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【#07群馬県3/15】支援体制のコミットが強い群馬県!RAITO 2022

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xG(クロスジー)メディアは自治体とスタートアップの共創に関する有益な情報をお届けするメディアです。
コンテンツ第一弾として、全国の自治体施策の報告会をnoteにまとめていきます。
『自治体施策を活用してみたいけれどよくわからない』と思っているスタートアップの方々の参考になれば幸いです。

読んで欲しい方

・自治体施策を活用したいけど概要がわからない
・実証実験のメリットを知りたい
・どのような成果があるのか知りたい


RAITO 2022(ぐんまスタートアップアクセラレーションプログラム)とは

今日、With コロナ(After コロナ)、ICT、AI、5Gなどの社会環境の変化や技術革新によって、あらゆる産業分野が大きな転換期を迎えています。
継続的な経済発展のためには、絶え間ないイノベーション創発が必要不可欠であり、イノベーション創出の中心、次代の本県経済の担い手になり得るスタートアップ・起業家を支援するべく、
2021年、「ぐんまスタートアップアクセラレーションプログラ(RAITO)」が誕生しました。

テーマ
・デジタル関連領域
#DX #交通 #物流 #Web3 #メタバース #教育 #始動人 #EdTech #Agri Tech #AI #IoT #XaaS

・観光・エンターテインメント関連領域
#スポーツ #eスポーツ #温泉 #リトリート #アウトドア #Travel Tech #アート #文化 #伝統工芸

・環境・防災関連領域
#グリーンイノベーション #災害レジリエンス #防災 #防災食 #クリーンテック #サーキュラーエコノミー #カーボンニュートラル

・ヘルステック関連領域
#遠隔医療 #在宅医療 #未病 #予防 #健康長寿社会 #介護 #働き方改革 #メンタルヘルスケア #QOL #フェムテック #ウェアラブルデバイス

支援内容
・メンタリング
専属メンターによる定期メンタリングで進捗状況の確認や課題の整理などを行い、採択者の個別課題に応じて専門家などの外部メンターによる個別メンタリングを行います。

・レクチャー
シード~アーリー期のスタートアップが見落としがちな3つの論点を実践的レクチャーで習得。ビジネスモデルや資本政策、ピッチトレーニングなど、を受講いただけます。

・成果発表会(デモデイ)
プログラムの集大成として、群馬県庁32階の官民共創スペース「NETSUGEN」にて、本プログラム支援期間中の成果を発表していただきます。県内外の支援機関、金融機関を集めた場で発表することで、更なる事業発展・支援獲得が期待できます。

・ネットワーク構築
本プログラム参加者の他、過去の採択者や他プログラムの採択者など、スタートアップとのネットワークを構築することができます。


採択企業全5社の実施報告レポート


CORSHY株式会社

心電図遠隔診断サービスを展開。
医療機関からの心電図共有を経て専門医がフルリモートし診断を実施。
心電図年間支援30万件、提携医療機関100機関以上。


実証実験参加の理由

・群馬県の医師不足(全国32位)
・都市部と郊外部の医師数の差
・多忙な医師の業務アクティブな状況でのリフレッシュ環境不足×群馬県内の観光客の呼び込みニーズの顕在化

●実施した実証実験概要
・大元のアイデア:医師専用のコワーキングスペースを群馬県で展開
・セカンドアイデア:サードプレイス医師の働きを支援、リフレッシュの場
サードアイデア:ドクターパス 群馬観光地でのワーケーションプランを医師向けに提供

・医師のメリット:激務の合間にお得に県内の観光地でリフレッシュ
・観光地のメリット:有料ファン層の開拓・医療ニーズの補填
・地域・医療機関のメリット:地域で働くメリットの提示・観光資源を医師の福利厚生に転化

●実証実験の成果
・医師側:下調べの省略でき仕事は自宅以上にはかどった、一方日帰りの移動の場合は交通コストが高い
・マネタイズが引き続き課題

●今後のアクション
・群馬県内の登録医師1000人を目標(群馬県内の医師総数5000人)
・観光地以外の厚生サービスの模索
・他県への横展開


特定非営利活動法人sonrisa


高齢者見守りコーディネート「Tayory」「ふれあいの場づくり地域サロン次号」「地域・企業向け研修・協働事業」の実施。


●実証実験参加の理由

独居高齢者の孤立問題をNPO単独だけでなく事業会社との提携を踏まえた事業モデルの構築。

●実施した実証実験概要
・プログラム運営事務局を通じたパートナー企業の開拓
・協業メニューの作成

●実証実験の成果
協業案の策定まで終了、来年度以降に実現予定。

●今後のアクション
sonrisaがハブになって複数の企業との横連携でより包括的なサービスが狙いたい。


株式会社TOWING


農業廃棄物からバイオ炭を生成し微生物と有機肥料を混合させた「高機能バイオ炭」の開発ならびに同技術を活用した人工土壌を提供。通常5年かかる農耕土壌の作成を1カ月に短縮。

