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小豆 VS 甘納豆

幼い頃から食べてきた母や祖母が作る「お赤飯」というものは
私の中では
「お祝い事やおめでたい日に食べるもの」
または
「桜色のもちもちした甘いご飯」だった。

それが、大人になり外国に引っ越してきてから現地に暮らす日本人の方が
差し入れてくださったお赤飯を食べてびっくりした。

甘くない!

ほんのりもち米の甘みにほんの少しの塩味、そして甘くない小豆。

衝撃だった。
私が今まで食べていたお赤飯とは別物であった。
では、私が食べていたものはどんなだったかというと
小豆の代わりに大粒の甘納豆が入れられていて、その甘納豆の甘みでもち米全体が甘い味になっていた。
もはやスイーツの粋に入りそうな甘さのごはん。
だから、子供にも食べやすくてお赤飯が出るとうれしかった。
見た目もピンクだし。

だから、本来なら小豆でほんのりピンク色に染まるはずのもち米は
甘納豆ではその色は出ないので、母は食紅を入れていた。
ほんの一滴、垂らすとまるで魔法みたいにぱっと全体がうっすらきれいな桜色に変わるさまをみるのが好きだった。

北海道ではこの甘いお赤飯が一般的。

時は昭和20年代後半、札幌にある学校法人光塩学園の創設者南部明子氏により「忙しいお母さんが手軽に赤飯を作れるように」と調理に手間のかかる小豆ではなく既に調理済みの甘納豆を使用することが考案されました。 そこには自身も働く母であったため、「子どもたちの喜ぶものを食べさせてあげたい」という想いもありました。

昭和20年代
今でいうワーママの時短レシピから始まっていたとは知りませんでした。

だから、たまにあの甘いお赤飯が食べたくなるものの、甘納豆が手に入らない。
日本食材はちょっと値段は高いけど、だいたいのものは手に入る環境ではあるのに悲しいかな、この甘納豆だけは売っていない。
一方小豆は有機のものから、普通のものまでどこでも買えるし、
畑でもよく育つ。

去年畑で取れた小豆がたくさんあるので、
今夜は小豆でお赤飯を炊いた。
今、お鍋の中で蒸らしながら出来上がるのを待っている。

おもしろいもので、小豆で炊いたお赤飯をいただく機会が増えるにつれ
これはこれで滋味深く、とても美味しいと感じるようになった。

甘納豆の甘いのはお子様向け、
小豆のほうは大人の味。

最近はこの大人の味のお赤飯で十分だと思うようになったけど
たまに、子供のわたしが顔を出す。
あ〜
あの甘〜いお赤飯が食べたいな〜と。


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