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「出会い、生まれる、じてんしゃ旅」 世界36カ国90000km を旅してきた自転車冒険家が、今回目指すのは生き 方の冒険。 財布を持たず、見通しを持たず、持つのはコーヒー… もっと読む
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誇り高く生きること。

誇り高く生きること。

長崎県の佐世保から南にくだったところにある川棚町こうばる地区。
佐世保からは海岸沿いに道路が走っていて、路肩も狭いしトラックも多いのだけれど海側には緑の木々がブロッコリーみたいにモコモコと生えた島があったり、大村湾の対岸にはうっすらと建物が浮かんでる。

川棚町に入ったところで国道から外れ、山側にのぼっていくと、先っちょのとんがった山とその谷間に流れる川が見えてきた。この先がこうばる地区だ。

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しあわせとは。

しあわせとは。

福岡でのフリーコーヒーそして出会いは、自分がなにか大きな渦にまかれているような、そうしてその同じ渦のなかでさらに多くのものに出会っていくような、そんな感覚をいだくほどの濃さだった。

舞鶴公園でのイベントでコーヒーを淹れ終わったあと、片付けて走りはじめたときにポツポツと雨が降りだした。頭のまんなかのほうがジンと痺れる感じで、いつものようにこのあとのことは何にも決めていなくて、さあどうしようかとすっ

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ひとはシステムをまわすために生きるのか。

ひとはシステムをまわすために生きるのか。

左手にせまる山はどこか不揃いで、けれどそのまばらで色の濃さの違う緑がかさなりあう姿がかえって自分の心を落ち着ける。山の斜面に並ぶ瓦屋根がどこか懐かしい感じがする。右手に見える島には2基の風車がまわっていて、きっとあの先には祝島があるのだろう。

数年前にSNSで知った山口県・上関町。いつか訪れたいと思っていた場所。patagoniaスタッフから「上関」の言葉が出たときに、ピンとくるものがあって現地

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お互いの「たまたま」が必然になる理由

お互いの「たまたま」が必然になる理由

世界一周をしたあとしまなみ海道のサイクルツーリズムに関っている先輩を訪ね今治に来た。ここに前回来たのは東日本大震災の年だから8年ぶりになるのか。現在運営されているゲストハウス「シクロの家」を訪ねると変わらず人懐っこい笑顔の先輩がいた。

20分ほどのあいだに、お互いの空白の時間を埋めていく。
そこは何だろう、すでに信頼関係ができあがっているからというか、少々説明をすっ飛ばしたとしてもそこを埋めても

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「いちばん優しいたこ焼き」

「いちばん優しいたこ焼き」

昨日もええ1日だった。自分へのご褒美に選んだのはたこ焼き。
この町に来たときに見つけていた、僕の徳島の友だちとおんなじ名前の
「志保ちゃん」というたこ焼きやさんへ立ち寄った。

「12個ください!」

そこにいたおばさんは申し訳なさそうにこう言った。
「ごめんね今日用事があってお休みにしてたの。ごめんね。」

「あぁ全然だいじょぶ!ありがと!」
そう言って自転車に戻ろうとしてたら、窓から顔を出して

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そのときに踏み出せるか。人生の瞬発力。

そのときに踏み出せるか。人生の瞬発力。

こんなことって信じられるだろうか。あまりに展開がはやすぎて行き当たりバッチリの僕でさえもハラハラしてしまった昨日の夜の出来事を。

昨日も高知の商店街でコーヒーを淹れていた。なんとなく前日の余韻のようなものがまだあったので。オシャレさん、建築家の先生、銀行マンに徳島から来た若者たちに占い師さん(タロット占いをお返しにしてくれた)。昨日もまた高知らしいいろんなジャンルの方々とともに夕方までの時間を過

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この世界を信じること。

この世界を信じること。

「なんでこんなことをやっているのかさ、気になってさ」
となりに来たおじさんが、少しささやくような感じで僕に尋ねた。

すっかり日が傾いて、ちょうど落ちた頃だろうか。僕がいる高知市の帯屋町商店街を抜けたところ、建物がうっすらと空のピンクを照らすようにやさしく色づく頃だっただろうか。

