ルノワール《木かげ》

国立西洋美術館に所蔵されているルノワールの《木かげ》。
ひとめみて絵の奥の方、奥の方に
「吸われてしまう!」と咄嗟に思った。

55.8×46.3cmという小柄なカンバス。
油絵の具が用いられている。

《木かげ》を初めて見た瞬間は、
多彩な緑色を用いながら無数の荒い点が塗られている平面と認識した。

しかし、見直すたびにこの絵は変わる。

題名を読んだ後、
再び絵に目を向けると
カンバスの真ん中に空間を認めた。
無数の葉っぱ、
多様な葉っぱが空間を囲っている。
明るく円形の空間。

道だ。

道がどこまでも先へ真っ直ぐ続いているのが見えてくる。
私はここに立ってる。
無数の葉っぱの下、枝、幹の下に立っている。
影が揺れている、風が吹いてくる。
梢が左右へゆさりゆさりと揺れるように私も左右へと揺らされる。
突如として絵は立体となった。

近づいてみる。
カンバスからの距離、1mから50cmへ。
絵画は立体から平面へと戻っていった。
無限の色彩を真近で。
よく見ると赤い細かな点々が散らばっていたりもする。

ふと目を離し、再び目を向ける。

次には光を認めた。
左側の並木は明るく、右側は暗い。
木のシルエットが浮かび上がってくる。
強調されてみえてくる。

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