■なにをするサークルか 「ショートショートの朗読と雑談と」の打ち合わせをしたり、記録を残したり、ショートショートに関する知見を蓄積するサークルです。 ■活動方針や頻度 「ショートショートの朗読と雑談と」はClubhouseで毎日19時から21時まで開いています。ショートショートを通じて交流が図れればいいなと思っています。 ■どんな人に来てほしいか ショートショートを書きたい人、朗読したい人に参加してほしいと願っています。ショートショートの定義は人によって異なると思いますが、ここでは100字から2000字程度の長さの小説を想定しています。 ■どのように参加してほしいか ショートショートを書いたら、どこに書いたか、URLを教えてください。面白い本や朗読があれば、メモを残していってもらえると助かります。また、ショートショートのお題も募集しています。 ■タイトル画像は、EATALK MASKのミムコさんによるものです。マスクケース文庫という面白いプロジェクトを運営されています。
プランはひとつだけ。有料でごめんね(無料にする方法がわからなかった)。
深川岳志
平日にショートショートを1編ずつ追加していきます。無料です。ご支援いただける場合はご購読いただけると励みになります。 朗読会や音声配信サービスなどで自由にご利用ください。その際には、タイトルと作者名、URLを記載してください。報告の必要はありません。
近況報告的な文章を収めていきます。
映画やテレビなど映像ドラマを観た感想文を集めていきます。
びすマニアの方々のために。
自分でも毎日Clubhouseでショートショートを朗読しているのですが、朗読家の方に読んでいただくとまったく出来上がりが違います。このマガジンは朗読していただいた作品を紹介していくために作りました。
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短い昼寝は体にいいと言われている。会社も集中力をつけるべく、午睡を推奨していた。 12時から昼休みに入って、お弁当をゆっくり食べても12時40分。 アイマスクと…
人が倒れており、体の下に赤い液体が広がっていれば、誰だってどきっとする。 すぐに人だかりができた。 何人かの若者が近づいていき、 「おい、大丈夫か」 と声を…
■2023年04月28日(日) Chiakiさんからのお題は「モップ」。無人のビルを掃除する話を書く。前半、設定部分が長くなりすぎ、書き終えてから全部削除する。読めるレベルに…
聖地巡礼写真集が流行っている。 ヒット作のロケ地を主演俳優がたどり直す観光案内だ。 今でこそ聖地巡礼ありきでさまざまな作品が企画されるが、十年も前の映画の写…
特急で都心から一時間ほどの郊外に小さな森がある。 私が軽装にリュックの姿で中に入っていくと、きゅーきゅーと甲高い声がして、タンチョウヅルが舞い降りてきた。 …
七月に入った。 とっくに梅雨の季節は終わっている。 「結局、空梅雨だったなあ」 とヒロシは言った。 「暑いなあ」 と、ケンジは雲ひとつない青空を仰いだ。 ふ…
小学五年生の頃、 「小説を書いてみたいから、原稿用紙を買って」 とイチローはお願いした。 父親は、 「そんなもん、チラシの裏に書いとけ」 と答えた。 そうい…
「昨日、うるさくありませんでした?」 とお隣のイリエさんに言われた。 「いえ、ぜんぜん」 「よかった。カツカレーサロンを開いていたの」 「へえー。サロンっていいで…
会社をクビになった私は、時給の高い清掃業務で食いつなぐことにした。 掃除会社の担当者は仕事内容を丁寧に説明し、 「オオツカさんには、三階の廊下と居室をお願いし…
■2023年04月21日(日) ショートショートを書く。Akiさんからのお題は「ピーナッツ」。ピーナッツ人間の出産の話を書いたら、妻から「気持ち悪い」とさんざんな酷評を受け…
玄関を開けると、棒が立っていた。 「掃除に参りました」 よく見ると、コードレスの掃除機だ。足下に吸引システムがついている。 「自分でやるからいいよ」 「そういう…