高知は前から来たかった。このコーヒーを淹れる旅で。
秋ごろここに人に会いに来たときに、駅前を歩きながらなんだか目の前

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ひとりの夢が「わたしたち」の夢に変わるとき。

ひとりの夢が「わたしたち」の夢に変わるとき。

このブログでも以前に紹介した女の子の物語。
八王子の小学校で講演したときに聴いてくれた女の子のお母さんから届いたメッセージにはこうあった。

今日講演に来て頂いた、八王子市立上川口小学校の保護者のひとりです。今日は、楽しく心に響くお話、ありがとうございました。娘たちは一日中、寝坊して講演に来られなかった主人に、西川さんの話をしていました。娘の将来の夢は、デザイナーになり自分のブランドを立ち上げ、服

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子どもたちの考えを読み、選ぶだけで自分らしい生き方ができるのだろうか考えてみた。

子どもたちの考えを読み、選ぶだけで自分らしい生き方ができるのだろうか考えてみた。

「自転車冒険家西川昌徳さんの生き方から学ぼう」
というタイトルで、群馬県前橋市の中学校1年生に向けて職業講話をさせていただいた。つまりは、職業もふくめた自分の人生について考えるきっかけにしようという授業なのだけれど、僕なりに感じることがあったのでまとめてみる。それはなんとなくで、しかも大勢じゃないから社会的な意見ではないんだけれど、僕なりに今の中学校1年生の職業や人生についての考え方おぼろげながら

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冒険家について小学生から受けたインタビュー後に、起こった展開に未来を感じたお話。

冒険家について小学生から受けたインタビュー後に、起こった展開に未来を感じたお話。

メッセージ: 西川 昌徳様
こんにちは。僕は、‪目黒区◯◯小学校6年‬の、中野◯◯です。今、総合的な学習の時間で、憧れの職業について調べています。そこで、西川さんにメールでインタビューさせていただきたいと思っています。自転車での冒険やお仕事に対する思いについて聞かせていただけたら、とても嬉しいです。もし可能でしたら、お返事をください。大切なお時間をいただくことになりますが、どうぞよろしくお願いいた

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僕が”生きててよかった”と思えるとき。

僕が”生きててよかった”と思えるとき。

ちょくちょく僕のところには、ホームページの問い合わせフォームよりメッセージが届く。メールでお知らせが来ることになっているんだけど、その多くは講演依頼。そしてときどき取材依頼だったり、講演を聴いた誰かが感想を書いて送ってくれたりする。

いつものように講演依頼かなぁ、なんて思いながらスマホの画面をタップすると、「こんにちは。僕は」からはじまる文面が目に入った。

メッセージ: 西川 昌徳様
こんにち

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思いを交換することで、人は生きてきた。

思いを交換することで、人は生きてきた。



思いのほか、濃い時間を過ごした青森を離れ岩手へ。
「東北はみんなシャイなんじゃないか説」は僕のなかではすっかり消滅した。盛岡に到着して駅前通りを流す。ずーっと続いていく商店街を抜けたそのさきにお堀があって、この石垣をバックにコーヒー淹れようとセッティング。さあどんな出会いが待っているだろうか。

・・・・・。
誰も止まってくれない。確かに人は行ったり来たりするんだ。
けど、挨拶してもこちらをチ

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コドモの夢を手伝えるオトナになろう

コドモの夢を手伝えるオトナになろう

先日、東京・八王子の小学校で講演をさせていただいた。
小さな小さな学校だ。全校生徒は57名。それでも過疎がグッと進んでいるわけではなくて、子どもの数はそんなには変わっていないらしい。校長先生は明るくてほのぼのしてる。ちょうど僕が自転車で学校にかけつけたときも、学校の前の交差点で旗を持って登校してくる子どもたちを迎えていた。

会場は図書室。ギュッと詰め込まれた子どもたちと、うしろには親御さんたち。

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通りが違えば出会いも違う。

通りが違えば出会いも違う。

青森にやってきた。
函館からのフェリーを出るともう日は傾き、建物の片側にだけ赤っぽい日が差している。今日の夜は、ここの大学で教える大先輩のところでお世話になることになってるから、ちょっとコーヒーやってみようかと駅前を目指した。

線路を跨ぐ大きな歩道橋を越えたところで駅前通りに出た。思ったよりも人通りがあるけど、ぼんやり歩いているというよりかは、みんな家路に向かう感じ。
さあどうするかな、と駅前を

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