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山桜桃 えみ
2020年5月29日 20:30
江の島にほど近いあの街の、夏の夜の匂いを、よく覚えている。惰性で深夜アニメを流しつつ横になった、部屋の床の匂い。東京の暑さに慣れなくて、上京して初めて夏バテになった。ぐったりと凭れた頬に伝わるフローリングのつめたさと、開け放した窓から流れ込む夜風の涼しさから、夏の匂いがした。ディスコ・キッドの前奏に乗せて流れてくる、汗と風の匂い。はじめての大学の学祭。私たちは浴衣を着て、夜のステー
2019年12月5日 21:40
混ざる。落ちる。飲み込んだ理不尽や、引っ込めた涙が、排水溝へ流れる水のようにぐるぐると渦巻きながら、私の中を流れ落ちていく。喉元から、胃、お腹の下の方を通って、つま先へ。流れ着いた先が行き止まりだったら、そのもやもやは身体に蓄積されていくのだろうか。スクランブル交差点を何も感じずに渡りきることができるようになった時、私たちは世の中の不条理をひとつ受け入れて「東京の人波」を構成する要素のひと
2019年9月5日 22:40
※震災の話をします。苦手な人はお気をつけください。※短歌のあとに文章があるので、読んでくださる方はぜひ最後までお目通しください。・・・短歌7首テーマ:震災(ノンフィクション)信号が全部止まった夜のこと 星が綺麗に見えた日のこと一枚の毛布の中でくだらないジョークに笑って夜を明かした「おかえり」を言ってもらえる幸せと罪悪感で世界が揺らぐ4年後の成人式まで私たち健康体でいれる