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【自工程完結編4:スタッフの仕事にも工程はあるのです】

本マガジンの過去の投稿は上記に入れています。

ご存じのようにこれまでトヨタは、トヨタ生産方式を展開し世界で確固たる地位を築いています。その生産方式自体が米国で研究され体系化されリーン生産方式としても有名になっています。

そんなトヨタがさらに仕事の質を改善するため、10年以上にわたって取り組んでいる「自工程完結」について対話形式で解説していきます。自工程完結とは、「良い仕事しかできない(やり直しがない)、良いものしか作れない(作り直しがない)という条件は何かということを徹底的に科学的に実現しようとする」考え方です。

さて、今回は過去のマガジンで心理的安全性を学んだ、製造課長の正輝‍が再登場します。

ある時、課内の工程主任であるの流星(若手)が現場への仕事指示の仕方、仕事の進め方で苦労しているところを目にします。そこから自工程完結の指導を実施し、実際の導入に取り組んでいきます。

・・・・・

👱;おはようございます。

👨‍;おはよう。今日から、事務スタッフへの自工程完結への展開について解説していくが、まずは基本を押さえるところが今日のポイントだ。次回から具体的な展開例を解説していく。

◆スタッフの仕事の中にも工程がしっかりある

👱;でも、事務スタッフに自工程完結ってあまりイメージがわかないですね。名前からしても製造現場って感じがします。

👨‍;それは違うんだ。この考え方は仕事の質を高め、失敗をなくす仕事の進め方だ。すべての仕事に必ずうまくいく仕事の進め方=工程はあるんだ。それをしっかり洗い出しているか、そうでなくぼんやりとした中で仕事をしているかの差で、仕事の質に大きな差が出てくるんだ。

👱;そういわれると、、納得です。でも、スタッフ部門での仕事の工程とはいったい何なのでしょうか。

👨‍;それは、「意思決定」だ。資料作りであれ、企画であれ、営業であれ、何かのアウトプットを出していく途中にはいくつもの意思決定が存在している。それが積み重なって最終的なアウトプットになっている。例えば、資料作りだって、スライドにするのかペーパーにするのかどんなソフトにするか、デザインどうするか。などすべて意思決定が行われている。

👱:なるほど、この意思決定一つ一つが現場でいうところの工程になるわですね。

👨‍;ああ、最終的に正しいアウトプットを出すために何が必要になるか、簡単にだが、スタッフ部門の仕事における「自工程完結」のポイントを紹介していくぞ。

◆スタッフ部門における「自工程完結」のポイント

👱;お願いします。

👨‍:まず一つ目

ポイント①
「目的ゴール」をはっきりさせる

当たり前のことであるが、モチベーションを確保には前提条件として必要だ。目的を理解していないがために、依頼者の意図とは異なった資料を作ってしまうということはざらにある。実際にこの間、カスタマーセンターのリーダーに指摘されていたよな?

👱;はい。単純な納期表だけ作っていました。そこに受注できる限界数量を記載しなかったのですよね。目的は、客先から注文があった際に回答するために納期表だったのに限界の数量が入っていなければ使い物にならない。まさに目的を理解しないで言葉尻だけとらえて作成してしまった資料です。

👨‍;二つ目

ポイント②
「最終的なアウトプットイメージ」を明確に描く

ポイント①と重なるところはあるが、これこそ本当にあるあるだな。目的ゴールを共有出来たら、最終的なアウトプットイメージを書かなければならない。最終的なアウトプットイメージの共有をするときのやり方は大きく4つある。

・口頭
・文字
・図表・写真
・実物

👱;はい。口頭でいうだけ、文字で一方的に伝えるだけということでよく齟齬が起こっていますよね。特に口頭は本当に危険だと思います。

👨‍;そもそも、依頼者側アウトプット自体が鮮明でない場合もあるかもしれないが、これはできる限り避けないといけない。図や写真。具体的なフォーム等を使ってイメージを共有することが重要だ。

👱:はい。わかりました。

👨‍:では次に3つ目だ

ポイント③
「プロセス/手順」をしっかり考え書き出す

さっきも言った通り仕事は意思決定の連鎖だ。いつどんな情報を使ってどのように意思決定するかはまさに「プロセスと手順」によって構成されている」。だけども、君もそうだと思うが、この「プロセスと手順」に対しての意識というのは低いんじゃないだろうか。

