脚本家魂

ラグビー部の後輩Yは、
サラリーマンをしながら
脚本家を目指している。
日本でのシーボルトに
並々ならぬ興味を覚えて
ドラマ10話分も書いてしまった。

どうして?どんな話?
呼び出して聴いてみることに。
ワインバーで滔々と話す。
国王の命で日本に赴き、
医師でありながら
スパイ活動を行い日本追放。

来日すぐに楠本滝と恋に落ち、
娘、楠本イネをもうける。
オランダに戻ると国王から
勲章が授与されるも、
日本が開国して追放令解除。
息子を連れて再来日した。

日本の文学や民俗学の本、
動植物の標本など多くを
ヨーロッパに持ち帰るが、
シーボルトは生涯日本を愛し
諸外国の脅威から
日本を守った人でもある。

とはいえ日本妻の滝とは、
娘のイネとはどうなったのか。
イネは日本初の産婦人科医になり、
「オランダおいね」と呼ばれた。
ハーフのイネも美人なら、
孫娘の楠本高子も美人である。

Yは酔うほどに瞳が輝き、
自分の書いた脚本の面白さに
我を忘れて陶酔する。
未だプロになっていないYの
この長篇ドラマはどうなるのか。
タイトルは「情報調査官、
コンテンス・ポルテ・オルテの恋」。
僕はそのドラマを見てみたい!