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幹部の子は幹部 - 宗教2世・3世にもキャリアとノンキャリアが - 親藩(教祖・総裁の親族)と譜代大名(2世・3世の幹部役職員)が支える幕藩体制(旧統一教会と友好団体および関連企業)

本店のキャリア官僚(警視 → 警視監)
所轄のノンキャリア警察官(巡査部長 → 警部補)

(小泉家の4代世襲を批判して以来、14年ぶりに、二度目の)ルパン三世発言『ルパンだって三世までですよ』(※ 石川五ェ門は13代目、銭形幸一警部は6代目)で野田佳彦元首相が株を下げていますが


今回のルパン三世発言

立憲・野田元総理「ルパンだって三世までですよ!」世襲批判(2023年11月22日)

前回のルパン三世発言

第171回国会 本会議 第46号
平成21年(2009年)7月14日(火曜日)

午後一時 本会議 

(前略)

○ 議長(河野洋平君) 野田佳彦君。

〔野田佳彦君登壇〕

○ 野田佳彦君 私は、ただいま議題となりました麻生内閣不信任決議案に対して、民主党・無所属クラブを代表して、賛成の立場で討論をいたします。(拍手)

(中略)

思い返していただきたいんです。四年前の争点は、郵政民営化、是か否かでした。ワンポイントイシューで決まりました。

その郵政改革を訴えた当時の小泉元総理の発言を私は思い出しています。特定郵便局の局長は特別職の国家公務員、国家公務員が世襲をするのはおかしいと言っていました。

ところが、今度は、御勇退をされるに当たって、御子息が世襲をされるということ。しかも、小泉家にとっては、たしか四世です。ルパンだって三世までですよ。やはりおかしい。郵政改革は一体何だったのかと思わざるを得ません。

(後略)

歴史小説を読む度に、また大河ドラマを観る度に、例えば、最終コーナーに差しかかった「どうする家康」の登場人物の大半が(豊臣秀吉をはじめ、例外はありますが)名家の出身であった(どこの馬の骨かわからない人物ではなかった)ことを再認識させられます。(因に、徳川家康は安祥松平家の第5代当主でした。)

(また、旧統一教会の本部がある韓国で制作される韓流映画や韓流ドラマでも、特に史劇の中には、実在した王室や名家の子女が数多く登場します。)

そのような日本においても、明治維新以降は、近代・現代版の科挙制度を通じて、才能と運に恵まれれば誰でも立身出世することが可能となりました。

こちら葛飾区亀有公園前派出所 第40巻(ボク トーダイの巻)でも描かれた通り、財産も血統も縁故もない庶民にとっては、昭和と平成が終わり令和になっても、近代・現代版の科挙制度が頼みの綱(梯子)であることに変わりはありません。

こちら葛飾区亀有公園前派出所 第40巻

さて、科挙制度が引き続き活用されている官僚組織や軍隊においても血統はものをいいますが、政治団体や宗教団体においても、創業家・オーナー家に限らず、家系が重視されることは珍しくありません。

以前の記事でも概観した通り、設立から70年近くを経た旧統一教会においては、昨今は(半年前に更迭された尹鍈鎬(ユン・ヨンホ)氏を除き)一世が出世することは難しく、祝福二世・祝福三世のキャリア組(多くが幹部の子女、教団が韓国で運営する学校への留学は必須)とノンキャリア組の差は開いているようです。(中国共産党風に表現すれば、農民の子は農民、幹部の子は幹部...)

例えば、2016年から世界平和女性連合の日本支部会長、2023年から世界平和女性連合の世界会長を務める堀守子氏は小山田秀生 第4代・第9代日本教会会長と岸本儀子 世界平和女性連合日本支部初代会長(43双)のご長女ですが、夫君でありアジア太平洋2圏域(海洋圏)大陸会長を務める堀正一氏は東京大学の学生として初めて伝道された堀信義氏と広岡きくゑ氏(43双)のご長男です。

また、国際勝共連合会長やUPFジャパン(天宙平和連合日本支部)の議長を務める梶栗正義氏は、梶栗玄太郎氏(第12代日本教会会長、世界日報社社長、国際勝共連合会長、天宙平和連合会長、国際ハイウェイ財団理事長などを歴任)と熱海惠李子氏(43双)のご長男です。ご兄弟(次男三男)も教団およびその友好団体や関連企業で活躍されているようです。

尚、キャリアの2世であっても、努力しなければ、出世することはできないようです。

(前略)

