首藤久義

言語(国語)教育研究者です。千葉大名誉教授です。楽しく実りある学びと、そのサポートのあ…

首藤久義

言語(国語)教育研究者です。千葉大名誉教授です。楽しく実りある学びと、そのサポートのあり方を、探究しております。「自由短句」を、日々、自由に書いて発信しています。

最近の記事

読む力の向上: どのようにして、どこで、だれが

 読むとは、読者の内部で、文字を言葉によみがえらせ、言葉を意味(作品のイメージ世界)によみがえらせることである。それ以上でもそれ以下でもない。  授業場面での学習方法としては、作る・演じる(翻作やクイズ遊びを含む)・味わい楽しむ・何らかのテーマや課題の解決に役立ちそうな文書を探して読み取るなどの活動、あるいは、読む力の向上を願って自分から練習することなどがある。そういう活動や練習を通して、学習者の文字力や語彙力が向上したり、さまざまな種類の文や文章へのなじみが深まったりする

    • 読めば解決できる問いを読んで作る。って、おかしくない?

      読めば解決できる問いを読んで作る。って、おかしくない? それを読めば解決できる問いを、それを読んで作り、その問いを追究することを通して行う読解授業が、今、日本全国の学校で進められている。しかし、おかしくないか?読めば解決できる問いを、読んで立てるんだよ。問いを作った時点で解決できているはずじゃないか。私のその批判に対しては、浅く読んだ段階で解決できなかった問いを浅く読んで立てるんだという返答が返って来るかもしれない。そんな深い問いを、浅く読んで立てることができるだろうか?実

      • 学ぶ楽しみを邪魔しないで

        教師ができることなんて、たかだか、出会いの世話くらいだ。そして、その世話こそが貴いのだ。その出会いで何を理解したか、何を得たか、何を身に付けたかなんてことを、いちいちチェックし、いちいち評定する必要はない。 それぞれの子が、その子なりにそれぞれの学びを得るのだ。教師が一度教えたら、その一度で全員が全部を完璧に理解し、完璧に習得するなんて、考えないほうがいい。 子供の中には、教師以上に理解し、教師以上に習得する子がいるだろう。そんな子がいても一向にかまわないのだ。それ以下の子が

        • 読みっぱなしが読書の王道!     学校の先生への苦言

          読みっぱなしが読書の王道! 学校の先生への苦言 読みっぱなし! が、私の理想。 学校の先生は、読書のしかたにおせっかいをやきすぎる。 どう理解するか、 どう受け止めるか、 どう感じるかについて、 おせっかいをやきすぎる! そして、読書を面倒くさくする。 それが親切だと思っている。 学校の先生は、 親切な自分をほめている。 そうして、 学校の先生が求めるような読みをすることが読書だと思う子を作っている。 そういう子が現れると喜ぶ。 でも、そんな子ばかりじゃないよ。 先生

        読む力の向上: どのようにして、どこで、だれが

          個が生きる同時異学習と評価

          私が分担執筆した書物『これからの国語科教育はどうあるべきか』が東洋館出版社から刊行されました。 国語教育界を超えた幅広い執筆陣が書いています。 私の論考「個が生きる同時異学習と評価」の内容構成は次のとおりです。 1. 一斉授業の問題 2. 同時異学習のすすめ (1)同時異学習とは (2)共通の大枠の中での同時異学習 (3)同時異学習のいろいろ (4)個別も一斉も必要に応じて 3. 別々のことをしても学びが成立する 4. 一人一人の最適が異なる 5. 個が生きる評価

          個が生きる同時異学習と評価

          空に雲が

          空に雲が          ひさほたる20240304 空っていいなあ、空だもん。 雲っていいなあ、雲だもん。 雨っていいなあ、雨だもん。 土っていいなあ、土だもん。

          個性と共通性  群れで生きる一人一人

          人間は一人一人個性をもちながら、他の人と共生する。他の人と共生するためには、他の人との共通性が必要である。他の人と共通の性質をもちながら、同時に、個性も維持し続ける。 それは個々人が自らの内部に育てる言葉も同じである。個々人の言葉は、他の人の言葉と共通性を持ちながら、しかし、人々の言葉が全く同じ言葉になることはなく、人は自分の言葉の個性を生涯維持し続ける。一人一人の音声言語表現が完全に同じになることはなく、一人一人の文字言語表現が完全に同じになることもない。人は言葉の個性を

