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僕の好きな詩について 現代詩 日本編

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僕の好きな詩について、言いたいことを言うnoteです。日本人の近現代詩に絞ってます。画像はネットから。問題があったらすぐ消しますので教えてください。
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記事一覧

僕の好きな詩について。第48回 岡崎体育

僕の好きな詩について。第48回 岡崎体育

こんにちは。僕の好きな詩について好き放題言うnote第48回は、岡崎体育さんです。

え?岡崎氏、詩を書くの?と思われましたか。そうです。書きません。ただ、曲によっては歌詞があまりに現代詩なので、今回この企画の俎上に乗りました。まずは、詩をどうぞ。それから、詩の後にyoutubeのURLも貼っておきますので、良かったら曲も聴いてみてくださいませ。

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花に香りは

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僕の好きな詩について。第47回 渋沢孝輔

僕の好きな詩について。第47回 渋沢孝輔

お久し振りです。僕の好きな詩について好き放題言うnote、ひっさしぶりの第47回は、明治大学の教授だった詩人かつ仏文学者、渋沢孝輔氏です。カッコいいです。

ではまず詩をどうぞ。

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水晶狂い

ついに水晶狂いだ

死と愛とをともにつらぬいて

どんな透明な狂気が

来たりつつある水晶を生きようとしているのか

痛いきらめき

ひとつの叫びがいま滑りおち無に入

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僕の好きな詩について。第四十六回 立原道造

僕の好きな詩について。第四十六回 立原道造

僕の好きな詩や詩人について好き放題言うnote、第四十六回は、立原道造です。夭逝した詩人であり建築家でもあった彼の清新な言葉に耳を傾けてみてください。

ではどうぞ。

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のちのおもひに

夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を

うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つ

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僕の好きな詩について。第四十五回 瀧口修造

僕の好きな詩について。第四十五回 瀧口修造

僕の好きな詩について好き勝手言うnote、第四十五回は瀧口修造です。

彼は前回の西脇順三郎氏を中心としたアンソロジー「馥郁タル火夫ヨ」に列席しており、よく一緒に散歩していた仲とか。西脇氏と同じく詩人で画家のシュルレアリスムの旗手で、一生を美に捧げた人物です。

では、詩をどうぞ。

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妖精の距離

うつくしい歯は樹がくれに歌った
形のいい耳は雲間にあ

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僕の好きな詩について。第四十四回 西脇順三郎

僕の好きな詩について。第四十四回 西脇順三郎

僕の好きな詩について好き放題言うnote、第四十四回目は、シュルレアリスムの巨人、西脇順三郎です。

1000行を超える詩もありますが、短めで有名なものを幾つか。

ではどうぞ。

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天気

(覆された宝石)のような朝
何人か戸口にて誰かとささやく
それは神の生誕の日

太陽

カルモヂインの田舎は大理石の産地で
其処で私は夏をすごしたことがあった

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僕の好きな詩について。第四十三回 萩原朔太郎

僕の好きな詩について。第四十三回 萩原朔太郎

こんにちは。ちょっと前に人気漫画の続編?「月に吠えたンねえ」も始まって、注目度大の朔太郎さん。

短い詩が多いので、僕の好きなものをいくつか。

では、どうぞ。
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地面の底の病気の顔

 
地面の底に顔があらはれ、
さみしい病人の顔があらはれ。

地面の底のくらやみに、
うらうら草の茎が萌えそめ、
鼠の巣が萌えそめ、
巣にこんがらがってゐる、
かずしれぬ

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僕の好きな詩について。第四十二回 鈴木ユリイカ

僕の好きな詩について。第四十二回 鈴木ユリイカ

お久しぶりのこのコーナー。第42回目はH氏賞詩人で翻訳家の鈴木ユリイカさんです。

今回ご紹介する作品は現在の僕の理想とする詩で、このような詩が書けたら良いな、と思いながら日々勉強しております。

では、どうぞ。
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「海のヴァイオリンがきこえる」
鈴木ユリイカ

