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『青い悪魔』1

 西暦三千と二年。人類は人口増加に伴う資源不足に苦しみ始めた。月や他の惑星から資源を取り尽くした人類は今後滅びの道を辿るであろうと狂信者たちは叫んだ。政治家たちはこれを否定、非難していたが事実、その通りにことは進んでいく。
 ある日、地獄の門が開いた。そうとしか形容出来なかった。世界各国で突如地面に大穴が空き、そこから虫のような鳥のような恐ろしい容姿の巨大生物が溢れ出てきた。巨大生物は人々を食らい、成長した。人類はこれに抵抗。当初は数も多い、知力もある人類が巨大生物を圧倒。また巨大生物たちが寒さに弱いことを知ると人類はさらに猛攻をかけ、巨大生物たちは全滅したかに思えた。人類は勝利の喜びを分かち合い、地球上の人間全てが一致団結した。
 その三年後、事態は一変する。巨大生物たちが這い出てきた穴からまた別の巨大生物たちが湧き出てきた。人類は勝利を確信していた、再び勝てると。だが巨大生物たちは前の一団よりも格段に強くなっており、やがて人類が圧倒され始める。この頃、ようやく巨大生物に名称がつけられた。彼らは“AKUMA”と呼ばれた。AKUMAは白いボディに赤い模様が主体のカラーリングをしており、大きさや形状はある程度の種類が存在した。一番数が多いのがワームと呼ばれる芋虫のような形状のAKUMA。ワームは動きが比較的鈍く、ある程度人数がいれば人類でも抵抗出来た。だがワームを統率している群れのリーダー格が問題だった。リーダー格のAKUMAたちはそれぞれ知能が高く、肉体の形状も様々で個性があり、群れを操って人間を襲わせた。当初は抵抗していたものの、焦り始めた頃には遅く人類は数を減らしていった。さらに一年後、アメリカ西海岸で黒いボディに青い模様のひときわ小さなAKUMAが目撃される。しかしその個体はすぐに消息を絶ち、一度は忘れ去られた。
 最初は誰かの創作だったのかもしれない。青いAKUMAを目撃した誰かの話が伝わり、やがて人々の間でこう噂されるようになった。“青いAKUMAは赤いAKUMAを滅ぼす、人類を救う存在だ”と。人類はいつか、その青いAKUMAが救ってくれると信じながら住処を追われさらに数を減らしていった。

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