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191 朝の小さな楽しみ
私の父は早起きが得意で、家族のだれも起きていないような時間に起きては絵を描いたり、本を読んだりしていた。
それに気づいたのは小学生くらいのころで、まだ外がそれほど明るくない時間にデスクライトだけつけて机に向かう父の背中は今でも忘れられない。
「すっごく早起きさんなのね」
朝食の席で父に尋ねたことがある。
「朝はゴールデンタイムだよ。寝ているなんてもったいないじゃないか」
父が描く絵は飛行機やヨ
180 静かで小さいけれど幸せな時間
はっとするような緑色の葉の下で暑さをやわらげて過ごした季節から、いつの間にか一枚の葉もなくなった枝から淡いブルーの空が見える季節になった。
花をつけていた木はさっぱりとした姿に、草はかさかさと音をたてながら褪せた優しい色合いで揺れている。
毎年この時期になると、「あっという間だったな」と思う。
「あっという間」と感じることは、さみしくもあるけれどありがたいことなのかもしれない。
それだけ一所懸
176 チョコレート・ナイト
すっかり空気が冬色になってきた。
空気は目に見えるわけではないけれど、どうしても季節によって「色」がある気がする。
それは人それぞれ、過ごしてきた時間や見てきた景色、感じてきたことによって変わるものだ。
例えば、夏は海や空のブルーをイメージする人もいるだろうし、日差しのイエローが頭に浮かぶ人も、いきいきとした植物のグリーンを想像する人もいるだろう。どれも尊い感性だと思う。
冬はどうだろう。雪の