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妊婦さんを見て、思っていたこと(妊娠編)

~はじめに~
前回は不妊治療中の妊婦さんに対する羨望の眼差しや、妊娠直後の心の機微を書いてみました。いつもよりコメントやいいねを頂けてとても嬉しかったので早速続編を書く次第です。


不妊治療中、妊婦さんたちがとっても幸せそうに見えていた。マタニティマークは手の届かないアイテムで、ひよこクラブは手をとるのも憚られる。妊婦さんの側に旦那さんが居るときには、心なしか旦那さんも未来の我が子へのわくわくと身重の奥さんを気遣う気配があったりして、夫婦が進化して家族になっていく姿を目の前に、私や夫にはこんな未来は来ないような予感がした。(同じような予感を感じたことのある方へ。予感は外れることがあります。)

何もかも眩しかったし、妊婦さんは満たされきっているように見えた。


ところがどっこい、実際に妊娠して分かった。
妊婦さんはそんなキラキラしたものじゃない。兎に角、しんどい、きつい、不安の連続。

妊娠を喜ぶのも束の間、つわりであらゆる匂いがだめになり冷蔵庫を開けただけで気持ち悪くなる。きつくて、すぐにソファで休みたくなってしまう。少し出血があったり、身体の不調があるとお腹の子の安否が日々不安。

病院では赤ちゃんの周期がまだ少なすぎるため、少量の出血などの原因は明らかに出来ず、赤ちゃんへの影響も正直分からないので「後悔したくないのなら仕事はお休みして安静にした方が良い」と言われた。勿論、「後悔」したくない、そもそもやっと出来た我が子、次のチャンスがあるかは分からないのだ。
 
けれど、不妊治療中は治療でお休みを貰っていたのに、妊娠してもまたこんなに早い時期からお休みをお願いすることへの引け目、罪悪感、今後への不安感はソファの上で膨らんでいく。

段差や重たいもの、頑張りすぎない、お刺身、生ハム、レアのお肉、野良猫、、気を付けないといけないことが沢山でいつも気が張る。

お腹は大きくなっていき、腰が痛い、食べないと気持ち悪い、食べ過ぎも注意。

気付けば、体重はどんどん増えて、着ていた洋服が着れなくなる。身体のフォルムが変わりゆくことへの切なさ。人様を拝見する分には「幸せなフォルム」なのに、お風呂の鏡に写る自分の姿には都度軽めのショックを受ける。

クリームを塗って注意していたのにも関わらず、ある日見つけてしまったしっかりとした妊娠線に、私の青春はもう終わったのだと気付かされる。(とっくの昔に終わっている。)

お腹の圧迫で夜はお手洗いに何度も起きて、一日中気だるさが続く。(お昼まで寝ていたのは、妊娠による倦怠感によるものか、もしくは自分の寝るポテンシャルの高さがただただ露見した結果なのか、境界線は極めて曖昧。)

加えて、運転が怖くなる。電車やバスの人混みもお腹の圧迫やコロナ感染が怖かった。何せ、もしも出産時の検査でコロナ陽性となった場合、大きな病院に運ばれて帝王切開になり産後しばらく母子別部屋という決まりだったのだ。(当時、コロナが妊婦さんのメンタルに与えたストレスは、本当に計り知れないはず。)

お産が近づくと、夫の夜勤、当直などの日と陣痛が被ったらどうしよう、嵐や地震は大丈夫だろうか、、、そもそもお産に耐えられるだろうか、、何度も不安に苛まれる。


なんだったんだろうなぁ、
あの幸せそうなイメージ。

そうそう、例えば綺麗な芸能人がスリムな体型のままお腹だけぽっこりなマタニティフォトなんかを公開して、産まれてすぐに今度は幻想的なニューボーンフォトに幸せいっぱいな文章が添えられていたりすること。


私は不妊治療で、繊細な自分を自覚させられることが多かったけれど、妊娠しても同じように不安感や繊細さは継続した。どんなにこれさえ叶えばと思う一番の願いが叶ったとしても、いきなり満たされきった自分になることはあり得ないんだなとなんだか冷静に思い当たったところです。

P.S.
ジェンダーリビールケーキに、ベビーシャワー、ニューボーンフォトなどの言葉を口にすると決まって夫は笑ってました。そんなものいつの間に日本に入ってきたんだろう、と。

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