海外に住んでいる人の話を聞くのが好きだ。noteだと松井博さんと野本響子さんのマガジンは毎日気づきがあってとても面白い。もちろん私がもし同じ場所に住んだとして、全然違うことを感じるかもしれないけれど。でも、自分でなかなか体験できない、そして自分が多くの思い込みをしていそうなことについて、リアルタイムで伝えてくれる人の情報は貴重だ。

一昨日、最近までフィリピンに留学していて、またすぐフィリピンに戻ってしまうっぽい佐々木さんのブログが更新されていて、やはりこちらも興味深かった。(もっと読みたいな.......)

自分は海外に住んだことはないけれど、会社を辞めたり、同世代の人と生活スタイルがだいぶ違ったりと、日本でのスタンダードから外れている。(ちょっと古いけれど、負け犬と評する人もいると思う。そんな感じ。)すると、自分が「どうしてだろう」と思うことって、海外で暮らしている人と近いと感じることがある。そんなに接客丁寧じゃなくてもいいだろうとか、就業規則が厳しすぎるとか、だからみんな疲れているんじゃないかとか、そういった様々なことに対して。

しかし、最近忘れがちなのだけれど、私は元々組織に結構とけこむ人間なのだった。

遅刻もしないし、欠勤もしないし、空気を読むし、その場が滞らないためだけに思ってもいないことを言ったりもするし、めちゃめちゃ雰囲気に流される。理不尽だと思っても全然反論できないし、面倒なことで戦ったりしない。

組織を離れてネットでいろいろな人の意見を読んでいると、たまにうっかり自分がもともと意思が強くて人の意見に左右されない人間だったように錯覚するけど、ぜんぜんちがう。今は、ただ人に会っていないだけなのだ。

ネットでは、たとえば「嫌な仕事なんてすぐやめたらいい。自分がいなければなんて思い込み。」といった意見をよく見かける。それは正しい論理だと思うのだけれど、自分なりの人間関係を築いてきた職場において、最終的にどうやって関係を薄くあるいはゼロにしていくかということは、各個人の人間性に大きく関わるのでそんな正論だけを言われても困る。明日すぐに性格を変えろ、みたいな話だ。

以前はこう思っていたけれど、そんな気持ちも年々薄れてきているなと気づいた。今の私は「誰かに合わせなきゃいけないこと」がなさすぎて、自分が本来雰囲気に流されがちなことをかなり忘れている。「やめればいいじゃん」とうっかり軽く言わないようにしようと思っている。

逆に言うと、それほどに組織というか集団の力は強い。そして「面倒なことはなるべく避けたい」という気持ちは多くの人が持つ基本的な感情だと思う。こうやって一人で自分の想いを書く事が出来ても、集団の中では言えないと思うことも多い。

だからこそやはり、自分は「自分を変えよう」と思うよりも、自分らしくいられない所から物理的に離れるのがよかったのだと思う。今でも何かの組織に毎日属したら、今日とは全然違う自分で一日を過ごしていると思う。

お金があることが一番の安心という人もいると思うし、世間からはみ出していないということが安心という人もいると思うし、それぞれの理想や安心感があると思うけれど、私は今、自分が知らないことを一つずつ知っていくことに安心感を覚えているのだと思った。

よく思うのは、自分が東京で会社員をずっと続けてそれなりに収入が安定していたら、好きな人や本やものごとは今と全然違って、今自分が思うところのものすごく嫌なやつになっていただろうなということだ。(東京とか会社員とか安定とかがそうさせるということじゃなく、あくまで私自身がそうだったら、という話。)

今日もちいさな何かを知って、一つ一つ私のちいさな無知がなくなっていくことに生きる意味を覚えている。

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『ようよう』というフリーマガジンを作りました！この中では、私が８名の方にインタビューしたものを掲載しています。フルカラー36ページです。欲しい方には4冊まで無料で送付していますので、お名前・ご住所・ご希望の冊数を添えて、お気軽にこちらにご連絡ください^^

maricommu82@gmail.com

【こちらの方々にインタビューをしています】
・林伸次さん(『bar bossa』経営/バーテンダー/作家/東京在住)
・佐々木典士さん(作家/編集者/ミニマリスト/フィリピン留学中)
・三樹菜緒子さん(リラクゼーションサロン『月と樹』経営/セラピスト/静岡在住)
・前島剛さん(洋菓子店『ふらんす屋』経営/パティシエ/ドラマー/山梨在住)
・佐藤"boone"学さん(ライブハウス『四谷OUTBREAK!』店長/バンドマン/東京在住)
・沼崎真白さん(『Jewels & Things』経営/ジュエリーバイヤー・デザイナー/山梨在住)
・權田菜美さん(ダンサー/ダンス教室・ストレッチ教室講師/東京在住)
・山下陽光さん(ハンドメイドファッションブランド『途中でやめる』主催/福岡在住)