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うまくいっているときはスピードが足りていない


2024年1月3日(水)朝の6:00になりました。

フルスピードで走るのが、俺の人生だった。

どうも、高倉大希です。




滑りにきたの?転びにきたの?

先日、十数年ぶりにゲレンデに行ってきました。


あまりにも久しぶりだったので、坂道がやけに急に見えます。

きっとこの日は、通常よりも傾斜がきつく設定されています。


誰かにぶつかりさえしなければ、とりあえずは大丈夫だろう。

そんな思いで、崖の上に立ちました。


デューイは「不確定な状況」をかき乱された、困った、曖昧な、混乱した、矛盾に満ちた、不明瞭な状態、などと表現している。モヤモヤなどのわからない状態を不安と感じるかワクワクと感じるかは個人差もあるかもしれないが、わからない、わかりたいという気持ちこそが深い学びを引き起こしていくのである。

藤原さと(2023)「協働する探求のデザイン」平凡社


いざ滑り出してみると、意外と身体は覚えています。

思いどおりに曲がれるし、思いどおりに止まれます。


2~3回滑ってしまえば、もうこっちのものです。

余計な力を抜いて、スイスイと滑れるようになりました。


なんだ、こんなものか。

時間と共に、傾斜はゆるやかになっていました。


力が抜けて姿勢が維持できている状態を私たちは「自然体」と呼んでいる。ただ力を抜けば簡単にできそうなものだが、経験を積み技術を高めなければ自然体には到達できない。(中略)「リラックスする」「脱力する」ということの本当の意味は「姿勢維持に必要な部分のみに力を入れ、それ以外の力を抜く」ことである。

為末大(2023)「熟達論」新潮社


蛇行せずにまっすぐ滑り降りたら、どのくらいのスピードが出るのだろう。

ここから先は、不安ではなく好奇心の領域です。


人が少ないタイミングを見計らって、一気に坂道へと繰り出しました。

つき当りの風景が、忽ち両側へ分かれるように、ずんずん目の前へ展開します。


リフトの待ち時間とまったくつり合わないスピードに、感動を覚えました。

車では味わえない、全身で感じるスピードです。


トロッコは最初徐ろに、それから見る見る勢いよく、一息に線路を下り出した。その途端につき当りの風景は、忽ち両側へ分かれるように、ずんずん目の前へ展開して来る。顔に当る薄暮の風、足の下に躍るトロッコの動揺、良平は殆ど有頂天になった。

芥川龍之介(1968)『トロッコ』青空文庫


ところが、そんな感動も束の間でした。

これまでどおりに止まろうと思っても、コントロールが効きません。


勢いに足がもっていかれて、気がつけば空を見上げていました。

ゲレンデに到着してから、はじめて雪の冷たさを感じました。


なるほど、こういうことか。

リフトを登り切ったころには、また傾斜が変わっていました。






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