あのひと

生まれ月

私はこんげつの初め、苦しく生まれた。呼吸が難しかった。
専門家のひとたちは、ガラスケースに入れなければあぶないかもしれない、と言った。
私は家に帰って、この家を出てかなきゃならない、と言った。
初期費用は、ついに親が用立ててくれる運びとなった。

そして私は休まず走り続けた。
西へ東へ。南へ北へ。お医者さまへ行き、役所に行き、不動産屋さんに行き、友達に会い、街角のひとをつかまえて訊いた。

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苦い初夏

夏でもホットコーヒーが飲みたい

暑いとか寒いとかはあまり関係ない

温かい飲み物が好きだ

お気に入りの赤いホーローポットに水を入れて火にかける

コンロの火は青く揺れながらホーローを暖めた

梅雨明けはまだ発表されていない

なのに外は快晴、蝉も鳴き始めている

扇風機では物足りないな と思いつつもその風に心地よさを覚えた

秒針の音と扇風機のモーター音

邪魔をしてくるイタズラ電話のコール

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『今日は  どんな一日でしたか❓』

休みの日
『今日はどんな一日でしたか?』

グローバルなあのひとからの言葉。

こう聞かれると
そうだなぁ〜、今日はどんな日だったかな〜と
自然と思い出してしまう。

瞑想🧘‍♀️とかしてる人 以外は
今日がどんな日か分からず
その日を過ごしているのかもしれない、
そして、気が付けば
明日になってて。

昨日(今日)の事を忘れてしまって

今日休みの人 そうでない人も
あなたにとっての

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仕舞いのレッスン

お風呂の日だった。
けがれたかんじがしていたし、ほてりで汗だくだったから、助かった。
とにかくうちの「規則」は、週二日のその日以外には入ってはならない決まり。

さっぱりして、部屋で化粧をしようと鏡を見たら、絶世の美女が映った。
「わ?」
「おひさしゅうございます」
あさづま太夫は鏡からすうっと出てきた。
「ひさぶり、げんき?」
「ええ」
「私んとこ、じかに来たねえ。なんかあった

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命 懸ける ね

世界で いちばん だいすきなひと の ためになるのなら
命懸けられるとおもう

命も惜しくない とは言えないけど、すこし惜しいけど、

死んでも いい

まじで しねるよ。

でも
世界で いちばん だいすきなひと の ためになるのなら
どうやってでも 生きることも できるとおもう

めちゃめちゃ長生きだって してみせるよ。

一緒に生きられるなら わくわくする。

どきどき わくわく。

神様のボート/江國香織(8)(ラスト)

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葉子さんはおかしくなる。
身も蓋もない言い方だし、もともとおかしかったと言えばそれまでなのだが、草子を「失って」からの葉子さんは、一段とおかしくなる。
逗子から出ていく気力さえもなくし、仕事も辞め、ただ漫然と日々を過ごす。ピアノを弾きながら。
それでもどうにかして引っ越しをする。東京へ。
16年ぶりに東京に戻り、実家に連絡をする。草子も夏休みにはそこへ帰る。
アパート

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神様のボート/江國香織(7)

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昨日は5億年ぶりにSBAFなんて言葉を使いたくなるほどにSBAFな夜の過ごし方をしてしまったので今朝は10時まで眠っていました。
ちなみに前回SBAFを多用していたのはちょうど2年前、あのひととの別れのあとなので5億年ぶりっていうのは嘘ですね。
起きてからは前日の朝に炊いたまま放置してしまっていたご飯と昨夜食べる予定だった麻婆豆腐を食べ、残りの

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神様のボート/江國香織(6)

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私は昨日、真似したいことの最後に「旅がらす」を挙げました。
確かに旅がらすな生き方というか生活は憧れるしやってみたいけれど、葉子さんのしている旅がらすと私のしたい旅がらすは根本的なところが違うと思いました。
なにって、葉子さんは「あのひと」に会うために、「あのひと」のいない土地に馴染みたくないから、そんな理由で旅がらすをしているけれど、私は。

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神様のボート/江國香織(5)

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これまでも色々と葉子さんの真似っこをしてきましたが、私がこれから真似したいことは、5つあります。
順にお話しましょう。

ひとつめは髪型。
ジュリエッタ・マシーナのように短いという、その潔く整ったヘアスタイルにはやっぱり憧れるし、それが似合うようなスっとした大人の女性に、私もなりたい。
私は形から入るタイプですし!

つぎに、お散歩。
葉子さん

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神様のボート/江國香織(4)

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私が葉子さんから真似したものは、4つ。

ひとつめは、最初の記事で書いたように、シシリアンキス。
あの甘ったるくて突き抜けるような琥珀色の飲み物は、やっぱり目の前にあるだけで気分が変わる。
お酒はほんとうに飲めないし飲みたくもないけれど、あのカクテルだけは特別。いつだって魔法をかけられてしまう。

つぎに、ロッド・スチュワート。
なかでもやっぱ

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