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(47)カルチャーを経営のど真ん中に据える

【良い組織風土、悪い組織風土】


風土は自然によって規定され、そこに住む人たちの有り様を規定する。
厳しい風土もあれば比較的穏やからな風土もある。
だがそこには良い悪いの区別はない。あるがままの風土を受け入れ、適応していくしかない。
しかし
自然によってではなく、無意識的、無自覚的ではあるものの人工的に形成される組織風土には経営的に見れば良い、悪いが存在する、良い組織風土には次のような特徴がある。
ー風通しがよい、前向き、主体的、挑戦的、楽観的、協力的、開放的ー


健全な組織風土のつくり方を事例から学ぶ
「言える化」を大事にし、躍進する赤城乳業

工夫①言える化を実践する場の設営
面白いアイデアを持ちやる気のある若手社員には思い切って仕事をまかせ自由にやらせている。
言い出しっぺが得をすることを見せることで、他の若手社員にも刺激を与えている。

工夫②言える化を加速する仕組みの構築
なんでも言えと言っておきながら言ったことがマイナスの評価につながるのでは社員は何も言わない。
言ったものがプラスに評価される制度や若手社員の活躍を社内で積極的に共有するなど言える化をドライブする仕組みが不可欠である。
こうした仕組みに加えて大事なのは役員や管理職層が聴ける化を実践することである。
言える化は相手の意見に耳を傾ける聴ける化があってこそ成立する。
井上会長は相手が誰であっても、途中で相手の言葉を遮ることをしない。そうした経営者の姿勢こそが良質な組織風土を醸成する。

ー健全な組織風土は与えられるものではなく、全員で力を合わせてつくりあげるものである。ー

【組織文化とは「心理的エンジン」である】

組織風土とは「組織の状況、環境、そしてそれに影響を受けた人々のあり様」のことである。
では組織文化とは一体何か?
どちらも目には見えないものであるが、組織風土がより普遍的、一般的なものであるのに対し、組織文化は個別的、独自的である。
エドガーHシャインは「組織文化」を次のように定義。
集団として獲得された価値観、信念、仮定であり、組織が繁栄を続けるにつれてそれらが共有されて当然視されるようになったもの。
わかりやすく表現すると組織文化とは「組織内で働く人たちが当然のように信じている価値観、信念」のことである。

・組織風土という心理的基盤=活気に満ち溢れている
・組織文化という心理的エンジン=独自の価値観が浸透している

組織文化とは「らしさ」の表現である。
らしさとは個性である。らしさとは独自性である。らしさとはこだわりである。そしてらしさとはDNAである。

だからこそ、らしさにつながる組織文化はきわめて重要な経営テーマであり、競争力に直結する。

理解には言葉で十分だが共感にはエピソードが不可欠である。

【組織文化という目に見えない資産の価値】

①組織文化とは深さである。
②組織文化とは成功体験である。
③組織文化とはアイデンティティである。

組織文化とは社員の帰属意識を高め、仲間意識を醸成し組織に対する忠誠心を生み出す。自分が属する会社のことが好きになり、自己肯定感を高めることにつながる。

【組織風土と組織、文化の違いは、5点に集約できる】

①組織風土は会社を問わず共通性、普遍性が高い。それに対し、組織文化は、会社ごとの個別性、独自性が高い。
②組織風土は、環境や状況から生まれる。それに対し、組織文化は成功体験とその背景にある信念や価値観から生まれる。
③組織風土は、自然発生的、無意識的である。それに対し、組織文化は自覚的、意識的である。
④組織風土には(良い・悪い)がある。それに対し、組織文化には(強い・弱い)がある。
⑤組織風土は会社の土台(心理的基盤)である。それに対し、組織文化は、会社の競争優位(心理的エンジン)に直結する。

【気の創出、信の創出、優の創出】

①健全な組織風土の醸成→気の創出
組織が成長発展するには気が不可欠である。やる気、活気、熱気、根気。ポジティブな挑戦的な気は健全な組織風土から生まれてくる。

②独自の組織文化の形成→信の創出
愚直な行動を引き出すためには信が必要である。信念、自信、確信。「自分たちはこうやって成功してきた。だから、これからもうまくいく。」という信を共有することによって、一人ひとりの行動に魂が宿る。

③卓越した組織能力の構築→優の創出
粘り強い愚直な行動の継続は、卓越した組織能力へと昇華する。それが競争優位を生み出し、優良な成果につながる。

【カルチャー変革を成功させるために必要な4つの条件】

条件①経営トップの覚悟とコミットメント
条件②草の根運動の粘り強い展開。
条件③見えるかによる意識変革と行動変容
条件④仕組み化による変革の加速

【LOFTなカルチャーを生み出すための9つのポイント】

LOFTとは
①Light
身軽で気軽、軽快かつ軽妙で、フットワークの良い組織
②Open
開放的で、風通しが良く、壁のない組織
③Flat
対等で上下を感じさせない仲間、意識の高い組織
④Tolerant
異質を受け入れる耐性があり、重要性の高い組織


ポイント1
思い切って身軽になる
ポイント2
何でも自分たちでやってみる。
ポイント3
物理的、心理的な壁を取り除く。
ポイント4
ポジティブコミュニケーションに徹底する
ポイント5
任せる、託す、やらせてみる
ポイント6
感動報酬で報いる
ポイント7
コーチングをカルチャーにまで高める
ポイント8
みんなで教え合い、学びあう
ポイント9
多様性、違いを受け入れ、活かす


【真に競争力とあるカルチャーへと昇華させる】

9つのポイントは健全な組織、風土醸成し、土を整地化し会社の心理的基盤を整えるために必要不可欠なものである。しかし、真に競争力のあるカルチャーへと昇華させるためには、それぞれの会社の独自の価値観や信念を「ウェイ」として組織内に浸透させ、心理的エンジンを構築する必要がある。
だが多くの会社は「ウェイマネジメント」に失敗し、独自の価値観を形成することができていない。
その最大の理由は、単なる言葉遊びに終始し、ありきたりな言葉だけが並ぶ小冊子をまとめ上げる程度の表層的な取り組みで終わってしまっていることである。価値観や信念を言語化する事は必要だが、それを社員たちにいくら説いたところで心には響かず、実践には結びつかない

【独自の価値観を浸透させるための2つのコツ】

コツ①シンプルでデフォルメされた「らしさ」を抽出する
コツ②リアルストーリーを伝え、鼓舞する



【現場では慣性の法則が働いている】
たとえ小さいことでも、何かを変えたり新しいことに取り組んだりすることを嫌がる傾向が強い。
現場は改善に対して及び腰であり、前向きではない。
つまり、よりよくするというケイパビリティを組織として獲得するにはとてつもない努力、忍耐、覚悟が不可欠なのである。


経営とは「主観」である。
全ての会社は「個の思い」からスタートする。


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