マガジンのカバー画像

映画

1,619
映画コラム 某ブログでも書いています。
運営しているクリエイター

2021年5月の記事一覧

「クルエラ」の感想(ネタバレあり)

イオンシネマ京都桂川で鑑賞。 ほぼ女性のお客さんだけで満席。 観終わって後ろから「今まで観たディズニー映画で一番良かった、、、」と話している女性が居て、これまでにないディズニーヒロイン像を作りたい!という気合がビシビシ伝わってくる作品だったし、作り手に教えてあげたい。 アイ,トーニャ感「アイ,トーニャ史上最大のスキャンダル」のクレイグ・ギレスピー監督作品。 僕はこの監督作品は「アイ,トーニャ」しか観れてなかったけどかなり通じる要素が多かった。 母親との確執、主人公の主観的な

昼間のラブホテル、踵がつぶれた靴、街ですれ違った昔の恋人、明け方に吸う煙草。どれも等しく罪ではないのに、いけない気持ちになるのはなぜだろう。私たちはこうやって、どうしたって、自分の力では消せない想いを、いつまでも漂わせている。無力で美しくて醜い、この想いを。永遠に、漂わせている。

【お仕事の話】第16弾!下北沢シネマカフェ!もし、あなたが生まれ変われるとしたら、何歳から生まれ変わりたいですか?

毎週金曜日はBIRTH VERSE BERTH(バースバースバース)の日。 シリーズ第16弾。アートやニッチ・カルチャー好き「BIRTH VERSE BERTH(バースバースバース)」さん。『雑談 meets シネマ〈16:ボタンの掛け違い〉』。 “80歳で生まれ、歳をとるごとに若返っていく”数奇な運命の下に生まれたブラピの物語。特殊メイクとCGがすごい! Twitterで見かけたんだけど、 主人公がインドを放浪するシーンの映像は、たまたまブラピがインド旅行するって聞いた

もしも叶うなら(原題:Magari)

イタリア映画祭2021 5本目の紹介。今年の映画祭の作品は、大人に翻弄される子どもが題材となっている話がそういえば多い。 「もしも叶うなら(原題:Magari)」 ジネヴラ・エルカン監督作品。この女性監督はかつてベルトルッチ の「シャンドライの恋」(原題:L'assedio)の助監督をつとめてたこともあったりと映画業界は長いが、本作品が監督としてのデビュー作。 知らなかった方が多いのでは無いだろうか。(私は存じ上げませんでした)それでも私が『無名の監督』と書くのに躊躇した

「茜色に焼かれる」の感想(ネタバレあり)

TOHOシネマズ二条で鑑賞。そんな大きいスクリーンではなかったけど、かなりお客さんが多かった。 現実と地続きな露悪さ石井監督前作の「生きちゃった」にも通じるのだけど、主人公の周りに冗談みたいに不幸が訪れる。 今回はコロナの影響や、実際の事件を思い起こす様な高齢ドライバーによる交通事故など、より近々な現実と地続きな不幸が多くて観ていてなかなか辛いし、女性に対しての欲望を身も蓋もなく表現した男性側の胸糞が悪くなる性描写もとても気分が悪くなる。 本当石井監督の風俗描写は当たり前の

宇宙兄弟

鑑賞時の感想ツイートはこちら。 2012年の日本映画。子どもの頃から宇宙が大好きだった兄弟が、それぞれに宇宙を目指し、幼い頃の約束を胸に夢を追う姿を描いたヒューマン・ドラマ作品です。小山宙哉(こやま・ちゅうや)の人気漫画『宇宙兄弟』を実写化。 出演は、主人公の兄弟、兄・南波六太(ムッタ)を小栗旬、弟・南波日々人(ヒビト)を岡田将生が演じています。共演に、堤真一、麻生久美子、井上芳雄、濱田岳、新井浩文、吹越満、益岡徹、森下愛子、ほか。監督は『ひゃくはち』の森義隆。 宇宙好

悪の寓話(原題:Favolacce)

イタリア映画祭 紹介第4作目。 『悪の寓話』(原題”Favolacce”)2020年の作品。 ディンノチェンツォ兄弟という1988年生まれの双子の若手新生監督による作品で、これもまた結構独特な映画。2020年 映画業界にとって(どこの業界もだが)不遇の年であることも相まり、興行収入は初日819EURと最悪のスタートであったという。 最初の鑑賞後思ったことはこの監督は塚本晋也監督映画をもしかしたら好きなのではないかということ。あくまで予想であるが、なんとなくおさえている要

