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【676番のクルマ】

彼女と別れて何年になるのだろうか。帰ってきてはいけない故郷の懐かしい道で、僕は自転車のペダルを漕いでいた。

暫くすると前方から一台のクルマがやってきたのだが、すれ違う瞬間に身体に電流が走った。

「676番」のそのクルマは、別れた彼女とよくドライブに行った、その彼女のクルマだった。

ドライバーと一瞬目が合ったが、運転していたのは彼女だった。

〈まだあのクルマに乗っていたのか!〉

すれ違った僕の自転車とクルマは次第に離れていったのだが、僕は少し立ち止まり、クルマも止まった気配を感じたのだけれども、ついに振り返ることもなく、その場を立ち去ったのだった。

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