋がるための知識を提供します。
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<期間限定公開>第15章:変革を生み出すには

<期間限定公開>第15章:変革を生み出すには

組織変革の必要性企業が立ち上げた事業や、事業を運営するために必要な組織は、一度出来上がったらそれで終わり、というものではありません。企業が直面している環境は日々変化しており、事業も組織もそれに合わせて変えていかなければなりません。重要なのは、常に変化する環境に対して、企業の事業や組織が適切に変わっていけるように、いかに組織が学習を続けられてるかという点にあります。

大幅な組織変革には、当然ながら

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<期間限定公開>第14章:フラットな人間関係によるマネジメント

<期間限定公開>第14章:フラットな人間関係によるマネジメント

様々なコントロール手段上位下達型のマネジメント

組織と個人は究極的には別々の方向を目指しているわけですから、個人を経営者にとって望ましい方向に導くためには、互いの目指す方向性をすり合わせる何らかの仕掛けが必要になります。リーダーシップやマネジメントがこれに当たり、組織の中の上位者が決めたことを下位者に伝達してマネジメントするという考え方に基づいている点で、両者は共通しています。

しかし、何が経

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<期間限定公開>第13章:機能する組織を作るには

<期間限定公開>第13章:機能する組織を作るには

組織デザインの基本分業

組織を作ることの大きなメリットは、複数の人々が集まることで、一人ではなしえない大きな仕事を可能になることにあります。しかもそうした仕事を、一人一人は「普通」の人々の集まりによって、成し遂げることができるのです。個々人が相対的にそれぞれが得意な領域に応じて、仕事を割り振ることができ、より質の高い仕事を行うことができます。

作業を割り振ることのメリットは、これだけではありま

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<期間限定公開>第12章:メンバーの増加にどう対応するか

<期間限定公開>第12章:メンバーの増加にどう対応するか

組織の成長と階層組織組織の成長とメンバーの増加

誕生してして間もない組織は、創業者及びそれに近いメンバー同士の直接の相互関係によって、 人々の目標と組織の目標をすり合わせていることがほとんどです。 そこにはまだ組織をコントロールするためのルールや制度等なく、また彼らの間には「命令する人/される人」といった階層関係もありませんでした。この段階において彼らは、それぞれの日常的なやり取りによって、各々

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<期間限定公開>第11章:どうやってメンバーを引っ張るか

<期間限定公開>第11章:どうやってメンバーを引っ張るか

対人影響力としてのリーダーシップリーダシップは誰のもの?

企業において最も重要かつ強力な対人影響力は、おそらく、日々の業務をとる職場の管理職のリーダーシップによるものでしょう。上司は、多くの場合、メンバーの仕事行動や成果を観察し、評価し、処遇する立場にあるため、その言動は当人に極めて大きな影響を与えるはずです。

しかし、職場においてリーダーシップを発揮するのは、必ずしも上司や管理職の立場にある

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<期間限定公開>第10章:メンバーのやる気をどう引き出すか

<期間限定公開>第10章:メンバーのやる気をどう引き出すか


モチベーション理論の2つの系統人はどのようにしてやる気を出すのでしょうか。ごくごく当たり前のことですが、人間が行動するには、そのための心のエネルギーが必要です。仕事にせよ勉強にせよ、それをするためにエネルギーがあるときとないときとで、成果は大きく異なります。

この「やる気」のことを、経営学ではモチベーションと呼び、モチベーションを高める、あるいは維持するためにはどうすれば良いのかについて、数々

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<期間限定公開>第9章:採用と心理的契約

<期間限定公開>第9章:採用と心理的契約

ともに物事を成し遂げる仲間を探す序章にて、経営とは「 他者を通じて成し遂げること」あるいは「 他者と共に何かを成し遂げること」であることを確認しました。 社会に価値のあるものを届けるためには、それを可能にする人々の協働の仕組みを作らなければなりません。その第一歩目が、メンバーの採用です。

なぜ組織は人を採用するのか

採用は、企業にとって2つの意味があります。

第一に、 事業をデザインし、それ

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<期間限定公開>第8章:事業をめぐるお金の流れを理解する

