オトナのための文章教室④

「オトナのための文章教室」、第4回(まだ4回しかやってない?)は、7人参加で、途中からシークレット・ゲストあり(某写真家です)。

今回は「味覚と嗅覚をとぎすませ!」で、多くは「食べる」ことにことばを費やしていましたが、中には、そうではない原稿もありました。

「書こうとしたら難しい、何をどう書けばいいか…」という方も少なくありませんでしたが、読ませてもらうと、皆、どちらかと言うと、いつもよりペンが走っている(?)様子を私は感じました。「食」にかんしては、誰でもそれなりに何か(その人にとっての)大きな体験を持っている、ということかもしれません。

それから、「難しい」という思いをするのも、「書く」には大切なことのような気がします(私は)。書きやすいこと、言いやすいこと、ばかりに逃げていて、楽しい? という気がしますから。

夜、屋外での調理と食事(いわゆる「アウトドア・グルメ」)を(本人に聞いてみたら)「想像で書いた」という文章。TVでオリンピックのフィギュア・スケートを見ながら焼いたステーキの模様を思い切った比喩で書いた文章。子供時代に聞いた母による「まな板の音」を回想する文章。子供の頃嫌いだった花屋の匂いから始まり、雑貨店の匂いに発する異国への想像力、いまはなきトルコ料理店の思い出。生魚と香水の匂いをからめたSFショート・ショート。それから、「味覚と嗅覚」から即興的に(?)思いついたことばを連ねたことばの破片のようなもの。案内人の私からは「こんなふうに書いてみて」などということを何も伝えていないのに(伝えていないから?)、もうすでに、各々の持っているものが色濃く出てきています。

私は今回は、「体臭」にかんする自他の思い出話からはじめ、「匂い」と「存在」についての簡単な考察、そして、道草の家(自宅)の周辺に湧き出してきている「春」の匂いや食を断片的に書きました。書いてみて、自分は意外と「味覚」より「嗅覚」のほうに敏感なのではないか? という気づきがありました。しかし、「匂い」について、あまり豊富なことばを持っていないような気もしました。何を言うにしても、「〜の匂い」なんて言ってしまう。「香」なら、「香道」というのがあるし、いろんなことばがあるかもしれない。しかしより自分の身近にあるのは、「香」より「匂」のような気もする。ウンヌンカンヌン。

最後に、岸本佐知子「グルメ・エッセイ」と、川上弘美「生肉のこと」というふたつのエッセイについて少し触れて、レーモン・クノー『文体練習』の中にある「味覚」「嗅覚」についても少し触れました。

それで次回は、どうする? というので、アイデアは幾つかありましたが、ちょっと趣向を変えて、

最初の一文を決めて、そのつづきを書く。

ということにしました。問題は、最初の一文を何にするか? ですが、その場にあった本を、参加者の数人にめくってもらって、パッと目についた一文から選ぼうということになりましたが、次の一文にしました。

どうしてパン屋さんになろうと思ったんですか。

このつづきを書いて、ご持参ください。以下は、いつもの文言ですが…

まとまった文章でなくとも、断片(文章の切れ端)で構いません。パソコンで書いてプリントアウトしたものでも手書きのものでも何でもOK。最初の一文に遠慮なく引きずられて、思いつくままにペンを動かして(あるいはキーを叩いて)みてください。なお、何も書いてなくても参加はできます。ご興味ある方はこの1回だけでもお気軽に!

3/2(金)の19時からです。

今回、初参加だった若い方からの感想文、

「地下の秘密組織の会合みたいで、ドキドキしますね!」

とのこと。ドキドキしてください。楽しいでしょ? 私が同じ場所で、受験生相手に行なっている国語授業とは、明らかに何か違うようです。そりゃ、違いましょうとも。「オトナ」仕様だから?

シークレット・ゲストで来てくださった某写真家さんは、

「いや〜、面白いですね。答えを出そうとしない下窪スタイル、健在で」

とのこと。私は、「こうすれば上手く書ける」なんていう売り文句は体験上信じられなくて、「答え」があるとしたら、書く人自身の中にある、と信じてやっています。

ただし、ある特定のジャンルやフォーマットの中で書くような原稿仕事には、それなりのセオリーがあるよね。それは仕事の中でやってゆけばいい。それより「自由に書く」ことのほうが、いまの人にはずっと難しいだろうという思いが私の中にはあります。というのは、私自身がそうだから。なぜ「自由」に書きたいか。

私は、まだまだ成長したい、から。

若い人ならもちろん、どんなに年齢を重ねた人でも、いいなぁと思う人は、みんな「成長しつづけている」という気がする。そのためには、仕事の(というか「業界」の…「世間」の…)セオリーだけに精通しているのではダメで(それもないと生活してゆけないだろうけれど)、自分がいろんなことに、どう感じているかを知りたい。考えたいという気持ちもあるけれど、自分が、より、生き生きしたいからだよね。

次回も、また、楽しみにしています。これから参加したいと思われる方も、どうぞ遠慮なく、1回のみでもOKです、あ、それから、この「教室」の会場・吉祥寺美術学院のTwitterは(中の人=スタッフが)こんなことも言ってました。

講師・下窪俊哉「オトナのための文章教室」スタートの2月が終りました。私は参加一回ですがお題になった作文は今のところ全部書いてみています。参加されてない方も書いてみるのオススメです。そしてもしよければ、いつか参加する日に読ませてください。まだ2ヶ月やってますから!

そうそう。ぜひ書いてみてください。書くだけなら、タダです。

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アフリカン・スクラップ・ブック

あのアフリカとはあまり関係がない個人的出版レーベル「アフリカキカク」の雑記帳。
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