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日々の泡

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泡沫の記。
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記事一覧

正月です。

祖母が死んだ。
と、正月早々不穏な書き出しだが、去年の話だ。
97歳であり、大往生。若しくは生き過ぎな感さえある。
祖母はグループホームに預けられていて、叔母がよく面会に行っていた。
私は一度しか行けなかったが、その一度でも面会出来たことに満足している自分がいる。

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春は耳月

祖母が亡くなった。
祖母はアルツハイマーで、千葉の特別養護老人ホームに入所していた。
叔母が面倒を見ていて、週に何度も来訪していたらしい。
母と叔母の仲が悪く、私は連絡出来ないでいた。
しかし関東の方とお付き合いすることになり、そのついでだと思い、気持ちに加速を付けて来訪することにした。
当時の彼女にしたら、訳の分からないイベントだったであろう。
一人で叔母に連絡し、叔父と三人で会食し、近況を話し

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無能の人

無能の人

TikTokをやっている友人がYouTuberになりたい、と言い出し、撮影の手伝いしてくれへん?という事で行ってきた。

前日眠れず、朝6時の電車に乗り八尾駅まで。
そこから車で撮影対象のおじさんの家まで行く。
おじさんは石が好きで、以前、岐阜で石を探していた際、これは!という石を見つけたのだと言う。
しかしそれは老人が一人で持てる重さでは無く、友人に依頼が来た。
その一部始終を撮影したらええやん

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不治は日本一の病

我が家は糖尿病家系である。
祖母も父も兄もそうで、兄は若くして死んだ。
ぼくは今まで発症していなかったのだが、最近の不摂生で病状らしきものが出ている。
今更感は否めないが気を付けねばならない。
そして病院は行きたくない。
病院に行くと病人にされる。

『ダーウィン賞』をご存知だろうか。
「愚かな行為により死亡する、もしくは生殖能力を無くすことによって自らの劣った遺伝子を抹消し、人類の進化に貢献した

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一歩前へ。

一歩前へ。

男性用の小便器の前の壁にはそう書かれていることが多い。

味わい深い。

便器に味わい深いもどうかと思うが。

小便器は形状からアサガオとも呼ばれる。

急ぐとも 心静かに 手を添えて 朝顔の 外に漏らすな 松茸の露

何て事を書いてある場合もある。
情緒である。乙である。

海外では、

Stand closer please.Your HONEST JOHN is not so long as

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占いを覚えろ!取り敢えず手は触れる。

占いを覚えろ!取り敢えず手は触れる。

という教訓。

ぼくは眠れぬ時はよく怖い話を読むのですが、あまり怖いと思わないことが多く、(あのカーテンの隙間から、人が覗いてたら…)などと妄想し、一人鳥肌が立つのを楽しんでいます。

今日は未解決の行方不明の事件についての記事を読み、おばけやら妖怪の話よりよっぽど怖いなあ、と感じました。

自分の周りに行方不明ってあったかしらん?と、考えたとき、夏に流れの速い暗渠の中を流れる遊びを子供だけ

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サーガ

東京から友人が来る、ということで、新大阪駅まで向かった。
もう一人の共通の友人は車で兵庫県から来ていたので、途中で載せてもらった。
何時に来るのかも、何時間一緒にいられるかもわからない、何の為に会う、とかそういう話でもない。

安い駐車場を探し、新幹線が到着するまで公園にでも行こうや、と言って丸い丘みたいな遊具の上に登った。
「最高やないか!」
と、友人は言った。目の前には便所があった。
「ここが

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四月馬鹿は午前中に。

四月馬鹿は午前中に。

という決まりがあるらしい。
毎年、嘘を考えるのだが思い浮かばない。
どうでも良い嘘をつくのが得意なぼくだが、単純に四月一日に知り合いに会う、ということが無いからかも知れない。

「従兄弟がお笑い芸人です」
「ユーゴとスラビアのハーフです」
「親が手品師です」

などと適当な嘘を春風の様に謳って来たものである。
そしてそれらは何故か全て信用され、後になって、「お前ちゃうんかい!」と、なったことが多

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