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バックスクワットのトレーニングエラーを4つの注意ポイントで解説!『下肢編』

はじめに

バックスクワットはバーバルを両肩に乗せ、スクワットをすることで、主に下半身を中心とした全身の筋力トレーニングです。

大きな筋肉を使用するので効果が得やすく、取り組みやすいメニューの一つです。

しかし、間違ったフォームでトレーニングすることで、効果が得られず、ケガに繋がることもあります。


そこで、正しいバックスクワットのフォームと比較しトレーニングエラーが起こりやすい箇所を説明していきます。

今回は『下肢』です。

前回までに『体幹・上肢』をまとめてます。

興味のある方はどうぞ!


①    股関節


まずは股関節です。

股関節はしゃがむ際に下肢と骨盤の間で力を伝達する役割があります。

スクワット中にフラットな骨盤傾斜を維持すると、脊柱起立筋と骨格筋の活動が増加し、

負荷を処理しながら脊椎の最適なサポートを確保し、腰痛のリスクを減らします。

スクワットは大殿筋を効率的のトレーニングできるメニューです。

大殿筋はジャンプやダッシュなどの原動力になる筋であるためアスリートには非常に重要です。

大腿四頭筋の反対側にあるハムストリングスは大殿筋の働きを補助します。

ハムストリングスはスクワット中に降下するときは遠心性収縮し、股関節屈曲を補助します。

上昇するときは求心性収縮し股関節伸展を補助します。

また、中・小殿筋や外旋筋はスクワット中の大腿骨を安定させます。

股関節が内旋・内転しなよう制御してくれます。

正しいフォーム

アスリートは、スクワット中、側方への動きを最小限に抑えて、図のように正方形で安定した腰を維持します。

大腿骨の位置は、スクワット全体を通して左右対称のままである必要があります。

正面から見た腰のラインが地面と平行である場合が最適です。

特に運動の降下の間、骨盤を正常・中立の傾きに維持することも重要です。

一般的な間違ったフォーム

非対称の股関節運動は、腰痛のリスクを高めます。

この図は腰のラインが前額面で地面と平行になっていません。

股関節の非対称性は股関節の可動域の低下や筋力の不均衡、関節唇損傷などが要因に挙げられます。

股関節の可動性が少ないアスリートは、体幹の屈曲を増加する代償的な運動パターンを示すことが報告されています。

チェックポイントは前額面で左右の股関節の高さが平行であるか、分かりづらい場合はバーが平行であるかで確認できます。

②    膝関節

二つ目は膝です。

スクワット中の膝コントロールは主に大腿四頭筋、ハムストリングス、および腓腹筋でコントロールします。

保護機能として大腿四頭筋とハムストリングスが共収縮を開始することで膝角度の増加に伴い、脛骨大腿骨および膝蓋大腿関節の圧迫を増加することが示されています。

この圧縮力は、膝の前後の剪断力と側方への並進に抵抗するため靭帯再建手術後の適切なリハビリテーション運動をサポートします。

剪断力は膝角度の増加とともに増加する傾向がありますが、膝の十字靭帯に掛かる力は、深い屈曲角度で減少します。

したがって、膝の高さよりも深いスクワットが膝の十字靭帯および側副靭帯および半月板に損傷を与える可能性を高めるという主張を裏付けるエビデンスはありません。

スクワットは、スポーツ運動中の能動的な筋肉の働きにより、膝が深い屈曲位置でも受動的および動的な膝の安定性を高める可能性があります。

正しい膝のフォームは、

スクワットの動き全体で膝はつま先を追うことです。

つまり、スクワットの上下動中は内側と外側へ膝の変位がないことです。

膝の外側面は内くるぶしと交差してはなりません。

一般的な間違ったフォーム

膝の過度の内側外側の動きは、機能障害を示します。

スクワット中の外反膝もしくは内反膝は股関節外転筋と股関節外旋強度の低下、股関節内転筋活動の増加、および足首背屈の制限などの要因があります。

内外反膝は一般的に観察されるトレーニングエラーです。

ニュートラルな膝のアライメントが望まれ、運動中の内反または外反の位置を修正するために口頭指示やミラーなどを使用した視覚・聴覚からのフィードバックの必要があります。

チェックポイントは、スクワット中に外反膝の場合、内側くるぶしを通過する膝の内側の側面を観察することです。

③    脛骨

3つ目は脛骨の並進角度です。

原則として、脛骨の並進が増加する(膝の位置がつま先より前にでる)と、膝関節前方のトルクが増加します。

このことにより、一部のトレーナーからは膝がつま先を通り過ぎないように注意するようになりましたが、スクワット運動中に怪我のリスクがスクワットトレーニングで得られる利益を超えるというエビデンスはありません。