以前、二世の指導者養成ということで、堀・梶栗両氏が地方教会に飛ばされたことがあった。傍から見れば左遷である。二世局長だった堀さんは地方教会長に格下げされても感謝して乗り越え、信仰的試練を与えてくれた韓鶴子氏に感謝の手紙を書いて喜ばれた。片や梶栗さんは、地方教会運営の厳しさに押しつぶされて、心身共に疲労困憊となっていそいそと東京に帰ってきてしまった。こういった点では、堀さんが優勢だといえよう。

(後略)

写真・教育・人事にみる鶴絶対化路線

堀家も梶栗家も、ご夫婦ともに由緒正しい2代目でいらっしゃいますが、親子喧嘩・兄弟姉妹喧嘩で、庶民感覚では家庭が荒れている教祖・総裁一家を除き、家庭を重んじる世界平和統一家庭連合(旧統一教会)において、家系はプラスに働くようです。両家とも、3代目に当たる子女も熱心に活動されているようです。

教祖が逝去した前後に相次いで息子さん達が追い出された結果、もし総裁の足元がふらつくことがあれば、お孫さん達が組織と財産を相続(skip a generation)しそうですが、周囲を由緒正しい祝福二世・三世の幹部役職員が固めている限り、国民の生活は困窮していてもロケットやミサイルを次々と打ち上げる北朝鮮の金王朝と同様に、文王朝が容易に傾くことはなさそうです。



(前略)

子どもに利益供与

これはと思った幹部にコネクションをつくる方法は、幹部の子どもに近づくことだ。

幹部は、腐敗と疑われるようなことを警戒する。直接現金を渡すわけにはいかない。夫人に渡すのも適当でない。夫人はたいてい共産党員で、意識が高い。

幹部に子どもがいて、何かビジネスをやっていたり、留学しようとしていたりすると、ちょうどよい。ビジネスをやっている場合は、うまい話を持ちかけて、利益供与する。留学希望の場合は、留学先の世話をする。

中国共産党の幹部の子弟は、留学している場合が多い。習近平の娘も、ハーバード大学のケネディ行政学院に留学している。

これは、アメリカの当局筋が便宜をはかっているのだろう。

さきごろ鄧小平の孫娘の婿が、検挙された。婿はすでに離婚している。ビジネスで不正があった。立件の金額は、六五二億四八〇〇万人民元(日本円でおよそ九八〇〇億円)もの巨額にのぼる。

幹部の子は幹部

幹部の子弟が、やはり幹部になる例は、枚挙に暇がない。

習近平自身が、高級幹部・習仲勲の息子である。幹部の子弟で幹部となる人びとを「太子党」という。李鵬、薄煕来、などが有名だが、中級幹部やもっと下の幹部にも例が多いので、それを入れれば、膨大な数だ。

子どもは幹部にならなくても、一般企業の就職で有利である。親のツテで、子どもを息のかかった企業に入社させることもできる。勤務態度がよくなくても、上司は文句を言わない。中国は、不平等がまかり通る社会なのだ。

副収入のいろいろ

高級幹部への利益供与(腐敗)に限らず、中国は何かとお金のかかる社会になった。

昔、タダ同然だった国立大学の学費が、高額になった。平均的な世帯は、入学をためらうほどだ。

「第二学院」というのもある。有名な〇〇大学が、郊外のキャンパスに〇〇大学△△学院を開設する。大学進学率はうなぎ昇りだから、志願者はいくらでもいる。〇〇大学の一部なのだからまあいいや、と入学する。値段が高いのに、教員の質が悪い。おまけに卒業証書が、〇〇大学のものと違って△△学院になっている。学生から文句が出て騒ぎになる。大学本体を潤すための集金装置なのだ。

大学だけではない。公立の高校も、費用がかかるようになった。入試の成績が二番手のグループだと、これこれの費用を払うと入学できますよ、と高校に言われる。親は、払うしかない。

公教育がビジネスになってしまった。

病院で診てもらうのも大変だ。

手術を受けることになった。盲腸の手術なら千ドル、みたいな相場ができている。病院に払う正規料金のほかに、担当する医者に渡さなければならない。渡さないで、なにかあったら大変だ。文革のころは、医師は薄給だった。いまは副収入で、リッチに暮らせる。

中国では、どんなポジションに就いていても、職権や裁量がある限り、つけ届けがふつうになった。この副収入の全体が、どれぐらいになるか、見当もつかない。なんでこんなにお金があるのだろう、と思う人びとが、都市部に集まっている。

(後略)

橋爪大三郎 中国 vs アメリカ: 宿命の対決と日本の選択(河出新書)


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