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著…森見登美彦『ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集』

 小説家:森見登美彦氏と他の小説家、漫画家、監督、脚本・演出家たちとの対談集。

 ●執筆スタイルの違い
 ●実在のモデルを必要とするかしないか
 ●作品に方言を取り入れるか
 ●登場人物に対する憧れ

 などなど、何かを表現する人たちそれぞれの意見が読めて興味深い本です。

 なんと、今の森見さんと過去の森見さんが対談するというページもあります。

 なんてユニークな発想力!

 また、森見さんの小説『きつねのはなし』について、綾辻行人さんが、

 「これの舞台になっている辺りって、実は僕んちのすぐ近所なんだよね。第一話で天城さんが住んでいる例の家、いかにもそれですっていう趣のお屋敷が、うちから五分ほど歩いていったところにあるんだけど」

(著…森見登美彦『ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集』 P105から引用)

 と話すと、

 「奇妙ですねえ。実はあれは僕が勝手に想像で書いたものでモデルになるようなものは存在しないんです」

(著…森見登美彦『ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集』 P105から引用)


 と森見さんが返事をして、

 「えっ、そうなの? どう見てもあの屋敷がモデルだろうって、僕のまわりではもっぱらの評判なのに。でも偶然なのか…そうか」

(P105から抜粋)

 と綾辻さんが驚きます。

 こんな会話が出来るのも、創作する面白さですよね。

 現実と非現実との境目が曖昧で。

 もしかしたら…、綾辻さんが見たというそのお屋敷は、実は森見さんの小説から抜け出たものかもしれませんよ…?

 綾辻さんが「これは森見さんの小説に出てくるお屋敷だ」と思ったのは、決して誤解などでは無かったのです。

 そのお屋敷は小説から抜け出て、実体を持ってしまいました。

 綾辻さんと、そのお屋敷の創造主たる森見さんとがそのお屋敷に入って、隠された謎を解かない限り、そのお屋敷はあらゆる訪問者を呑み込んでいきます…。

 肝試しに来た地元のヤンキー、押し売り営業にやって来たセールスマン、空き家を住処にしようと侵入してきたホームレス…。

 みんな、みんな、お屋敷に食べられてしまいます。

 犠牲者たちの魂は、お屋敷の隠し部屋にある桃色の本の中に閉じ込められてしまい…、

 …なーんて勝手な妄想も、この本を読んでいると自然に膨らんできます。

 すみません、このストーリーはわたしが勝手に捏造しました。

 このホラー小説の発売予定はありません!

 わたしはまだ『きつねのはなし』を読んだことがないから元ネタも分かりません!

 さて、この対談集の中において、色んな作品のタイトルが出てきました。

 まだわたしが観ても読んでもいないものが多かったので、今後トライしようと思います。

 勿論、『きつねのはなし』にも。



 〈こういう方におすすめ〉
 創作物を世に出す人たちの生みの苦しみや喜び、そしてある種の業のようなものに興味がある方。
 モリミーワールドが好きな方。

 〈読書所要時間の目安〉
 2時間くらい。

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