👱:事務作業で、プロセス/手順は考えたことがなかったです・・。

👨‍;プロセス/手順は大きく分けて5つの作業で作り上げていくんだ。

1,大まかにやることを洗い出す
2,関係者を明確にする
3,仕事の流れ矢印で整理する
4,納期から逆算して時系列で整理する
5,上記を実施した上で細かい作業に分解していく


このように分解していけば自分が何をすればいいかわかってくるはずだ。妙に忙しいとか時間がないという場合は、このプロセス/手順が正しくない、もしくは抜けているということが起こっているんだ。プロセス/手順をしっかり洗い出しておけばいつでも自信もって仕事をすることができる。現場の自工程完結と同じだ。

👱:なるほど。わかりました。

👨‍:では4つ目だ。

ポイント④
次のプロセス/手順に進んで良いかを判断する基準を決める

仕事のアウトプットが正しいものになるかどうか大きく左右するものは、「プロセス/手順」が正しいことと、そして、一つ一つが確実に実行されているかで決まる。

👱;なるほど。だから、次のプロセスに進んでいいかの判断基準を決めることが必要なのですね。

👨‍;ああ、その通り、判断基準は腹を決めて決断しておく必要がある。ここでぶれてはならない。

👱;はい。

👨‍:5つ目だ。

ポイント⑤
正しい結果を導き出すために「必要なもの」を抜け漏れなく出す

工場では、正しい結果を導き出すために必要なものを良品条件と言っているが、スタッフ部門でも正しい結果を導き出すために、情報機器、人の能力、情報など仕事を成し遂げるために何が必要なのかを抜け漏れなく出しておく必要がある。

👱;確かに、ある仕事を進めるためにいったい何が必要なのかを明確にしておくことは大事ですね

👨‍;最後6番目だ

ポイント⑥
仕事を振り返り,得られた知見を伝承する

フィードバックだな。結果だけでなく、「目的・ゴール」「最終的なアウトプットイメージ」がどうだったのか、「プロセス/手順」や「判断基準」「必要なもの」に関して十分だったのかを確認する。もし至らないところがあったらその改善策を書き残しておく。あくまでも今までの5つのポイントが揃っていたかという点が重要になってくる。

👱;なるほど、ポイント①~⑤はすなわち、ひとつ一つの仕事の工程をしっかりと洗い出し、その精度を上げて「完結」させていくためのポイントなのですね、正しい仕事、意思決定を積み重ねることで正しい結果がでる、そのための取り組みというわけですね。そして、そこでも振り返りを行い改善をしていくと。トヨタすごいな。これを実際に適応するなんて。。

◆スタッフ部門における自工程完結のメリット

👨‍;その通り、そうすると下記のようなメリットが生まれると著者の佐々木さんは言っている。

メリット1;部分最適がなくなる。
メリット2;上司の進捗確認ができるタイミングが作れる
メリット3;上下左右のコミュニケーションが深まる
メリット4;各部署固有の強みを最大限に生かせる
メリット5;部門内の情報共有が進む
メリット6;会議が減る
メリット7;理不尽なところが見える
メリット8;失敗が減り妥協がなくなる
メリット9;生産性が上がる
メリット10;モチベーションが上がる

結局すべてが見えるようになってくると、コミュニケーションも円滑になるし、不要な二度手間が減ってくる。その結果、失敗も減りモチベーションが維持できるようになってくるというサイクルが生まれるんだ。

👱;なるほど。でも、これを実際の仕事に落とし込んでいくって相当な初期摩擦があるというか、、導入は難しいですよね。。。

👨‍;もちろん。次回、上記をトヨタが2007年から具体的にどのようにスタッフ部門に展開していったかを解説しよう。

・・・・・・・・・

今回は、スタッフ部門における自工程完結のポイントとそのメリットについて簡単に解説しました。まあ、そりゃそうだ。というところですよね。でも、なかなかスタッフ業務に上記のポイントを適応させていくという部分がイメージできないですよね。次回は、完璧には難しいかもしれませんがトヨタの例を使って導入事例を解説したいと思います。

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