『Kenbe La, Until We Win』勝利のときまでやめないこと

目前に広がる海。深い青というよりも晴天をそのまま映したような淡い水色がどこまでも続いている。それを眺めていた一人の男性がふと「ケベックにもこの景色があれば最高なのに」と呟く。ドキュメンタリー映画『Kenbe la, jusqu'à la victoire』はケベック在住の詩人Alain Philoctète(アラン・フィロクテーテ)が故郷ハイチの海を訪れるところから始まる。 街へ移動すると美しい景色は一転し、2010年の大地震により崩壊したままの建物が姿を現す。日本人である

映画『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスがやっぱりすごい

先日のアカデミー賞では、アンソニー・ホプキンスがみごと主演男優賞を受賞しました。 その作品『ファーザー』がいよいよ公開されました。 東京だとなかなか劇場も開いてない中ですが、無事公開してくれました。 とっても素晴らしかったので、今回は『ファーザー』を簡単に紹介したいと思います! アカデミー賞での出来事まずは注目ポイントとしてそもそもアカデミー賞での出来事があります。 大本命のチャドウィック・ボーズマンの受賞を見越したアカデミー賞側の演出がアンソニー・ホプキンスの受賞によ

「くれなずめ」の感想(ネタバレあり)

MOVIX京都で鑑賞。 土曜日に観たけど京都はここしかやってないのもあり、かなり多かった。 僕は見ていないけど最終回を迎えた「おちょやん」のキャストが多いのとかも影響してんのかなぁ、知らないけど。 今は亡き友人をそれぞれの記憶から、何でもない(と思っていた)日々を愛おしく思い出す構図は今回も出てる高良健吾主演の「横道世之介」を思い出すし、そんな過去を演劇と絡めて表現してケジメをつけていくシーンとかは藤原季節も出てる「佐々木、イン、マイマイン」を思い出す。 天国で出会う吉尾

「靴ひも」"Lacci"(2020)

イタリア映画際2021 3作目 「靴ひも」"Lacci"(2020)ダニエーレ・ルケッティ監督。日本語字幕は関口英子先生。原作のドメニコ・スタルノーネ同名作品の翻訳も関口英子先生によるものだ。翻訳家という立場で同じ作品を2回翻訳したのは、本当にわくわくするような経験だったのではないだろうか。(本作品のセリフは哲学的な言葉が多く、長台詞も多いから、限られた字数の中で実際は苦労されたと思う) 私は原作を読んでいない。(この映画を見た後すぐ読んでみたいと思って買った。)そのため

【下手なホラーよりよっぽど怖い】映画『ファーザー』が示す宿命

5/14から全国公開している映画『ファーザー』。本作は世界30ヶ国以上で上演され、トニー賞など世界各国の演劇賞を受賞している名作戯曲を映画化した作品だ。 監督は、今回の映画の元となっている戯曲も手掛けたフロリアン・ゼレール。主演は『羊たちの沈黙』(1991年)、『日の名残り』(1993年)など多数の作品に出演、アカデミー賞主演男優賞など数々の経歴を受賞している名優アンソニー・ホプキンス。共演に『オリエント急行殺人事件』(2017年)、『女王陛下のお気に入り』(2018年)で

私は隠れてしまいたかった 原題:"Volevo nascondermi"(2020)

イタリア映画祭2021で次におすすめしたい映画。 「私は隠れてしまいたかった」"Volevo nascondermi"(2020) Giorgio Diritti (ジョルジョ・ディリッティ)監督作品。 アントニオ・リガブエという画家をご存知だろうか。日本ではあまり知られていない画家のように思う。彼の自伝的映画である。 私は彼の動物の絵が以前から大好きなのだが、どこかゴッホだったり、マネだったり、ゴーギャンみたいなところも思わせる絵である。しかし彼はもともと無教養で美術

ニュー・シネマ・パラダイス

鑑賞時の感想ツイートはこちら。 1988年のイタリア映画。シチリアの小さな村にある映画館「パラダイス座」。その映写室を遊び場のようにして育ち、映画に魅せられた少年トト。彼が父のように慕っていた映写技師アルフレードとの交流を中心に描かれる思い出の日々――。映画への深い愛とセンチメンタルな涙あふれる感動のヒューマン・ドラマ作品です。原題 "Nuovo Cinema Paradiso"。 出演は、サルヴァトーレ(愛称:トト)役にサルヴァトーレ・カシオ(少年期)/マルコ・レオナル