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六本木WAVE 昭和バブル期⑰

猫を預かった話  震え続ける身体
 
黒いエナメルスーツは典型的なボンデージスーツであり、レイの均整の取れた身体を見事なまでに包み込んでいた
しかもオープンバストになっていて 形の良いバストは重力に反してむき出しのまま起立していた
 
そして、いつの間にか先ほどのいたずらで使った備品の透明マスクではない、正真正銘のハーフフェイス型ベネチアンマスク やはり色は黒の彫金を施したものをつけていた そして手には皮の鞭 

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(えっ! フロントでは借りていないからそれって自前!? マイ鞭!?)
 
完璧なSの女王様の姿で立っている

もちろん姿かたちだけではないのはすぐに分かった 本物である
 
「フフフフ・・」
 
と口から洩れた低い笑い声はいつものレイの声とは明らかに違っていた
やはりディレイのかかった人工音声のように聴こえた
でもそんなはずはない
特に何かマイクとか仕掛け(マジック)をするような状況ではない

レイは笑いながら私を見下ろしていた
マスクの中の目が異様に輝いていた
美しかった…
 
ふと… 一瞬レイの姿に見惚れていた私は
今自分がどのような状況にあるかあらためて気が付いた

(そもそも気づくのが遅すぎるだろ/何やっているんだ俺/両手を拘束され 下半身はすっぽんぽん/そもそも鞭は嫌だ/痛いのは絶対に嫌だ/針を刺されるのも冗談ではない/まさか切り刻まれないだろうな/羞恥責めであっても痛いのは嫌だ/足をバタバタして暴れて抵抗するか…/でも手が固定されているから何もできないな)
 
そんな情けない私の気持ちを見抜いたかのように
耳元に口を近づけてレイは囁いた
 
「・・・・どうして欲しいんだい?」
 「ほらぁ 言ってごらんよ」
 
そう言って私の下腹部に手を伸ばし執拗にいたぶる

「おやおや ずいぶん元気じゃないか(笑)」
 「ということは 本当はこういうのが好きなんだろぅ?」
 
私は赤子のように思い切り頭(かぶり)を振って嫌々をした

鞭の柄で私の身体全体をゆっくりと撫でまわし
フェイントで時折振り下ろす振りだけしてみせた
 
レイの言葉責めはさらに続いた
 
「おっぱいがすいたいのかい? そうだろう… 正直に言ってごらんよ」
「もの欲しそうな眼をしやがって…」
 
「吸いたいです!」
泣きそうな声で応える私(恐怖で少し涙が出ていた)
 
この間のレイのセリフは文字にすると芝居がかってはいるが
堂に入ったもので実際の声の響きに全く違和感はなく 
私は本当に全身に戦慄が走った

鞭の柄での愛撫はしつこく続いている
情けないが私の身体が小刻みに震えていた

正直言うと
何かへの期待? 生まれて初めて感じた快よい感覚があった
(うそだ! 俺はSであってM嗜好はない 絶対ない!)
認めたくはない そう心の中で叫んでいた
 
すると レイは鞭を置いた
と同時にレイの手が私の顔に伸びてきて、ピッタリとした黒い布のアイマスクを器用に被せ始めた

(えっ!!!!? )


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