創作文章

本当は

大嫌い。そう言って、彼女は俺の元を去って行った。意味が分からなかった。一体俺が何をしたというのだろう。そして、寝て、また起きたら気が付いた。彼女が泣いていたことに。……離れて行ってしまったのは、俺の方だったのだ。焦燥感と共に俺は、ただ俺の冷たい骸を見下ろした。

解放

ナイフから、朱い血が滴った。足元に広がっていくのは、赤黒い、水溜まり。……気持ち悪い。俺は指紋の付いたままのナイフを引き抜いて、もう一度その肉塊に突き刺した。はは……と、思わず渇いた笑いがこぼれる。これで俺はもう、自由に生きられるんだ。心が、静かな安堵に包まれた。

告白

悲しいことは、見ていること。
楽しいことは、幸せなこと。
嬉しいことは、ここに居ること。
だから私は、悲しいのだ。
だから私は、楽しいのだ。
だから私は、嬉しいのだ。
必要なのは、勇気を出すこと。
だからずっと、大好きだよ。
今度は私が、勇気を出すから。

キズアト

あなたは私を欲しいと言った。
次に私を要らないと言った。
……そして私を、ナイフで刺した。
私を愛していると言いながら。
だからあなたに痕を残した。
じくじくと疼く、深い爪痕を。
永遠に、永遠に、残るように。
……あなたが私を、永遠に覚えているように。

お多福さんと福助さん

豊かなふっくらとしたお人柄
商家の若旦さんと若女将と云った
イメージを抱きます

鬼神さまは家の外
福神さまは家の中
それぞれの居所に座しておられます

福助さんとお多福さんは子宝で、
七人の福神さまの子供です

福神さまは珠の中
一家を包む珠の中にお住まいで
いつも共に輪の中、輪を描いて
笑顔と笑い声の中、ひとりひとりの隣に座しておられます

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ありがとう
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即応からの類書

ただそこで劣悪な、心が耐えきれないことがあるのなら…

真っ直ぐにただ、ただ、突き進み共に分かち合い、きっかけは小さいかもしれないがそれぞれが道を違える。

だがしかしそれは…

ー創作文だぞー

今宵のお話はこれまでということで

ある一日

壁、ドア、カーテンに囲まれた薄暗いこの小さな部屋で今私は目を覚ました。正確には1時間ほど前から目は冷めているのだが、布団から出られないのだ。寒いのだ。こういうときやっぱり人というのは自然に無力なのだなとしみじみ思う。この力関係に根性などで対抗しようなどという無謀な挑戦はせず、私はただただ自分自身の無力さを自覚し、時が来るまで布団にくるまり中でじっと待っている。

 布団にはかなり助けられていると思

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バーに集まる変人たちその日常

変人の集まるバー「バー末」
バースエ、と読む。なんという場末感。店長兼マスター兼店員の名前は「一末(いちまつ)」ちなみに28歳男。
なるほど一末の末ね。確かに一末の一の方から取ったら「バーー」絶対バーイチとかバーハジメとか読んでもらえない。あぁバーワンという手もあるか。ともかくこの物語の主人公一末はバーの名前をバー末にした。そしたらどうしたことかこの場末にぴったりな人間が毎夜訪れるようになった。

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