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「エンデちゃんの命を捨てるに値する人なの?」

ちょうど2年くらい前の話。

その年のゴールデンウィークに親と一悶着あって、いや今まで生きてて一悶着なかった時期なんてないんだけど、まあとにかくほんとうに嫌でもう無理だったし何年通院したところで生きてみようなんて思えないし大学も卒業して世に放たれて、ただただ自信がなくてもうこれ以上生きるなんて愚かでしかないって思って、いやそんなこと考えるまでもなく「よし死ぬぞ」と踏み出したときのこと。

なんとか決めた就職先で18時までキーボードを叩いて退勤してから高島屋をうろついてみて「父の日コーナー」とかが目についてなんだか泣きそうになって泣きながら銀座線に乗り込んで知らない外国人に席を譲ってもらって乗り換えてローカルラインに揺られていたら「もうダメだよ」って自分の中から声がして最寄り駅の一つ手前で降りて線路にダイブしようとして捕まえられて通報されて通りすがりのババアに「死んだらダメだよ」とか説教されて暴れたら胴上げみたいに担がれてパトカーに乗せられて絶望の淵で警察署に連れていかれて無機質な部屋で無機質な警察官にあれこれ聞かれてだんまり決め込んでも荷物とか全部漁られるの知ってたからとりあえず住所と電話番号だけ言って「ああまた死ねなかった」と空っぽな焦りを感じていたら病院に連れていかれて2時間待たされてる間に一緒にいてくれてた若い女性の警察官が「薬は飲まなくていいの?大丈夫?」って気を配ってくれて近寄ってくれるんじゃねえ気安く話しかけるなって睨んだけど本当はもっともっと優しくしてほしくて人を信じたくて誰でもいいから抱きしめてよそうじゃなかったら殺してくれって思ってそうしてるうちに診察室に呼ばれて精神保健指定医に「この状況で入院が必要だとわかってないそのことが問題なんですよ」って言われたけど今まで入院なんてしても何にもならなかったもんまた入院したってちゃんとした生き方からますます遠ざかるだけじゃんそもそも時間と手間をかけて生かしておくだけの価値なんて私にはないんだよって抵抗してでもさっきの女性警察官に「とりあえずここのベッドに寝てみよ?」って言われたからもう疲れて横たわったら即座に肢体拘束されてベッドが動き出してそのままエレベーターに乗せられてマットレスと掛け布団と扉のないトイレしかない牢屋みたいな病室に入れられてベルトも下着もネックレスも外させられて荷物も当たり前のように取り上げられて「これのどこが健康で文化的な最低限度の生活だよ」って私はもう精神的にも社会的にも死んだも同然なのになんで肉体は生きているんだと泣きながら眠って起きたら園児用くらいの木の机に朝食が用意されてたけど手をつけずに舌でも噛み切ろうかと試みてそんなことできるはずなくて泣いていたらまた精神保健指定医が2人やってきて何か聞かれて遠い目をしてやり過ごしてそしたら少し後に看護師が封筒を持ってきて開封すると「措置入院が決まりました」って書いてあって死ねずに長期入院なんてああ私はなんて愚かなんだとまた失意のどん底で目を閉じたらマットレスごと担架に乗せられて救急車で田舎の病院まで運ばれてその車内のカーテンの向こうには両親がいてこんなところでそんな風に泣くくらいならお酒を飲まないでっていう私の頼みくらい聞いてくれたらよかったのにねって思いながらサイレンを聞いていたらピーポーじゃなくてピピピピピポポポポポって聞こえてきて「音もゲシュタルト崩壊するんだなあ」って考えて色んなことを諦めた頃に目的の病院に着いて担架に乗せられたままMRIとか諸々の検査が始まってて夕方には三重にロックされた保護室に運ばれてベッドと枕があるだけで安心してしまったけど知らない医療者に囲まれて本当に憂鬱で泣くこともできず布団を被って、そんな風にして始まった2ヶ月の措置入院だったけどそこで出会ったPSW(精神保健福祉士)さんが本当にいい人で退院してからもアポなしで相談しに行ってて迷惑がらずに色々と話を聞いてくれて、そこで2年前の今頃に言ってもらったのがタイトル。

長くなったからこれはここまで。
入院中のこととからめてまた書けたらいいな。

小説みたーい、シャイセ!

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