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白取春彦著(2016)『ヘッセ 人生の言葉 エッセンシャル版』株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン

わかりやすい表現でダイレクトに語りかけてくる

わたし自身は、ヘルマン・ヘッセの作品はこれまで読んだことがなく、このシリーズで始めてそのエッセンスを知った次第である。

今回もkindle unlimitedを利用して、昼休みの時間を利用して読んでみた。

わかり易い言葉というのは、たとえば「本当の自分と今の自分が一致できるように生きていけばいいのさ」とか、「人の一生とは、自分自身への道を独りで歩いていくことだ」などである。言葉としては理解しやすいが、なかなかに深い…

本書は、自分自身、悩みと悲しみ、わがまま、喜び、愛、考えるのをやめる、幸福などのテーマに沿った言葉で構成されており、章立ても理解しやすくなっている。

また本書は不思議と、kindleでのマーカーが多くなり、どの言葉も自分の琴線に触れていく。多分、この本の言葉のチョイスと、今の自分が必要とするものが共振しているせいなのだろう。わかりやすい表現が、ダイレクトに自分に語りかけてくるようだ。

本書からは、誰にも一切従わず、悩みも悲しみも喜び、その悲しみは執着から起こるもので、わたしが従うのはわたし個人の道であり、最後は死をも愛せるようになる。人は自分を偽って生きるが、自分自身のことは何も知らない。実際はわがままと言われる人ほど個性的に生きているし、子供の魂は親には似ない。知識を増やせば増やすほど疑問も増え、健全で正常な人間は芸術家になれない才能のない人のことである。また、自分のことさえ忘れるような美しいものに出会っておくべきであり、幸福を願っている間は幸福になれない。

ヘッセの言葉をつなぎ合わせると、それなりにかれの意図するイメージが想像できるような気がする。

大人になるにつれ自分を叱ってくれたり客観的に見てくれる人は少なくなるというもの。ヘッセの言葉をその入口として、再び自分を客観的に見ることで、少しは世の中が生きやすくなるのかも知れない。そんなオススメな本である。

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