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映画「鉄道員(ぽっぽや)」(日本映画、高倉健主演)🇯🇵

「高倉健が、久しぶりに北国を舞台にした素敵な映画を届けてくれた!」。

この映画を見たときに本当にそう感じたものです。

どうも僕の中では、高倉健さんというと、北国(北海道)というイメージが定着してしまっていました。

『駅 station 』では増毛町(ましけ)、『居酒屋兆治 』では函館、そして『幸せの黄色いハンカチ 』では夕張、『夜叉』は釧路だったか帯広だったか。

彼ほど、北の大地に、はまる俳優はいないのではないでしょうか?寡黙に、じっと耐えるその姿に、北国の厳しさに耐え忍ぶ道民を重ねていたのかもしれません。

さて、この映画は、雪深い道央の架空の町「幌舞」が舞台です。

この駅前の風景が、僕が少年時代をすごした田舎町ととても似ていました。駅前のタクシー、駅前のお土産店、駅前の食堂。北国のローカル線の田舎町におそらく共通するであろう要素たち。

「北の国から」というドラマで、見ることのできる富良野の駅周辺や、集落もこういった風景でした。

この風景だけで、涙がでるくらいの懐かしさを覚えたんですよね。

鉄道は、田舎の人にとって、大切なインフラでした。人々は、それぞれの思いを抱えて、鉄道に乗り込んでいったことでしょう。

あるものは、希望を胸に抱え、あるものは夢破れ故郷に舞い戻ってくる。

出稼ぎの往復もあったでしょう。

車掌はそんな人々を長い間見つめ続けます。それは、僕の田舎町でも同じだったんだろうと思います。

しかし、過疎化の波は確実に田舎町を襲います。

鉄道の廃止、バスへの移行。

80年代半ば以降、日本全国で見られた風景です。心のゆりかごであった、鉄道がその役目を終えると同時に、沿線の民は、きっと見えない何事かを失ってしまったのかもしれません。

映画の中では、幌舞という駅を取り囲む人々の営みや、街並みの変遷が描かれていて、そこには駅を中心とした物語が紡がれていました。

そういった物語を見届け終えようとするそのとき、訪れた出会いは車掌への天の計らいだったような気がします。

この映画のラストは涙なしにはみれないでしょう。

つらく長く、そして寒く厳しい冬を過ごしてきた北国のものにとってはなおさらだと思います。この映画に大切な要素は、彼らを包んでいる、北海道という大地なんだと思います。

雪がしんしんと降る季節に、北海道の片田舎を訪れてみると、寒くても、きっと暖かい何かを感じることが出来るはずです。

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