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[要約,感想,レビュー]映画 復讐者たち

もし罪もないのに家族を殺されたらあなたはどうするか

 この映画では復讐への問いかけがなされている。ナチスドイツ収容所で生き残ったマックスは戦後、復興したドイツに毒を流す計画に参加する。ユダヤ人の中にも過激な考えを持った人たちが集まっているグループ、ナカム発案の計画であり、家族をナチスドイツに収容所で手にかけられたマックスにとっては、渡りに船の計画である
 ドイツ人に家族を奪われたマックスたちの復讐を、完全な悪と断言できる人はいないだろう。この映画の主題は、許される復讐があるのかという問いかけである。1000万の同胞であるユダヤ人が収容所などで被害に遭った。そこには自分の家族も含まれている。復讐が許される場面なのではないか

ドイツ国民への復讐

 この映画は本当の事件が基になっている。結論として計画は失敗し、ナカムは水道に毒を流せなかった。マックスたちのグループは努力が水の泡である。ナカムには映画序盤、戦後のドイツでナチス党員を処刑するほどの過激なグループである。強い復讐心を持った彼らにとって、この失敗は悔しいものだろう。ナチスが作った強制収容所はドイツ国内にもあった。強制収容所の存在を見て見ぬふりをしたドイツの市民が憎いという気持ちも理解できるので、ユダヤ人が復讐の対象に、ドイツ市民を選ぶのは避けられないだろう

いい人生を送るというのが一番の復讐

 復習に失敗したナカムは解散し、マックスはいい人生を送るのが一番の復讐であるというアメリカ人の刑事の言葉を胸に、地元に帰り生活を始めるというエンドである
 復讐は何も生み出さないというのはきれいな言葉かもしれないが、同胞のユダヤ人、家族を理不尽に手にかけられて、「いい人生を送るのが一番の復讐」という言葉に納得できないだろう

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