          個性と共通性  群れで生きる一人一人

          「全方位交響作用世界」という世界観

          物質も精神も空間も時間も、この世界を構成するあらゆる要素が交響し合う要因となって、世界が動いている。世界の主人公は、この世界を構成するあらゆる要素のすべてである。どこかあるところにいる絶対者が自分の意志でこの世界を動かすなんてことはできるものではない。世界を自分の力で動かそうという幻想を抱くことはできるが、現実には、自分の思うままに動かすことはできない。 ほかの人も私も物も、この世界を構成する全要素が、他の全要素と交響して動かし合う要因の一つ一つとなって、世界を動かしている

          「全方位交響作用世界」という世界観

          する国語

           私はかつて「する国語」を演題にして、小学校の先生がたに講演したことがあった。今から30年ほど前だったかな?  その時の聴衆の反応が良くなかったので、それに懲りて、その後このタイトルで話したり書いたりすることをしてこなかった。その後もその方向で進んできたのではあるが、「する国語」という言い方はしないできた。  そんな私が今、澤田英輔先生(が中心だと私は推測する)らの共同翻訳でアトウェルの本を読んでみて、おお!自分が唱え続けてきたことと同じ方向のことが書かれている。と、思っ

          試行錯誤的自己評価

           「試行錯誤的自己評価」とは、聞きなれないかもしれませんが、わかりやすく言うと、自分でやってみて必要に応じてやり直しながら目的実現に近づくために自分がする自己評価のことです。そういう自己評価を私は「試行錯誤的自己評価」と呼んで大切にしています。  試行錯誤的自己評価は、自分の行動を目的に照らして評価し修正するために自分がする評価です。人は人生のあらゆる場面でこれをしながら成長していくのだと思います。  人は、どの方向に進むか、何を目指すか、を、自分が選び、自分で進みながら、

          試行錯誤的自己評価

          教師の知識

          教師が生徒(あらゆる年齢層)に向かって自分の知識を語るとき、その知識が自分の知識に過ぎないということを忘れてはならない。

          教師の知識

          アホか!

          アホか! ぼくの主張はいつも「と思う」で終わる。 客観的に証明できないからだ。 だから決着がつかない。 決着がつかないから考え続ける。 それでいい。 それがいい。 「と思う」が、ぼくを考え続けさせてくれる。 考え終わらない。だから、可能性が無限に広がる。 それが面白い。 それが楽しい。 苦しいけれど、楽しい。 「断定しないのは論文とは言えない。断定できないことを書いてはいけない。」と人々に説いた人がいた。 客観的に証明されたこと以外は書くなということであったかもしれない

          評価が日本の学校を殺している

           学習指導要領が掲げた目標は、人生や生活に役立つ力を高めるための目標であって、それを目指して、長い時間をかけて、その方面の力を高めたいという趣旨の目標であると思う。そう思えば、学習指導要領はなかなかよくできていると思われる。  ところが、昨今では、学習指導要領が示した目標の一つ一つを確実に達成させようとして、目標ごとに評価尺度を作り、その規準に達することを目指して評価することが、全国的に行われている。その結果、学習指導要領の趣旨とは裏腹の、不都合な事が起きている。それはどうい

          評価が日本の学校を殺している

          フリースクールで国語学習サポーター

          フリースクールで国語学習サポーター 明日1月10日は、フリースクールで国語学習サポーターをします。小中学生たちと、辞典やスマホを活用して「名前の文字遊び」をする予定です。全員学習と個別学習の両方の時間を設定します。「国語を楽しく」の実現を目指します。 私が行う学室の名前は「シーちゃんのCOCOCARA国語」です。 https://www.facebook.com/profile.php?id=100057097794546

          フリースクールで国語学習サポーター

          X(ツイッター ) が乗っ取られた

          要注意! 私のX(ツイッター ) が乗っ取られたようです。 怪しいURLを含む怪しい投稿がされています。 皆様、お気を付けください! Xの別のアカウントを有効にして、Xのこれまでのアカウントを廃止しました。 これで、怪しい投稿は見られなくなりました。 私の以前の投稿も見られなくなりました。 当分の間、Xを使わないことにします。

          X(ツイッター ) が乗っ取られた

          発達はそれぞれ

          何歳までにこれをせよ。 それをしないと発達遅れる。 何歳までにこれをせよ。 これをしないと手遅れになる。 だから私の教育受けよ。 不安商法、ここにあり。 不安をあおって教育を売る。 何と比べて遅れると言う? 比べなければ遅れも無い。 比べなければ早いも無い。 標準と比べて何になる。 比べて嘆いて何になる。 比べて威張って何になる。 人は皆、自分のペースで発達してる。 丸ごとの今の自分を受け入れて、 自分の仕方で生きればいい。 自分の仕方で伸びればいい。 比べなければ、

          発達はそれぞれ