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詩、小説

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詩や小説、俳句など創作物です。
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記事一覧

短歌集

公募などに出した短歌集をまとめています。

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チョコレートの季節

「はい、これ。バレンタインデーでしょう?」
君がくれるなんて、驚いた。

モロゾフか、昔のあの人を思い出す。胸の水位を保っていた栓が抜けて、水が溢れ出して、ああ、止まらない、止まらない。

モロゾフの箱を2つ開けて、「みんなで食べて」。

ずっと、憧れていて、この手に触れそうで、触れなくて。

君のなかに、あの人を思い出す。義理チョコ、いい文化じゃないか。1ヶ月、お返しを考えるのが楽しみだ。

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パドヴァの友を思う

君は8時間前の世界にいる。この言い回しが正しいのかは僕にはわからないけれど。もしかすると僕が8時間後の世界にいるのかもしれない。

僕の朝に、君はいない。
君の夜に、僕はいない。

あと一月で君は未来へと向かう。8時間後の世界に。12時間に乗って。

向こうは寒いのだろうか。最近の東京は、君が知らないくらい寒い。

遥かなるパドヴァを思う。
君はパドヴァの風を運ぶ。
#詩 #散文詩 #パドヴァ

人生の岐路に立つ者へ

コーヒーを飲む冬の永遠
想いここにあらずして

想いを馳せるはセンター試験
過ぎる時間は同じくして

積み重ねしは同じからず
ああ、春よ来い

冬は長く未だ春は来ず
ああ、雲雀よ来い

運命は我が手の中に
この一筆に全てを託さん

この日々は時の中に
運はあなたを離さん

報われるかな
祈りぬるかな

バラ色の日曜日

私はもう書かない。いや、もう書くことができない。ピアフの『バラ色の人生』をよく聴いていた、あの頃の記憶。
挽きたてのコーヒーの香りがして、僕の目は覚める。彼女はコーヒーを淹れる。その暖色の風景に僕はキスを一つする。
あれはピンクのバラなのか、それとも赤のバラか。
今は白のバラ。白いバラは手入れが大変らしいが、僕にとっては暖色のバラの方が手がかかった。
手が動くのはいつもここまでで、これ以上

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