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家族ダンジョン

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一人の神が気紛れで介入したことにより、 家族単位でダンジョンに取り込まれます。 まるでゲームのような世界を家族は助け合いながら攻略します。 地下に潜る程に絆が強まる、その様子を軽… もっと読む
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『家族ダンジョン』第1話 家族の想い

あらすじ  木崎慶太は小学五年生の時の交通事故で植物状態(遷延性意識障害)に陥った。三年…

黒羽カラス
2週間前

『家族ダンジョン』第2話 ダンジョンへの誘い

第2話 ダンジョンへの誘い  キッチンから少し不安定な鼻歌が聞こえてくる。料理の腕を振る…

黒羽カラス
2週間前

『家族ダンジョン』第3話 第二階層 無限の道程

「これがわくわくの冒険なのか?」  直道の一言に、違う、と茜が強く否定した。  冨子は先の…

黒羽カラス
2週間前
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『家族ダンジョン』第4話 第三階層 全員、踊り子

 三人の眼前に古めかしい石柱が林立する。等間隔で並び、碁盤の目のような細い道が形成されて…

黒羽カラス
2週間前
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『家族ダンジョン』第5話 第四階層 デストラップ

 新しい階に着いた。一本道の通路は長く、奥は暗闇に包まれていた。三人は、ほぼ同時に顔を見…

黒羽カラス
2週間前

『家族ダンジョン』第6話 第五階層 チュトリア

 三人は縦一列になって階段の中央をそろりそろりと降りてゆく。  先頭を買って出た直道は脇…

黒羽カラス
2週間前

『家族ダンジョン』第7話 第六階層 ピンクの悪魔

 三人は固まるようにして慎重に階段を降りていく。  新しい階層に着いた。上層階と同じで灰色の石によって形成されていた。入り組んだ作りが視界を奪い、先を見通すことはできなかった。ここに至ってようやく迷宮の雰囲気を醸し出す。 「これからが本番って感じだね」  茜は階段の周囲の通路を順に見ていく。  眉間に不穏な皺を寄せた直道が周囲に警戒の目を向けた。 「どこにピンクの悪魔が潜んでいるのか」 「街の人の情報だと、かなり厄介な相手みたい」  冨子は直道の側にぴったりと寄り添う。  全

『家族ダンジョン』第8話 第七階層 白く煙る先に

「ここは!」  先頭で階段を駆け下りたハムが警戒を強めた。前方の広々とした空間に鼻を向け…

黒羽カラス
2週間前
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『家族ダンジョン』第9話 第八階層 勇気が試される

 新たな階層に着いた瞬間、茜は周囲に向かって声を張り上げた。 「みんな、そこから動かない…

黒羽カラス
2週間前
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『家族ダンジョン』第10話 第九階層 知恵の間

 すっきりとした顔で冨子が階段を降りる。後方からはぐったりした二人と一匹が付き従う。  …

黒羽カラス
2週間前
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『家族ダンジョン』第11話 第十階層 兆し

 頭脳と肉体を酷使したこともあって各々が覚悟を決めた顔で階段を降りた。その反動なのか。行…

黒羽カラス
2週間前
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『家族ダンジョン』第12話 第十一階層 逃げ回る

 新しい階層に踏み込んだ直後、冨子は周囲に鼻を向けて小刻みに吸い込む。 「臭いかなぁ?」 …

黒羽カラス
2週間前
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『家族ダンジョン』第13話 第十二階層 名もなき歓楽街

 階段は極端に短かった。比例して天井も低い。長身の直道は猫背となって歩くことを余儀なくさ…

黒羽カラス
2週間前
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『家族ダンジョン』第14話 第十三階層 十字路の恐怖

 冨子は上機嫌で階段を降りる。 「宿屋は心のオアシスだねー」 「生々しい!」  茜の一言が飛ぶ。 「それだけではなくて、この袋を見よー」  エプロンのポケットから皮袋を掴み出す。丸々と太った中には大量の金貨が収められていた。  茜は横目で見て降参と両手を軽く挙げた。 「びっくりしたよ。あの一枚の金貨のお釣りが、それだからね」 「大金貨か」  後ろに控えていた直道は思い出して言う。 「新しい階層に着いたな。今後も俺様を大いに頼るとよいぞ」 「また銀色のコインが手に入りますように