海のヴァイオリンがきこえる
遠く遠くの方から水晶の肩をふるわせ
浜辺に鏡のような

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僕の好きな詩について 第四十一回 吉原幸子

僕の好きな詩について 第四十一回 吉原幸子

こんばんは。お寒いですね。風邪など召さないよう。。

僕の好きな詩について書くnote、第四十一回は「吉原幸子」さんです。

ではどうぞ。
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「驟雨」吉原幸子

それでも 愛してさえゐればいいのに
ふるさともない かみさまもない あたしたち
なぜ 立ちつくしてはいけないの
こんな黄いろい暗がりのまへに
けもののやうに
ここにゐるひとと 身をふれあって
つつましく

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僕の好きな詩について 第四十回 粕谷栄市

僕の好きな詩について 第四十回 粕谷栄市

こんばんは。僕の好きな詩について、第四十回は、散文詩の名手、粕谷栄市氏です。

ではどうぞ!
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「世界の構造」粕谷栄市

私は、「世界の構造」と言う書物を愛読している。もうずっと以前、田舎町の古物屋で、柄のとれた火桶と一緒に買わされたものだ。
ぼろぼろの表紙の分厚い本で、作者も、出版された所も判らない。ただその活字の形から、大体百年位昔のものと推定できるだけ

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僕の好きな詩について 第三十九回 石原吉郎

僕の好きな詩について 第三十九回 石原吉郎

おはようございます。僕の好きな詩についてお話しするnote、第三十九回は石原 吉郎氏でございます。

まずは詩をどうぞ。
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「伝説」石原吉郎

きみは花のような霧が

容赦なくかさなりおちて

ついに一枚の重量となるところから

あるき出すことができる

きみは数知れぬ麦が

いっせいにしごかれて

やがてひとすじの声となるところから

あるき出すことができる

きみ

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僕の好きな詩について 第三十八回 白石かずこ

僕の好きな詩について 第三十八回 白石かずこ

僕の好きな詩を紹介するノート、第三十八回は白石かずこさんです。

第三十一回で登場した北園克衛氏https://note.mu/hally10031003/n/nfe8d2899877d
が開催していたVOWのグループの一員で、流石の奔放さです。

では詩をどうぞ。
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「虎」白石かずこ

すると
虎は 彼でもなかった
私の 胸の部分の昨日から今日へと
山脈がよこたわり

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僕の好きな詩について 第三十七回 清水昶

ご無沙汰してます!忙しく中々更新できないでいた僕の好きな詩についてお話しするnote、第三十七回は清水 昶(しみずあきら)氏です。

まずは詩をどうぞ。
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「少年」清水昶

いのちを吸う泥田の深みから腰をあげ
鬚にまつわる陽射しをぬぐい
影の顔でふりむいた若い父
風土病から手をのばしまだ青いトマトを食べながら
声をたてずに笑っていた若い母
そのころからわたしは

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僕の好きな詩について第三十六回 田村隆一

僕の好きな詩について第三十六回 田村隆一

こんにちは!僕の好きな詩について語るnote第三十六回は田村 隆一氏です。
偉大なる詩人、だけではなくエラリー・クイーンやアガサ・クリスティの翻訳もされた方です。

ではどうぞ。
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「見えない木」 田村隆一

雪のうえに足跡があった
足跡を見て はじめてぼくは
小動物の 小鳥の 森のけものたちの
支配する世界を見た
たとえば一匹のりすである
その足跡は老いたにれの木

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僕の好きな詩について 第三十五回 町田康

僕の好きな詩について 第三十五回 町田康

おはようございます。あれ、今年がもうあと二ヶ月間も無いのでは、、?ふおぉ。(言葉にならない)

さて、第三十五回、今回の詩は町田 康氏です。サイケな世界観です。ではどうぞ。
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「俺は走る」町田康

俺は臭い森を抜け家郷に走る
俺は臭い森を走る
痰と唾で輝く大地
その大地を走る俺
まるで黒粒のようだろう

秩序がひかり輝く家郷
左右の両巨頭が手を結び
邪悪と悪徳が輪

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