●実証実験参加の理由
バイオ炭の作成から販売までを地域内で完結させることを目指し、人工土壌の効果検証や価格受容性の検証。
事業パートナーへのアプローチ。

●実施した実証実験概要
・ネギ・小松菜、ナスなどの農作物に対して栽培試験を実施
・鶏ふんを用いたバイオ炭化の実証実権

●実証実験の成果
引き続き県内でのバイオ炭の生成、栽培検証、サプライチェーンの構築をすすめる。

●今後のアクション
(同上)

●質疑応答
Q.鶏ふん以外の畜産物についても技術適応できるのか。
A.牛・豚などについても適用可能。
Q.デメリットはあるか。
A.デメリットも大きなものはない。コストについても一般的な肥料などと変わらない売価での販売。


hello株式会社


「Calming」というヘルスケア管理アプリを開発。
メンタルコンディションを6段階で従業員が記入し、管理者や専門家と共有
メンタルダウンに陥る前に専門家などのアドバイスを通じて離職・休職やモチベーション低下を予防。

●実証実験参加の理由
サービスのトライアル先確保と実証(有効性の確認・FB・専門家とのネットワーキング)

●実施した実証実験概要
サービスのトライアル導入

●実証実験の成果
1社トライアル実施
4社トライアル内諾

トライアル先では概ね好評で導入に関する評価を得られた

●今後のアクション
トライアルでのFBをもとにサービス強化と正式リリース・法人化予定

●質疑応答
Qメンタル不調が分かった場合の当事者へのサポート策について知りたい
メンタル不調になった場合、管理者ならびに本人が相談できる専門家サービスを準備予定

Q競合サービスに対する優位性は
フォローまでの導線がないサービスが多く、その点が差別化ポイント


FLY株式会社

Campify:手ぶらキャンプ予約サービスの展開(3年で4000名以上が利用)
アウトドアコンテンツを法人へ提供。
おしゃれなキャンプ用品を一式格安レンタル、設営・片付け不要、初心者向けの最適なキャンプ場を予約可能、LINEでキャンプ前後の不安を1対1でサポート。

●実証実験参加の理由
・提携キャンプ場増加
・遊休地を活用したい異業界キャンプ実証
・未着手職領域である食事のセット提供に挑戦

●実施した実証実験概要
・群馬県内のキャンプ場へのアプローチ
・遊休地キャンプと食事セット提供のトライアル実施

●実証実験の成果
・提携キャンプ場の増加
・地元食材提供元の確保
・遊休地キャンプ実施

ホテルの遊休地を利用し食事提供を行うトライアルでは、ホテルに付随する温泉の利用とトイレがあることの満足度が非常に高く、提供食事の満足度が非常に高かった。

●今後のアクション
引き続き取り組んだ実証実験の内容を進めていく。

●質疑応答
Q.利用者の料金体系は?
A.大人1名16980円、子供1名は半額

Q.サブスクモデルは想定されているか?
A.現状想定していない。現在初心者向けサービスになっているので、卒業してしまうユーザーがいる。こういった層に対して道具を貸出ながらキャンプをする、という導線を開拓していきたい。

Q.遊休地の条件は?
A.1サイト50㎡あると理想だが、細かく設定していない。東京千駄ヶ谷の屋上のスペースでも実施実績もある。

Q.ユーザーからの異業界キャンプ地候補のリクエスト機能はあるのか?
A.現状は実装していない。ただ、城や寺などのスペース貸出実績なども見ていて、いちキャンプ好きとしてそういった場所でキャンプをするのは楽しそうだなと思っている。


xGメディア事務局まとめ


全体を通じて、アクセラレータプログラムの支援機関(地場企業・金融機関など)との具体的な共創案が多く生まれていた点が非常に素晴らしいと思った。
審査段階である程度の共創案に関する実現性も加味されての採択決定というプロセスを踏まえているのかもしれないが、延べ100回を超える個別打ち合わせの実施ということもあり、運営体制として参加企業に対するサポート力を非常に強く感じた。

プログラム参加にあたって運営事務局のサポート力や支援機関の熱量・コミット度については、なかなか事前に申込側に伝わりづらい点も多いので、なんとかその魅力点が可視化されているとより魅力的なプログラムとして伝わるのではないか。

実証実験内の報告後は、各社に対して共創先・伴走先の方からのコメントが相次いだが、両者の強い結びつきを感じられる様子が伺え、全体的に良いパートナーシップを構築されていることが想像できた。

一方で、10月募集締切~3月報告というスケジュール感であると実証期間としては短くなってしまうこと、また実証期間が冬季になってしまうこと、については少しもったいない気がした。
参加企業の取り組みを見ていると、実証の取り組みが年度を超えてスタートするケースなども散見されているので、実証までの速度を重視するのであればリードタイムを短くなるなどすると、より本プログラムのステークホルダーたちにとってもメリットが大きくなるのではないか。
また他の自治体の施策においても実証期間が秋~冬となり、報告会が年度末3月という点を鑑みると、プロダクトやサービスにおいて季節性の関与度が高い企業については事前に認識のうえで申込を検討する必要がある。



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