<期間限定公開>第8章:事業をめぐるお金の流れを理解する

第一部の最後に取り上げるのは、お金の流れの計画と管理です。事業をめぐるお金の流れを見ることができたならば、自らの仕事がよりよく理解することができるでしょう。

資金調達事業を営むためには、設備や材料などのモノを手に入れなければなりません。これらの必要経費はどうやって調達すれば良いでしょうか。
ここで、基本的なアプローチは3つあります。

・自分でお金を出す
・他人に出資してもらう
・金融機関から借

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<期間限定公開>第7章:さらなる事業の展望を描く

<期間限定公開>第7章:さらなる事業の展望を描く

良いものを作っても、儲からない?事業を運営していると、顧客に価値ある製品・サービスを提供できているのに、低収益に悩まされることがあります。こうした時には、会社をめぐる内外の状況に、「利益を減らされたり取りこぼしている原因」が潜んでいるかもしれません。例えば、顧客の値下げ要求や、原材料費の高騰、代わりになる製品・サービスの登場といった利益圧迫要因があります。一方で、会社の内側でも、人材の技能が十分に

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<期間限定公開>第6章:持続的な競争力のため、内部基盤を整える

<期間限定公開>第6章:持続的な競争力のため、内部基盤を整える

長期的成功の要因とはヒト・モノ・カネ・情報などと呼ばれて、事業をするために使われる、有形・無形の財産のことを、経営資源と呼びます。経営学の世界では、「企業が長期的に成功するためには、何が最も大切なのか」ということを長く研究されていました。そして、トヨタ生産方式やP&Gのブランドマーケティングに概要するようなもの、すなわち他社が簡単には真似できない社内の経営資源こそが長期成功の要であることが、繰り返

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<期間限定公開>第5章:外部と連携する

<期間限定公開>第5章:外部と連携する

外部との連携エクセレンスをつなぎ合わせる

現代は「世界のエクセレンスにつなぎ合わせる時代」とも言われています。例えば、Appleについて考えてみましょう。アップルは製造を生産専業企業に委託しています。販売は、直営店を除き、携帯キャリアに委託しています。広告はブロガーやユーチューバーと呼ばれる人たちが宣伝します。このように、Appleは他の会社の人に頼ることで、自社の資源を新しい製品・サービスの開

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<期間限定公開>第4章:売り方、稼ぎ方の設計

<期間限定公開>第4章:売り方、稼ぎ方の設計

製品・サービスの届け方を考える自分達が提供する製品・サービスのコアバリューが決まり、ターゲットとする顧客も定まったら、事業デザインの次のステップは、どうやってコアバリューを顧客に届けるか、すなわちどう売るかです。良い製品を作れたとしても、それを知ってもらい、価値を理解してもらうためには宣伝が必要です。実際に買ってもらうためには、販売場所の選定、価格の設定も重要です。
本章では、顧客へのアプローチを

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<期間限定公開> 第3章:顧客は誰か

<期間限定公開> 第3章:顧客は誰か

顧客を選ぶことの重要性革新的な製品・サービスが考えついたとしても、それがきちんと顧客のもとに届かなければ商業的に成功したとはいえません。第2章では、ビジネスモデルを考える上で、顧客への「価値提案」が重要であるということを指摘しました。しかし、顧客によって価値の捉え方はさまざまです。従って、優れた価値提案を考えるためには、そもそも誰が顧客であるかを考える必要があります。

自社の製品・サービスを売る

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<期間限定公開>第1章:新規事業

<期間限定公開>第1章:新規事業

イノベーションと企業家イノベーションとは何か?

前書きで説明した通り、企業経営の使命とは、人々に役立つ製品・サービスを提供しながら、持続可能な製品・サービスを作っていくことです。本章では、事業創造にまつわる経営の理論を説明していきます。

新規事業の第一歩は、未解決の社会問題/未充足のニーズ見つけ出し
、それを解決するための新製品やサービスを生み出すことです。この新製品を生み出し、事業化すること

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