前方へ移動してはいけないという意識的な努力は、体幹の前方への傾きを増加させ、股関節と脊椎にかなり大きな力をもたらし、これらの関節をより大きな怪我のリスクにさらすことが示唆されています。

したがって、足が床にしっかりと固定されたままであるという条件下では、腰を後ろに降ろすことに焦点を合わせて脛骨の並進角度は意識しないようにする必要があります。

一般的な目標は脛骨と体幹が平行である角度です。

脛骨でコントロールするのではなく、適切な股関節運動学によって達成されるべきものです。

脛骨の並進の程度は、人体測定、特に胴体と脚の長さの比率に応じて、個人間で異なるようです。

間違ったフォーム

膝の位置がつま先より過度の前方移動は、膝の剪断力を増加させ、膝伸筋トルクを増加させます。

スクワット中の脛骨進行角度の最適な位置は、受動的構造への望ましくないストレスを回避しながら、下肢の能動的な筋の活動単位数を増加させることです。

多くの場合、弱化した臀筋は前傾姿勢か股関節のポジションに影響を与え、膝に負荷をかけ、後部ではなく脛骨の進行を増加させる戦略をとります。

過度の脛骨進行角度は、大腿四頭筋が優位に働くことで下腿三頭筋・ハムストリングスの弱化が悪化することもあります。

制限する要因としては、アキレス腱による腓腹筋とヒラメ筋の複合体の動きの制限、足首後部の距骨関節の制限、股関節の可動性の制限、および足部の可動性の欠陥が挙げられます。

チェックポイントは脛骨の傾斜角度と体幹の前傾角度が平行かどうか確認します。

④    足部

4つ目は足部です。

適切な足首の可動性は、バランスの取れた制御されたスクワットの動きをサポートします。

バックスクワット中にフラットで安定した足の位置を維持するアスリートの能力には、適切な足首の背屈角度が必要です。

アスリートの足が安定していて、地面にしっかりと固定されていること。

アスリートは、スクワット動作全体を通して、足全体を地面に置いておく必要があります。

足の圧力の中心は、初期姿勢のときの足の中央から、スクワットの下降段階での踵と外側の足に向かって移動します。

より重心を後方へ置くと、スクワット全体で適切な股関節運動戦略が取りやすくなります。

さらに、より多くの重心を足の側面に向けると、臀筋に力が入りやすくなります。


左が間違ったフォームで右が正しいフォーム

一般的な間違ったフォームでは、

足の回外または回内は不適切な運動戦略です。

例えばバックスクワット中に、常に踵やつま先を地面から持ち上げることです。

踵が地面から浮き上がることは足首、膝、腰、腰椎の周りに代償トルクが発生します。

踵を地面から持ち上げると、アスリートは接地面積が小さくなり、バランスの取れたスクワットを実行する能力が低下します。

スクワット中の足首の回内外も、生体力学的欠陥を示しています。

足の外側に向かって重心を強調する必要がありますが、バランスと安定性を促進するために、内側を地面から離してはいけません。

足関節の背屈制限の代償として踵骨の回内外が起こる可能性があります。

この代償は、正しいスクワットの仕組みに必要な足と膝の安定性に悪影響を与える可能性があります。

さらに、足関節周囲の筋肉組織の衰弱は、スクワット中の誤った運動パターンに関係しています。

内側腓腹筋、前脛骨筋、後脛骨筋の強度不足は、膝外反および足回内運動を制御できなくなり、過度の内側膝変位および足関節の動的外反に寄与する可能性があります。

足関節の可動性、股関節の可動性を高めることが改善ポイントですが、一部のアスリートは、安定したプラットフォームの作成と踵の押し出しを支援するために、かかとブロックを使用することで最初に恩恵を受ける可能性があります。


まとめ


バックスクワットで起こりやすいトレーニングエラー『下肢編』の説明でした。

4つの注意点を修正して正しいフォームでトレーニングを行ってください。

次回は『下肢編』のコレクティブトレーニングを紹介します。


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理学療法士 稲吉直哉


参考文献


Myer GD, Kushner AM, Brent JL, Schoenfeld BJ, Hugentobler J, Lloyd RS, Vermeil A, Chu DA, Harbin J, McGill SM. The back squat: A proposed assessment of functional deficits and technical factors that limit performance. Strength Cond J. 2014; 36:4–27. [PubMed: 25506270]

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