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映画監督ヴィム・ヴェンダースが『東京物語』のイメージを抱きつつ撮影した東京の風景 ~ 「東京画」(ドイツ映画)🇩🇪

小津安二郎へのトリビュート作品。
今で言うとリスペクトとなるのでしょうか。

まだまだ名の知れない時代の映画監督ヴィム・ヴェンダースが『東京物語』のイメージを抱きつつ、日本を訪れます。

『東京物語』から30年ほどたった東京。

もちろんどこの世界でも、50年代と80年代の違いは相当顕著だったと思うので、ある程度の覚悟はあったと思います。

が、彼を襲ったショックはかなりのものだった様子。

この映画で挿入される東京のイメージ(画)は
彼の衝撃度合いを映し出してますね。
(パチンコやら、ゴルフ練習場やら)

小津安二郎の世界が綿々と続いてきた父権の損失であったとするならば、それから30年後、それは確実に失われかけているのは自明の理。

そんな彼が、この来日で、小津映画を支えた俳優である笠さんと、撮影の厚田さんに出会うというのは、ある意味救いだったのかもしれません。 

この映画にその時のエピソードが描かれています。

古きよき時代と呼ばれるものは、時代の移り変わりとともに、過去のものになっていってしまう。

それは当たり前のことではありますが、その当たり前のことに気がついたことが、この後の彼の世界観を作ったのかもしれない。
(実際はわかりませんが、なにかしらの影響はあったんでしょう)

この映画の後に、彼が監督した作品、『パリ・テキサス』や『ベルリン-天使の詩』を見るとなんとなくそんな気がします。

あと、『東京物語』など小津監督の一連の作品を
見返してみると、現代の東京をみた彼の衝撃も判るような気がします。

ものすごく純粋なトリビュート作品。
じっくり見てみてください。


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