眠れない夜に、眠れる森の美女の話をしようと思う。
眠れない夜というものはいつだって唐突に訪れる。
それもなぜか今日に限ってと、自分にとって限りなく都合の悪い形で。
「あぁ、眠れない。」そうやって、藁にすがる思いでスマホに明かりを灯しても、そこに私の中に渦巻く不安や、恐怖を打ち消す術はない。
あきらめて、部屋を真っ暗にして目を閉じる。
そんなときに思い出す、眠れる森の美女の親友の話をしようと思う。
彼女は、私が大学生時代を過ごした京都の街で出会った親友である。
背丈は私と同じくらいの小柄で、帰国子女だった彼女は、どこかのハー