ナイロンタオルを持って銭湯に行き、身体の隅々まで洗った。 次にサウナで汗を流した。汗といっしょに身体の中の老廃物も出ていくようだ。冷水に首まで浸かるときゅっ…
前に飼っていた猫が亡くなってから半年。 妻が新しい猫をもらってきた。 今度は雄の赤ちゃんで、茶トラだ。毛並みがとても美しい。 猫の成長は早い。半年もすれば…
友だちのユウジのマッションを訪ねた。 「やあ、いらっしゃい」 リビングに入ると、毛深い絨毯がなくなり、柔らかい木目のカーペットに変わっていた。 「あの高そうな…
洋式トイレの便座に腰かけていて、ふと、壁のタイルが一枚浮き上がっているのに気がついた。 この家も古いからなあ。 薄青のタイルを、力をこめてぐいと押した。カチ…
2021年4月12日 16:13
2024年5月6日 20:06
短い昼寝は体にいいと言われている。会社も集中力をつけるべく、午睡を推奨していた。 12時から昼休みに入って、お弁当をゆっくり食べても12時40分。 アイマスクと耳栓をして、机の上にぺたっと顔を倒すと、目の前に階段があらわれる。 階段をくだると、地下室に出る。 窓もテレビもない、机と椅子が置いてあるだけの石作りの小部屋。 机の上にはペンと原稿用紙がある。 ヒマなので、私はペンを取って
2024年5月5日 22:18
人が倒れており、体の下に赤い液体が広がっていれば、誰だってどきっとする。 すぐに人だかりができた。 何人かの若者が近づいていき、「おい、大丈夫か」 と声をかけた。「あれっ」「どうした」「ケチャップの匂いがしないか?」「するな」「こいつめ。悪ふざけしやがって」 気の短そうなドレッドヘアの男が、倒れている男を蹴った。 男は仰向けになった。 顔色は蒼白で、辛うじて胸が上下してい
2024年5月4日 09:06
■2023年04月28日(日)Chiakiさんからのお題は「モップ」。無人のビルを掃除する話を書く。前半、設定部分が長くなりすぎ、書き終えてから全部削除する。読めるレベルになったかなあ。不安だ。書いていることの半分くらいは実話である。タイトルは「お世話係」にしてアップロード。■2024年04月29日(月)keikoさんからのお題は「サロン」。アイデアが下りてこない。こういうときはとにかく書
2024年5月3日 21:49
聖地巡礼写真集が流行っている。 ヒット作のロケ地を主演俳優がたどり直す観光案内だ。 今でこそ聖地巡礼ありきでさまざまな作品が企画されるが、十年も前の映画の写真集が出るなんて奇跡に近い。 ぼくはひさしぶりに「ひなげし」を観直し、有給休暇を取って二泊三日の旅に出た。「ひなげし」はロードムービーであり、家庭に居場所をなくした主人公があてどのない旅に出る。 東京駅でユキちゃんが買ったシューマイ弁
2024年5月2日 20:50
特急で都心から一時間ほどの郊外に小さな森がある。 私が軽装にリュックの姿で中に入っていくと、きゅーきゅーと甲高い声がして、タンチョウヅルが舞い降りてきた。 と思った瞬間、姿勢のいい男が私に覆い被さんばかりの近距離で立っている。「こんにちは」「こんにちは」 私はリュックから、折り畳みのヨガマットを取り出した。 鶴になりたいと思ったのは二十五歳の時だった。それまでも何回かヨガブームはあっ
2024年5月1日 22:55
七月に入った。 とっくに梅雨の季節は終わっている。「結局、空梅雨だったなあ」 とヒロシは言った。「暑いなあ」 と、ケンジは雲ひとつない青空を仰いだ。 ふたりはコンビニに入るかどうか、迷っている。飲料水の値段がやたら高くなっているのだ。「このままじゃ熱中症だよ」 コーラを一本買って、分けて飲んだ。 目の前をスーツ姿の男が歩いて行く。 ざーっ、ざーっと雨粒のような音がした。「最
2024年4月30日 20:39
小学五年生の頃、「小説を書いてみたいから、原稿用紙を買って」 とイチローはお願いした。 父親は、「そんなもん、チラシの裏に書いとけ」 と答えた。 そういう手があったかと思い、サトウはチラシの裏に小説を書き出した。 だんだん慣れてくると、内容はともかくとして、長さの調節ができるようになった。イチローの話はチラシの大きさに合わせて自然に終わる 新聞の広告のチラシや、電話ボックスから剥
