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【読書】チャーチルの不屈の闘志と鋼の意志/「第二次世界大戦回顧録」から

評価は別れるが逆境をはねのける不屈の闘志と鋼鉄の意志と言えば、私の中ではウィンストン・チャーチル。実は文筆家でもあった彼は多くの著作を残し、ノーベル文学賞迄取っている。そんな英国の英雄が書き残した大戦の回顧録。

記事要約

  • 第二次世界大戦を連合国側の勝利に導いた立役者の一人。そんなチャーチルが世に残した大戦に関する詳細な回想録。

  • 細かな歴史的記述に個人的な見解やその時々の本人の思いを併せて綴った作品で、危機下における強いリーダーシップや決断の重要性が伺える内容。

  • 特に軍事的戦略やオペレーションについてはかなり詳細に書き下ろしている。かなり玄人向けな本で、本気で興味ある人向け。




1.本の紹介

英国前女王エリザベス2世の人生を描いたネトフリ発テレビドラマシリーズ「ザ・クラウン」でも登場するウィンストン・チャーチル(Winston Churchill、1874-1956)。英国貴族出身で、陸軍軍人(陸軍大臣等を歴任)、保守党議員、最終的には2度英国の首相(1940-45, 51-55在任)を努めあげたいわゆる英雄的存在。ドラマでも良くも悪くも次元の違う存在感を放っている。

そんなチャーチルは作家でもあり、数多く著作を残しており、1953年にはノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「歴史や伝記の記述の熟達に加え、高揚した人間の価値についての雄弁な庇護者であること」。

チャーチルがどんなものを書いたのか興味本位で手にしたのがこの「Memoires of the Second World War」(6冊から構成される回顧録を4冊に縮約したもの、1948-53にかけて執筆・刊行)で、邦訳は「第二次世界大戦回顧録」(中央公論新社)。

2.本の概要

第二次世界大戦に関するチャーチルの詳細な回想録。

歴史的事実を淡々と語っている部分もあれば、個人的見解を織り混ぜたりもしていることから、歴史書ではなく個人的な回顧録。

著者としては、特に危機時においては、平和主義的ことなかれ主義/弱腰はかえって逆効果、大胆な意志決定や強力なリーダーシップが必要だとする書きぶり。

また台頭するドイツに対する外交努力等を自分の直の経験を織り混ぜながら語っているのは興味深い。

そして異彩を放っているのが、ノルウェーやダンケルクをめぐる対ドイツの軍事作戦とその戦略の実施展開に関する事細かな描写。

他割愛。

3.感想

取りあえず目ぐらい通しておきたいなと思い、何気なく手に取った本。序章で著者本人は、この本はあくまで彼の回顧録で歴史書ではないと言っているものの、緻密で臨場感のある書くぶりで、第二次世界大戦の一部始終を描き出している。

別に紹介した米国ジャーナリストのウィリアム・シャイラー著「第三帝国の興亡」を想起させる本。ただ、チャーチルの本は英国視点なことは無論、どちらかというとミリタリー要素が強い内容。またヒトラー台頭に当たって、対応をへジリまくる既存の英国政権へのフラストレーションなど個人的な思いも込められた文学的作品にもなっている。

指導者として評価がわかれるチャーチル。失敗しても気にせず前に進み続けるその鋼の意志。戦争という舞台になれば、兵士の無駄な犠牲にも繋がり批判の対象ともなるが、同時にドイツ軍に本国をボコボコにされても怯まなかったが彼の鋼鉄の精神は見習うとこある気がした(ただそれも、最終的には勝利できたから言え事にすぎないが)。

最後の一言
第二次世界大戦をガッツリ掘り下げた長編かつ、戦略的にもミリタリー的にもかなりテクニカルな内容なので、その手の話が好きな人にはお薦め。大衆向けではない(あくまで私の個人的な感想)。

本記事は、あくまで私がポイントだなと思った部分のみ書き出しまとめているだけです。この概要記事がきっかけとなり、この本に興味を持っていただけたら幸いに思います。


併せて、他の記事もご覧いただけたら幸いに思います。


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