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代用プリンセス 5「私は代用 2」完 (連載小説)


悠斗は愛美の裸を、愛しい恋人を見るような目つきで舐めるようにして眺める。

いくら抵抗しても、は強引に愛美の腕を掴み、愛美をベッドに押し倒した。
風呂上がりで既に火照って、露わになっている愛美の未発達な体の至る箇所にキスをしながら悠斗は、マナ。と何度も昔の恋人で、今は不倫相手の女の名前を囁いた。
綺麗だよ、あの頃のまんまだ。荒げる息遣いの合間にそう呟きながら、愛美の長く艶やかな黒髪を撫で続ける。

愛美にはもう抵抗する気力が失われていて、されるがままに身代わりとして抱かれていた。
無抵抗なままに、必死で感情を殺しながら、愛美は考えていた。

私が白雪姫なら早く眠りたい。
起きた時には、王子様がそこにはいるのだから。

私がシンデレラなら舞踏会はいつ開かれるの。
ガラスの靴を落とさなきゃ、王子様も探しに来ないじゃない。

しかし裕実は、愛美のことを憎んでなどいなかった。
我が娘自身を可愛く思い、愛していたのだった。だから愛美は、自分は白雪姫などではなく、自分の母をお妃様だなんて思わない。

裕実の気持ちを知った愛美は、裕実の気を引く目的だった優等生でいることをやめた。
成績は平均あたりにまで落ち込んだが、中学に上がる頃には、学校でもキョウカたちからの嫌がらせはなくなっていた。

灰をかぶっていた制服も汚れることはなくなり、フェアリーゴッドマザーを待つ必要もなく、そもそもがシンデレラでないことを納得していた。

それならば、王子様が現れないことは愛美にとって、なんら不思議なことではない。


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