2024年4月29日 22:19
「昨日、うるさくありませんでした?」 とお隣のイリエさんに言われた。「いえ、ぜんぜん」「よかった。カツカレーサロンを開いていたの」「へえー。サロンっていいですね」「そうでしょー。今度は、お店を借り切って開いてみるつもりなの」 ひそかに自宅サロンが流行っているようだった。 私もいろいろなサロンに誘われるようになった。デパ地下に寄ってちょっとしたお土産片手に訪ねてみる。そこは会話の渦だ。
2024年4月28日 10:26
会社をクビになった私は、時給の高い清掃業務で食いつなぐことにした。 掃除会社の担当者は仕事内容を丁寧に説明し、「オオツカさんには、三階の廊下と居室をお願いします」 と言った。 次の日から掃除にとりかかった。 大きなビルは、昔、介護施設として利用されていたそうだ。廊下の幅は広く、居室も大きい。 私は毎日、誰もいないビルの掃除を黙々と続けた。モップの扱いは面倒で、一ヶ月もたつと腰痛を発症
2024年4月27日 13:21
■2023年04月21日(日)ショートショートを書く。Akiさんからのお題は「ピーナッツ」。ピーナッツ人間の出産の話を書いたら、妻から「気持ち悪い」とさんざんな酷評を受ける。出産はとりやめ、頭に黄色い花を咲かせる夫の話にした。今度は「なんで? なんでと思わせるところでアウト」。次、バーを舞台にして書きたいと思うが、人生で数えるほどしかバーに出入りしていないので、雰囲気ある描写ができない。とくに会
2024年4月26日 20:18
玄関を開けると、棒が立っていた。「掃除に参りました」 よく見ると、コードレスの掃除機だ。足下に吸引システムがついている。「自分でやるからいいよ」「そういう人ほど掃除をしません」 正論である。「お金は出せない」「充電させていただくだけで十分です」 それならと部屋に入れたのが間違いだった。「ものがあるので吸引できません。ものがあるので吸引できません」「うるさい。同じことを何度もい
2024年4月25日 20:02
ナイロンタオルを持って銭湯に行き、身体の隅々まで洗った。 次にサウナで汗を流した。汗といっしょに身体の中の老廃物も出ていくようだ。冷水に首まで浸かるときゅっと肌が引き締まる。 身体の内も外もキレイになってアパートに帰り、すぐに薄がけ布団をかぶった。 夢の中に小人が出てきた。何人もの小人が裸の私を一生懸命小さな布きれで擦っている。なにかを塗りつけ、広げているようだ。乾燥するのを待って、また皮
2024年4月24日 20:00
前に飼っていた猫が亡くなってから半年。 妻が新しい猫をもらってきた。 今度は雄の赤ちゃんで、茶トラだ。毛並みがとても美しい。 猫の成長は早い。半年もすればもう大人だ。 つい先日まで掌に乗っていたと思うのに、もういまでは本棚の上やカーテンレールの上を歩いて、私たちを見おろして威張っている。 五年たった。 我が家の猫はまだ成長を続けている。体長は三メートルくらい。 リビングの床にのび、
2024年4月24日 19:55
友だちのユウジのマッションを訪ねた。「やあ、いらっしゃい」 リビングに入ると、毛深い絨毯がなくなり、柔らかい木目のカーペットに変わっていた。「あの高そうな絨毯、どうしたんですか」「ああ、彼なら帰って行った」「彼?」「うん。毎年、春になると、窓から飛び出していくんだ」「空飛ぶ絨毯ってことですか」「メールアドレスをつけておいたら、先方から返事が来たよ」 ユウジはスマホを開いて、ロシ
2024年4月23日 20:26
洋式トイレの便座に腰かけていて、ふと、壁のタイルが一枚浮き上がっているのに気がついた。 この家も古いからなあ。 薄青のタイルを、力をこめてぐいと押した。カチっと音がする。 まわりのタイルがぱらばらと剥がれ落ちた。そのうち勢いがつき、狭いトイレのタイルが全部落ちてきた。「うわあ」 オレはあわてて個室から逃げ出した。 騒音が静まってから扉をあけてみると、床はタイルの山になっているものの、