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富山湾「氷見とろ生いわし」の塩焼きをポルトガル流に茹でじゃがと赤ワインで

ふるさと納税で氷見市の「とろ生いわし」を取り寄せた。
先日の地震後、北陸方面の自治体ページを集中的にチェックして目に留まった「氷見とろ生いわし」。初めて目にする名だが、いかにも美味しそう。それになんといっても旬が短い。申込は1月中、届くのは2~3月の短い間。これは…食べるしかない!!

数日前に氷のぎっしり詰まった発泡スチロールの重たい箱が氷見から届いた。事前に発送予定&希望をメールでやり取りできるのがありがたい。

開封。壮観である。

氷水があまりに冷たかったのと、いわしの温度を上げたくなくて正確に数えませんでしたが22~23尾。一尾がかなり大きい
アニサキスをすっかり忘れていてお刺身用にさばいた分も慌てて冷凍

が、のんびり眺めてはいられない。
鮮度を落とさぬうちに調理前の下処理、若しくはさばいて冷凍できる状態にしなくては。

事前に何をどれぐらい作ろうか考えてはいたが、いざいわしたちを目の前にすると余裕はいっぺんに吹き飛ぶ。とにかく「大きくて立派なのは今日食べる丸焼き用」「そうでないのはさばいて刺身やマリネにできる形状に」と丸焼き用はえらを外して冷蔵庫へ移し、それ以外はどんどん頭を落とし、開いて…開いて???このサイズ、手開き無理だよね。

慌ててネットでいわしのさばき方を調べ、幾通りか試してやりやすい方法に行き着くまでに午前中が終わった。ここに至るまでに届いてから約1時間が経過し、処理を終えたいわしは半分弱。氷は少しずつ溶けだしている。もう少しがんばろう。
引き続きさばいてはタッパーに入れ冷蔵庫へ、を繰り返し、残り3分の1程度になった辺りで限界が来た。もう無理、エネルギーを入れないとこれ以上先へ進めない。

慣れない作業に疲れ、何を食べたいかすぐに判断できない状態だったが、ふと見るとまな板の上には半端な切れ端が数片。これと綺麗にさばけずつみれにしようと集めていた分を少々使い、シンプルなパスタに。
さばき始めてすぐにわかった。とにかく脂乗りがすごい。「とろいわし」というだけのことはある。まな板の上が脂で滑るほどだ。
ならばオイルを使わず、いわしから出てくる脂を全体に染ませたらきっと美味しいはず。

フライパンでいわしを焼き付け、出てくる脂で長ねぎとにんにくを炒めて具は完成。そこにパスタのゆで汁を…と麺を茹でている間に思いつき、梅干し1個の種を除き具に追加。いわしと梅、絶対美味しい。故にパスタを加えた後の仕上げに醤油も数滴垂らした。ああ美味しそう、いい匂い…

いわしの脂と梅の酸味が素晴らしくよく合う

夢中でむさぼるようにして食べた。想像していた通りの良質な脂、想像以上の旨味。それがしみたパスタと絡み合うねぎがものすごく美味しい。梅も大正解。さばき続ける間に13時半を回っていたのでお腹もかなり減っていた。

そうして食べる間に頭も冷静さを取り戻した。数尾さばいた段階で引っかかっていたのだ。
…あれ?このいわし、大きいから(20~25cm)すごく立派な白子や卵が入ってる。それにさばいた後の中骨、ひょっとして骨せんべいにできるんじゃ??
とりあえず何も考えずに中骨は新聞紙の上、白子は玉水(酒:水=1:3で割った水)につけ、卵は容器に集めておいたのだが、パスタを食べてひと息つく間にこれらの調理法も固まったので引き続き午後の作業へ。

魚の後は骨せんべいを揚げたり白子ぽん酢や子炒りを仕込んだりしたので、全ての作業を終え、台所を綺麗にする頃には辺りは暗くなり始めていた。
17時半。ほぼ1日をいわしに費やしたことになる。普段これだけ魚をさばくことはないので、全身が疲れと高揚感とに包まれていた。もちろん盛大に換気した。

そんな一日を締めくくる自分へのご褒美ディナー。もちろんこの超新鮮な漁港直送とろ生いわしを丸ごと塩焼き、に決まっているが、お風呂にゆったり浸かる間にふと考えた。それまでは白米につみれ汁のつもりだったが、赤ワインが飲みたくなってきたのだ。
それで思い出した。確かポルトガルではいわしの塩焼きを赤ワインで食べる。そういうお祭りもあったはず。そして肝心なのは、このいわしに合わせるのはパンと茹でじゃがいもであること。茹でじゃがといわしの塩焼き!超美味しそう!!

というわけで急遽じゃがいもを茹で、赤ワイン(スーパーの安いやつ。これにはそういうのが合う)も開けた。パンは先日焼いた酒粕ヨーグルト酵母のと、ホームベーカリーで焼いたぶどうパン。

なんて素敵なディナーでしょう。大興奮&大満足。

赤ワインに合わなそう…と思いつつも骨せんべいも添えました

これが、ものすごく美味しかった
パンにいわしの脂というのは想像できた。普段もイタリアやポルトガル辺りの料理をつくって青魚にパンを合わせることはよくある。でも単純に塩焼きにしたいわしに茹でじゃがいも=ポルトガル流、というのが斬新だった。

だってどっちも日本でごく普通に親しまれている食べ方ですよ。それがポルトガル流…やっぱり日本とポルトガル料理は近い。さすが天ぷらを持ち込んでくれた国。ありがとうポルトガル、ありがとう氷見のいわし。
そしてありがとう、氷見漁港のみなさん。たいへん美味しくいただいております。

いわし脂のしみたパンの美味しいことよ

結局つみれ汁も食べました。大根はおでんを煮た際面取りした部分。小骨も全く気にならない。魚臭さもないので生姜も不要。はあ、美味しい…

大根といわしも最高ですよね

ああ美味しかった。
ちなみにポルトガルのいわしの食べ方を知ったのは馬田草織さんのこの本から。私の超超超愛読書。何度読み返したか知れず、この本を見ながら調理もしたのでかなり汚れていますが、一生手放せない大事な一冊です。

ポルトガルへ行ったことはないけれど、ポルトガル料理は大好きです

そんな訳で、とろ生いわしのお話はまだ何回か書くつもりですが、この後遠出が続くため遅れる、若しくは間に他の話題を挟むかもしれません。
またお読みいただけたら幸いです。

みなさま良い週末を!

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